表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶のEarth-er  作者: だーぎー
42/370

42 アラムvsサバク

 アラムが放った渾身の一撃をまともにくらいサバクは【ミザルの湯】入場ゲートの付近までかなりの距離を真っ直ぐ吹き飛ばされていた。ゆっくりと身体を起こしながら身体中を見回す。甚大な損傷は見当たらない。


「なるほど……身体強化の技、【刻印・ミダレザクラ】……サバク、覚えた。 ……あれ? 」


 やけに視界が眩しいことに気づく。普段から被っていた緑色のフードがちぎれてなくなっていた。ここまで吹き飛んでくる途中に落としてしまったのだろう。辺りを見渡すがそれらしきものはない。砂に埋もれてしまっていたら最悪だ。それはサバクにとって大切なものだった。辺りを見回して、一瞬彼の注意が散漫になる。


 突然視界が暗くなる。追いついてきたアラムが跳躍し勢いよく刀を振り下ろすが、サバクはしっかりと避けながら、地面の砂をかき上げアラムの顔めがけて投げつける。


「……うわぁぁっ、目が痛ってえ! 」

「さっきのお返し……もう油断もしないし、手加減もしない。人間は……サバクが裁く」


 目を開けられないアラムに向かって、サバクは両手をかざす。サバクの腕から伸びた2本の包帯が渦を巻きながらアラムの腹部を叩きつける。アラムは【ミダレザクラ】により身体能力が向上しているが、視界が奪われている分タイミングが合わず踏ん張りが間に合わない。包帯の勢いは予想以上に速く鋭く、アラムの身体を吹き飛ばす。


 アラムは吹き飛びながらもなんとか体制を立て直すが、かなりの痛みに耐えきれずうずくまってしまう。目を開けられないまましゃがみこんでいるアラムの近くにヨシノが駆け寄る。


「アラム!? だ、大丈夫? 」

「ああ……でも目が……痛くて開けられない。何か良い手は……」


「そうだ! ヨシノ、お願いがあるんだけど……」




「何を相談してる?……もう、いくよ」

 サバクは包帯を地面に叩きつけて、砂を巻き上げる。そのまま跳躍して砂の壁を突き破り、しゃがみ込むアラムの真上をとる。


「これで……終わり」


 サバクはアラムに向かって蹴りを放つ。しかしアラムは目を瞑ったまま、立ち上がって体を横にずらしサバクの足を掴んだ。


「な……なに!? なんで……」

「よし……いけるぜ! 」


 アラムはサバクを引き寄せ、もう一度殴りつける。サバクは上手く包帯を使って、拳が身体に当たるのを防いだ。体制を立て直すと少し距離を置いて、今度は包帯を左右から弧を描くように伸ばす。

 アラムは落ち着いて背負っていた【桜芽刀】を抜き、伸縮自在のサバクの包帯を一振りで斬り払う。目を瞑ったままのはずなのに、的確に包帯の位置を捉えたことにサバクは驚愕し、冷静に分析を始める。


「今度はこっちの番だぜ」


 アラムは刀を構えて跳躍し、一気に距離を詰める。アラムは腕を狙い刀を振り下ろすが、金属製のアーサーの身体にはほとんど効いていない。


「おお……硬ってぇえ……」

「……くらえ」


サバクの拳の連打がアラムを襲う。しかしアラムはその全てを上手く刀で受けきる。サバクは何かに気づいたように、飛んでまた距離を置く。


「なるほどね、その花弁……そっちのアーサーだね、こいつにサバクの場所……教えてるの」


 そう言って、サバクはヨシノを指差す。サバクの推理は当たっていた。【ミダレザクラ】によってアラムの周囲にのみ舞い始めた花弁の中から何枚かがアラムの身体に張り付いていた。その花弁から、アラムはヨシノの指示を受けていたのだ。

 サバクの攻撃や、サバク自身がいる方向の花弁のみがヨシノからの信号を受け取り振動する。だから目を閉じていても攻撃がうまくかわせたということだ。


 サバクは両手を地面につく。アラムはまたサバクに近づこうとしたが、地面の下から伸びてきた包帯に両手を巻き取られる。


「君に見えない攻撃なら……指示は出せないよね」


 ここでアラムの身体から散っていた桜の花弁が止まってしまった。タイミング悪く、【ミダレザクラ】の効力が切れてしまったのだ。


「くそっ、こんな時に……」

「なるほど……制限時間があるんだ……覚えた」


 サバクは包帯を一気に縮ませる。高速で接近してくるアラムの身体にサバクは容赦ない蹴りを入れる。アラムは身体を襲う容赦ない一撃に耐えきれずその場に崩れ落ち、そのまま意識を失ってしまった。

 倒れるアラムの頭蓋骨を砕き、とどめを刺そうと足を振り上げるサバクとの間に割り入るようにヨシノが飛んでくる。


「……駄目なのっ! もうやめて! 」

「お前……アーサーだろ? なんで、人間……守るの? 」


「アラムは……アラムは良い人なの! 一緒に……アースを元に戻そうって、約束したから……だから……」

 

 喋るヨシノをサバクの腕から伸びた包帯が縛り上げる。サバクは声が出せなくなったヨシノにゆっくり近づくとしゃがみ込んで話しかける。


「……ヨシノ……だっけ? ヨシノも、サバクも、同じアーサー。 争う必要、ない……一緒にいこ? 」





  



 



 

申し訳ないです……


ヨシノの能力【刻印・ミダレザクラ】を【サクラフブキ】と間違えて表記していた回を発見致しました。まだ見落としているかもしれませんが、見つけ次第修正させていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ