紺野あずさ
私の名前は紺野あずさ。
歳は14歳くらい。
くらいってどういうこと?
読者の皆はきっとそう思うだろう。
実は私には以前の記憶がないのだ。
気がついたらここにいた。
◆
ここはギルナ国
魔法使いと魔獣の国
魔術に魔法薬…不思議な力で満ち溢れた世界
そう。この世界の生き物は皆魔法が使える。
ただひとり、わたしを除いて
◆
わたしは自分の名前以外、自分がどこから来て、何者なのか憶えていない。
雨の日、目を開けるとわたしはギルナ国の魔法学校近くの藪の中にいた。
そこを学校の先生が見つけてくれ、今は学校の生徒として面倒をみてもらっている。
あの日、目を開けたとき近くには誰もいなかったが、目を開ける前、「……会いたかった」と声がしたような気がした。
◆
わたしの学校生活は、何というか…まあ、順調では…ない。
それはそうだ。この世界で唯一魔法が使えない。それだけでいじめの対象になっていたし、正直言って自分が望む望まずに関わらず目立ってしまっている。
そんな中、同じルームメイトのアイシャだけは気さくに話しかけてくれた。
アイシャは私とは正反対の存在と言っていいだろう。
彼女はとても優秀だ。
14歳という若さで唯一、呪文の詠唱なしで魔法が使える。
学校の先生でさえ、それができるのは数少ない。
そんなすごい人が同じルームメイトでなんだかわたしは誇らしい。
◆
魔法が使えない私だが唯一得意な科目がある。
魔法生物学だ。
わたしは魔法生物にとても好かれる体質…であるらしい。
普通人に懐かない生物でさえ、わたしのもとには集まってくるのだから、なんだかうれしい。