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18 第13階層と14階層

 実地訓練を終えて翌日、僕らは、13階層以上を攻略することにした。前回12階層から移動した際、13階層の景色を見た。まるで、熱帯のジャングルだ。方向もわからないし、何がいるかもわからない。今日は、そこを攻略だ。できれば1日かけて、14階層も攻略したい。帝都に行く時が、近づいている。もっと、多様な攻撃に慣れないと。もっと強くならないと。


 魔法陣を使い13階層に到着した。早速、オペルとチェルニーたちを呼び出し、オペルを斥候に出す。パヴィアン率いるヒヒ軍団もドロップアイテム拾いに呼び出した。

 僕らは、チェルニーたちに乗って、オペルの先導に頼って進む。僕は、両手に諸刃斧だ。12階を再挑戦した時にもう一本魔斧を入手したのだ。姉さんは、ミスリルソードに盾、いつもの通りだ。


「道なき道だね。木の間から何が飛び出すかわからないから注意してね。姉さん。」

 と、早速、樹上からマグロのように太い黒蛇が襲ってきた。斧で難なく叩き切る。蛇の皮と魔石大か。普通だな。そのあと、次々に豹だの、また蛇だの襲ってくる。森の猿たちは、僕ら目掛けてこぶし大の石を雨のように降らす。それらをすべて、斧や盾で打ち払う。

 湿地に入ると、強大なヒルが地面から飛び出してくる。植物も巨大な蔦を手のように動かし、僕らを襲う。巨大な花は、毒素を僕らに吐き掛けてくる。ひっきりなしだ。

 そして川に行き当たる。向こう岸には浅瀬で渡ることになるが、巨大なワニが控えている。

 多様なドロップアイテムは出るが、進行に結構時間が掛かる。


 3時間は優にかかったか。大量の魔物を倒したな。大小合わせて50体くらいはあるか。豹の毛皮がたくさんあるね。これをコートにして、姉さんにプレゼントしようかな。でも豹柄って派手だな。やっぱり姉さんは上品に装うのがいいね。全部買取に出そう。

 ようやくボス部屋に着いた。何がいるのかな。


 おっ、巨大なライオンだ。目が赤い。尻尾は丸太のような蛇だ。ジャングルだから百獣の王か。従者は、目玉が一つで、長くまっすぐな角が左右の頭から出ている巨人だ。鬼か。それが、10体いる。皆、巨大な金属製の棍棒を持っている。鋼かな。鬼に金棒そのものだ。ジャングルに鬼って違和感があるな。

 目玉が大きいけど、あれが弱点ではないよね。それでは分かりやす過ぎる。そんなことを考えているうちに、10体の鬼は、金棒を振り回しながら一斉に襲ってきた。


 多勢の場合は、やっぱり手裏剣だね。思い切り打ちだした。ブスブスと鬼に突き刺さる。やっぱり目に刺さっても何ともないようだ。喉とお腹が弱いみたいだな。骨が固いから、心臓には刺さりにくいね。それでも、連中が僕らの近くまでやって来る頃には、2体しか残っていなかったので、僕と姉さんで仲良く1体ずつ切り倒した。魔石特大のほか、角1対と金棒がドロップした。

 いよいよボスライオンか。その時、ボスは「ウォー」と吠えた。室内が振動する。頭が割れそうだ。うぅ、痛い。僕もアリエラもその場にくずおれる。万力で頭を潰されるようだ。試したことはないので想像だが。きっと。そして、ボスは僕らに襲い掛かる。


 気が付くと、チェルニーとベリーが超巨大化してボスの前に立ちふさがっている。巨大なライオンと巨大なピューマの戦いだ。ドスンドスンとすごい音がする。チェルニーたちは、本気を出していない。僕たちが仕留められるように、お膳立てをしてくれている雰囲気だ。気が利くね、ほんと。

 僕はまだ痺れている頭を振りながら何とか立ち上がり、巨大獣たちの戦いの中をすり抜け、ボスの腹の下に入り込んだ。そして、両手の斧を同時にその下腹に叩きつけた。


「ギャッ」という声とともに、腹から血しぶきが上り、尻尾の蛇が襲ってきた。そこで蛇の頭を胴から切り離す。すると頭だけが飛んでいく。そしてボスは、急いで後ろに飛び去る。その瞬間、僕の頭の上をボスの首が通り過ぎる。チャンスだ、僕は斧を大きく一振りしその喉笛を切り裂いた。

 しばらく立ち止まっていたあと、ドォとボスは倒れた。超特大の魔石と、たてがみ付きの大きな毛皮を遺して。コート30人分は堅いよ。さて、僕は、マリエラを支え起こして、宝箱のところにいく。


 何があるかな。蓋を開けると、何と、「ミスリルの宝剣だ!」

 繊細な細工ときらめくダイヤモンドの数々。ジャングルの秘宝の定番はダイヤだ。うっとりするね。そうだ、これは帝都の皇帝の献上品に最適だな。ストーリー作りに向いているよ。

 早めのお昼にして、ゆっくり休む。それから、14階層だ。


 14階層に出る。草原と岩山だ。巨鳥の群れが走り回っている。空にも巨鳥だよ。この階層は、凶暴な巨鳥づくしか。元の世界では恐竜が絶滅した後、巨鳥が地上をわが物顔に走り回ったという。そんな雰囲気か。20~30体の群れが、あちこちかけ回っているね。チェルニーたちに乗って進むことにする。


 ギャーギャー言いながら、巨鳥の群れは、僕らを追ってくる。まあ、倒しておこうか。

 僕らは、チェルニーたちを降り、迫ってくる巨鳥めがけて、手裏剣を撃つ。ところが、羽に当たって、簡単には突き刺さらない。長い首か。太いけど。さらに首目掛けて、大量に手裏剣を発射する。ドスドスと。次々に鳥は倒れる。間近で見ると、でかいくちばしだ。馬や鹿なら簡単にくわえられそうだ。


 巨鳥からは、羽毛が大量にドロップした。ふかふかしているし、光沢が豊かで深みがある。ベッドかドレスか。大いに使い道がありそうなので、その辺の巨鳥の群れを片っ端から倒した。


 さて、ボス部屋だ。中に入る。わっ、やっぱりでかいね。2首の凶暴な顔つきの巨鳥だ。さっきのものの2倍はある。これなら、象でもくわえそうだ。

 従者も大きいが、先ほど来の延長線上だ。20体ほどを、首を狙って手裏剣で一気に切り裂く。さて、ボスだ。


 僕とマリエラは、同時にかかる。わっ、鋭い蹴爪で引っ掻かれそうになったよ。思わず、後ろに飛びのいた。すごい蹴りだね。身体は堅い羽根で覆われているし、どこから攻めようか。手裏剣もあまり有効ではなかった。さっきの鬼の金棒で頭をぶったくか。


 そこで念話で交信し、マリエラが前、僕は後ろと陣取った。僕は、ボスの背後で隙を伺う。マリエラが正面から陽動する。ボスがマリエラを突こうとした。「今だ!」僕は隙を見て跳躍し後頭部を思い切り金棒でぶったいた。


 ボコン。サムソン張りの威力だよ。頭蓋骨が陥没した。そこを、何度もたたく。たたきにたたく。1首が力なく萎れた。もう1首だ。同じようにして、萎びさせる。

 カクンと膝が折れ、ドゥと倒れる。さすがのボスも遂には倒れたよ。後には、七色に光る羽毛がどっさり落ちた。これはすごいね。ドレスや装飾品向けだ。さあ、宝箱だ。

 今度は何かなと開ける。そこには「輝く羽のマント」があった。


 きっと何か魔力が付与されているよね。飛べるのかな。まさかね。ちょっと着てみる。身体が軽い。相当高くまで飛び上がれる。動きもかなり速くなる。ほとんど風のように。飛べはしなかったが、魔服であることは間違いない。

 姉さんが着ると似合うよ。早速着せよう。


 こうして13階層と14階層の攻略は終えた。収穫も多かったね。ボスライオンの聴覚攻撃は参った。対策を考えないと。ボス鳥は手裏剣も歯が立たなかったし、剣や斧では切れはしなかった。原始的だが撲殺系のメイスや棍棒のような武器も必要かな。一つ目鬼の金棒をスマートに改良しようか。そんなことを考えながら、ダンジョンの入口に戻った。


 早朝に入って、もう昼下がりだ。小腹がすいたね。攻略証明をもらいに、ギルドの受付に寄る。「13、14です。」というと、奥の部屋に通された。受付嬢も慣れたものだ。

 ギルドマスターのレオンと鑑定のアランがやってきた。

「大人しくしていると思ったら、半日で13階層と14階層を攻略か。話を聞かせてくれ。」という。

 僕は、「一日がかりでしたよ。」と言いつつも、いろいろドロップアイテムを見せて、階層の様子を詳しく語って聞かせた。でも僕が、ゲットした金棒を見せて、「鬼に金棒って本当でした。」と言っても2人はキョトンとしていたよ。外しちゃったね。


 そして、「お宝は、13階層のはまだ秘密です。公爵にはお話しておきます。ちょっと事情がありますからね。14階層のは、動きが軽くなる羽毛マントです。今回は、豹の毛皮と蛇とワニの皮、巨鳥の羽毛それと鬼の金棒と角を買取に出します。よろしくお願いします。」と言って、僕らはギルドを後にした。

 大蛭の痺れ粘液と人食い花の毒素は、悪用されると危ないので留保した。


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