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追憶のEarth-er  作者: だーぎー
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11 しばしの別れ

「それじゃあ、俺たちそろそろ帰るよ。世話になったな、シェンザー」

「そんな、こちらこそだよ。フゥを助けてくれてありがとう」


 風の記憶を護るアーサー、フゥの奪還作戦から数日の間アラム達は研究所に滞在していた。ヨシノやフゥのことをもっと調査するため、そしてお互いの研究をより深めるためだ。

 シェンザーはヨシノのエネルギー源になる蜜飴の解析をし、アラムはフゥの能力によって発生する風を分類ごとに一つずつ身を持って体感した。

 そして、今日はアラムとヨシノが一度研究の成果を報告するために、自分達の暮らす地区へと帰る日だ。


「ヨシノの蜜飴の分析にはもう少し時間がかかりそうなんだ。何かわかったらすぐに報告するよ」


「助かるぜ、シェンザー。それと、フゥもありがとうな。お前の風は最高だったぜ」


 アラムはフゥに笑顔を見せるが、フゥの返事はない。久々に会えた仲間との別れが辛いのだろうか、ヨシノもフゥも少し寂しげな表情である。アラムは静かにヨシノの頭を撫でる。


「大丈夫だよ、ヨシノ。フゥたちとはまたすぐ会えるよ」

「……ほんとに? 」


 ヨシノの問いかけにアラムはにっこりと頷いた。アラムとシェンザーはこれから協力してアーサー研究を行うことにしたのだ。アラムは一度自分の暮らす地区に戻って、これからの研究に必要な拠点の準備をしようと考えていた。それが実現できそうな後ろ盾も、アラムにはあった。

 準備が出来るまで、シェンザーたちの役目は蜜飴の解析と並行して、この場所から他のアーサーたちの情報を集めることだ。恐らくフゥと同じように、アーサーが能力を使えばリバイブのどこかに何か異常が起こるだろう。その情報があるだけで、これからのアーサー探しの効率はかなり良くなる。


「大丈夫だよ、二人とも。少しのお別れだよ、準備が整えばすぐに会えるさ」

「ま、そういうこった。ほら、いくぞヨシノ」


アラムは手を振りながら、歩き始める。ヨシノは少しの間涙を堪えて俯いていたが、すぐにアラムを追いかけて走り出す。

 突然、二人の背中を押すように強く、そして優しい風が吹く。アラムとヨシノは顔を見合わせ後ろを振り返る。

「二人とも、必ず無事で会おうね! 」

「ヨシノ! アラムさん! どうか、お元気で! 」


 振り返ると、シェンザーとフゥが手を振っているのが見える。心地よい風になびく髪をかきあげ、アラムは拳をつきあげる。ヨシノも満面の笑顔で二人に手を振る。

 

「さぁ、行こうぜヨシノ。きっとこれから面白くなるぞ」

「うん! ヨシノも楽しみ! 」

 二人は笑顔で勢いよく走り出した。フゥとシェンザーは二人の姿が見えなくなるまで手を振り続けていたが、やがてシェンザーがフゥを促して、研究所へと戻っていった。

 再開の時は、そう遠くない。





 アラムたちがいる惑星リバイブにおける人間の生活圏は、6つのドーム状の地区とそれぞれを取り囲む居住区で構成されている。南北東西に4つ、さらにその中心部に南北2つのドームが設置されている。ストームイーグル地区は中心部の2つのドームの内、北側にある。

 そして、アラムとヨシノが戻ってきたのは外側南にある学問・教育地区ワイズオウル地区だ。地区の中心には大規模なレンガ造りの学校があり、そこでは年齢を問わずあらゆる学問を学ぶことができる。

 アラムはワイズオウルで考古学を専門に学んでおり、その頃から居住もこの地区に構えているのだ。


「やっと着いたぁ……ヨシノ、もうクタクタなの」

「ほんとだよ……早くもフゥの風に当たりたい気分だぜ」


 ドーム間の移動は、自家用の宇宙船を持つ富裕層を除いてドーム間を走るトレインを使うのが一般的だ。近年は揺れや乗り心地も改善され、連日多くの人々がトレインを利用している。ドーム間の徒歩移動が一般的だったこの惑星に、古文書を解読して発見した【電車】という技術を再現してみせたことも、ワイズオウル地区の多大な功績の一つだ。


「とりあえず学長に会いに行くとするか。いくぞ、ヨシノ」

「うん! 行こっ! 」


 ワイズオウル地区には大まかに分けて4つの教育施設がある。子ども向けの初級学問から始まり、中級学問、高等学問、超高等学問とレベル分けされた4つのカリキュラムをそれぞれの校舎で受講することができる。アラムたちがこれから向かうのは街の中心にある

【ワイズオウル超高等学院】だ。

  

「しっかし……ここは来る度に景色が変わっていくな」


 ワイズオウル地区は学習施設の建て替えがかなり頻繁に行われている。ここにはリバイブの民だけではなく、惑星外からの留学生も少なくない。彼らにあった学習環境を作ることも目的の一つだが、彼らが持ち込んだ他惑星の技術や風習を基に新たな学問の機会を生徒に与えるための措置である。実際トレインが停まるステーションから道なりに歩き出すと、そこには見た事のない建物がいくつか並んでいた。


「……あれ、この校舎も取り壊すのか。懐かしいな……新校舎に全部移動したのか」

 道の向かいに見えた校舎は、アラムがヨシノと出会うよりずっと前に通っていた中級学問の考古学用校舎だった。黙り込んで校舎を眺めているアラムにヨシノは声をかける。


「ここで、アラムが勉強してたの? 」

「そうだよ……まだ中に入れるかな。ヨシノ、ちょっとだけ寄り道していいか? 」


「いいよ! ヨシノも見てみたいの! 」


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