晩餐会とさらわれた姫
優雅な音楽と豪華な料理の数々…
私たちはカイ王子に招待されてお城で開かれている晩餐会に参加している。
誰も彼もが着飾っている。
王子を襲ったあの魔獣…
王子だけを襲ってた…
あと…魔獣の王って?
魔獣にも王様がいるのかな?
謎だ。
「アイシャ、楽しめているかい?」
「はい。こんなにおいしいお料理はじめてで。お誘い頂きありがとうございます。」
「それは良かった。」
カイ王子がアイシャに話しかけている。
でも、アイシャは一向にカイ王子の気持ちに気づいていない。
アイシャ、そういうの疎いからなぁ。
がんばれっ カイ王子っ
心のなかで応援する。
「グルルルル…」
またどこからともなく低い唸り声が聞こえてきた。
魔獣??
皆に緊張が走る。
「ミーナ!!」
カイ王子の声。
晩餐会に参加していた、カイ王子の妹、ミーナ姫の下に闇が広がり、その闇にミーナ姫が飲み込まれていく。
「お兄様!助け…」
姫が手を伸ばす。
その手をカイ王子より早く、アイシャが掴み、闇から姫を助けだそうとするが、姫もろともアイシャまで闇に飲み込まれて消えた。
「くそっ ミーナ! アイシャ!」
王子の声も虚しく、闇はふたりを飲み込んで消えてしまった。
「ふたりはどこに…」
「僕なら匂いがわかるから、ふたりの居場所、わかるよ」
声が聞こえた。
でも、この声は私にしか聞こえてないらしい。
声の主を探してきょろきょろとあずさが辺りを見渡す。
「僕だよ。僕。 キュルだよ」
「キュルちゃん!あなたの声なの?居場所がわかるって本当?」
「うん。ここから30キロ離れた魔獣の住みかの森にいる」
「君、あずさと言ったかな?誰と話しているんだい?」
王子に尋ねられた。
「えっと…ドラゴンのキュルちゃんと…」
「なんだって?君はドラゴンと会話できるのかい?」
「はい。どうやら…そのようです。キュルちゃんは30キロ離れた森にミーナ姫とアイシャのふたりがいる。と言っています」
「それは本当か! よし、すぐにふたりを助けに向かおう!」
護衛の従者と、王子。そして道案内のため、あずさとキュルちゃんも、姫とアイシャの救出に向かうことになった。