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第3章 遺跡 1 遺跡に降りる

 僕にはファーフナ―がいたが、飛行手段のない者たちにとっては、千年経っても見つけられなかっただろう。この世界でもあと更に千年もしたら、だれかが飛行機で発見していたかもしれないなどと思いながら、その山の一番高いところにある遺跡に降りてみることにした。


 遺跡に降りた。これは大きい。ここが最上階で、山の麓まで遺跡は広がっている。最上階でも大きな建造物が連なり広場らしい空間と道路があって結構な広がりがある。言い伝えでは、あとは凶暴なヒヒがいるのか。さもありなん。ここまできたら、ヒヒでも猿でも何でもこい。


 と考えていたら、早速おでましだ。周りの木々に、僕らを取り囲むようにしてヒヒの群れがこちらを睨む。元の世界では、ヒヒはアフリカやアラビアの熱い気候の地域にいる。ピラミッド内部の壁画にも描かれているほどだ。この異世界では、「ヒヒ」なのに棲むところは違うのか。それにしても、これだけの数でも、「ひれ伏せ」は効くのだろうか。念話は通じるのかな。やってみるしかないか。

 僕は、ボスらしき個体を見付け、ファーフナ―を降りて、目を合わせた。そして、「ひれ伏せ!」と見えを切る。


 わっ、ヒヒは皆、一斉に木から降りて平伏したよ。すごいね、この特殊能力は。秀吉になった気分だ。ボスとは何となく話が通じる。いつごろからか、この辺に住み着いているだけのようだ。

 誰もたどり着けないこの地のヒヒが凶暴かどうかなどわかるはずはない。秘宝探検ストーリーとしてエルフたちの口碑に刻まれただけのことのようだ。ヒヒがいること自体は、きっと「鳥が教えてくれた」のであろう。

 ともかく、僕はこうしてヒヒたちを従えることになった。


 早速、廃墟の建物を見て回る。一部のヒヒが付いてくる。好奇心が旺盛だ。それとも、主人に対する忠誠心か。餌がほしいだけか。ちなみにヒヒは雑食だ。考えていることが、そこまでは読めない。読む必要もない。ただこれだけは言える。人たるもの、自分に都合よく考えておけばよいのだ。期待してはいけない。所詮人とペットは、お互いに別のことを考えているに違いないのだ。同床異夢だ。


 このあたりで一番大きな建造物を見付ける。石造りの荘厳な建造物だ。もしかして宮殿か。門が朽ちているので、門の両脇に神獣らしき石像がお出迎えだが、そのまま中に入る。

 大広間だ。観察しながらゆっくりと奥に立ち入る。壁に描かれた絵がところどころ壁ごと剥がれ落ちている。これらの絵は、きっと歴史的意義の高い遺物なのだろう。ただし、今から千年後になってからだろうが。僕は、そのまま奥に進む。


 かなり進んだところに、青銅だろうか金属の扉のある部屋があった。扉の前に、朽ちた甲冑のようなものと、骸骨が崩れ落ちている。どうしよう。でも開けるしかない。合掌しながら、骸骨を避け、円形の取っ手を握って壊れないように注意を払いながら扉を開ける。

 千年振りに扉を開けるというのは、大変なことだ。相当な力技は必要だ。僕の力はサムソン並みなので、どうにか開く。


 おぉ、ここはもしかして宝物庫ではないか。広い部屋におびただしい数の冠、腕輪、ネックレス、宝石類、刀剣、武具、装飾品・・・・金銀財宝とはこのことか。素材は金か。銀色の金属は銀か。いや銀であれば、黒ずんでいるはずだ。銀のように輝き、鋼のように固いとされるミスリルか。すごい。でもまさか、自分がこんな宝箱を開けることがあるとは、思ってもいなかった。


 でも、持っていけるのはごくわずかと考えると、残念な気がする。テレポテーションを使って、少しずつ運ぶか。千年後に考古学者からは、「盗掘だ」なんて怒られるのかな。そんなことを考えながら、1つずつ見て回る。

 うん?前に洞窟で見つけた腕輪に刻まれていたのと同じような模様の装飾品がいくつもある。もしかして、超能力発動器か。そんなことを考えながら、ざっと見て回るだけで1時間は優にかかった。質量ともに、「すごい!」の一言だ。ひとまず、部屋から出て、扉を元のように閉めておく。


 それにしても、この先、「宝物の価値を遥かに上回る書物」があるのだ。わくわくせざるを得ない。さっきの宝物庫の超能力発動器らしきものから推察するに、それと対になった発動式を記述した書物と考えるのが合理的だ。それこそ超人になれるのだから、無限の価値があることに間違いはない。さて、どこにあるのかな。

 宝物庫を後にして進むと、同じように頑丈な金属製の扉が目に入った。きっとここに違いない。ここにも骸骨だ。部屋の番人だったのだろうか。見ないようにして、僕の怪力で扉を開ける。と、案の定、そこは書庫であった。


 わぁ、大雑把に数えて千冊はあるか。大きさ、装丁から見て、洞窟で見つけた本と同類だ。すごいお宝だ。どこから手を付けたらよいだろう。窓はないので、開けた扉からの光では、本の内容まではよくわからない。どこか、拠点を設けて、じっくりと調査する必要があろう。まずは、拠点となる場所を探そう。


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