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神々との乖離、神秘の消失、神話の終末。―現代の始まり

作者: 愚畜
掲載日:2020/10/01

焼けて、灼けて、燒けて焚けて。

大地を貫き、天まで届く程の火、炎、焔。

森は既に全滅して、多分、海も蒸発しただろう。

雨粒は地上に降るまでに炎に呑まれ、雨雲は火煙と見分けがつかない。

いつも目には見えない風も、今は空が見えない程の灰で簡単に見える。


―――たった一晩で、世界█は大きく変わってしまった。


何がいけなかったのだろう。

朝のお祈りもした。食前のお祈りも欠かさなかったし、昼も、夕方も、夜の寝る前だってちゃんとお祈りをした。女神様に祈るだけじゃなくて、自分でもちゃんと、怠けずに助け合った。草むしりをして、█も洗って、█の汚れも取って。

転んでる人が居たら手を差し伸べて。

ぶつかりそうな人には声をかけて。

何かが足りなくて困ってた人には、皆で持ってる物を分け合って。

落とし物を渡して、人探しを手伝って、親と逸れた子と付き添って。

怪我をした人が居たら、医者を呼んで、心得がある人に応急処置をしてもらった。


困ってる人を見捨てず、手を差し伸べた。必要な事を、やるべき事をやった。

傲らず、知恵を絞って、勇気を出して、欲をかかず、正しい事を。

怠けず、信心深く、希望のままに、隣人と言わず、万人を愛して。


女神様の言う通り。


女神様が教えた通り、ずっと正しい事をやって来た。

なのに―――


「なら、簡単だ。悪いのはその女神様(邪神)。そうだろう?」


気が付くと、すぐ横にヒトが居た。


「君達の全ては、あの女神(邪神)に従った結果。

なら、その結末も当然、女神(邪神)の所業だ。」


()()は、ここには居ない筈で。


「つまり、これを招いたのは女神(邪神)自身で。」


この千年間、一度も見た事の無い顔だった。


「放火は【悪】だと、女神(邪神)自身が教えた。」


その、住人でない筈の()()は。


「なら、邪神(アレ)は、紛れもない【敵】だろう?」


女神様への、冒涜を


「君には2つ、選択肢がある。」


―――


「1つ目、このまま焼け死ぬ。」


―――


「2つ目、燃えずに生き残る。」


それ、は。


「しかし、残念ながら君達は愚か()()()。」


 


「邪悪な女神の言い分を信じ、こうして破滅を導いた。」


  


「僕としても、無駄骨は避けたい。」


   


「だから、契約だ。」


    


「僕は、これから君達を助けよう。君達、人類を。望むだけ。」


     


「要するに、栄光の確約だ。ただ、流石に契約で無償とは行かない。」


      


「今回の様な事態を防ぐ為に、神々との交流を、完全に断ち切ってもらう。」


それは。神々への。


「別に良いだろう?栄光は確約する。

なら、気まぐれに厄災を振り掛けて来る神々なんて、」



「邪魔なだけだ。」


……影が、見えた。

とっくに、空は灰で覆われて、陽の光なんて、届かないのに。


「まぁ、流石に永遠の栄光は無理だけどね。僕の力も無限じゃない。」


「……ぁ」


「万年?それは大きく出たね。まぁいいや。それで行こう。」


「……ぃ、ぁ」


()()?今更遅いよ。

君達は一万年の栄光が約束される代わり、()()()、神々とは絶交だ。

……うん。とは言え、随分と時間がかかったな。六百六十六人というのは。

まぁ、背信にはぴったりの数だ。これで、神々は永久消滅。

あとついでに、君達は自力で神々と決着をつけてもらう。

ま、神々との絶交は契約じゃなくて前提だしね。

それこそ何万年かかるかは知らないけど、気長に頑張りなよ?」


「……ぇ、ぉ、ぁ、ぃ、ぉ ぁ、ぅぇ、ぅ、ぉ」


そうして、神々は消え去った。

1万年限り、人類はその栄光を疑わずに肥大化し続け……

神々の加護も、悪魔の契約も消え去った日に、一晩と経たず滅びるだろう。


女神の滅びは、一人の魔女に。

白も黒も無く、紅でも蒼でも黄色でもない、唯唯、深緑の世界線で。



悪魔の手に堕ちた玩具は、地獄の様に変わらず廻り続ける。

―――破滅まで、あと約八千年。

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