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奈落の底  作者: GEN
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1章 7話 私の旅はここから始まるぜ!

玲美は気がついたら普段通っている地元の中学校近くにある黒金公園に来ていた。ここは小さい頃母や兄と花見やピクニックに来ていた。制服は着ている物も、学校には行かず公園のベンチに座り目の前の池をマルボロを吸いながら見つめている

学校行こうにも行く気にはなれない、それどころでは無い。ただただ行きたくない。学校に行っても友達もいない、ノートには書きたくもない黒板の文字を板書する気にはなれない。

ノートにはドラえもんやしんちゃんの似顔絵が所々ある。黙々とセブンスターとは違ったタバコの独特の煙を口いっぱいに口の中へ入れて、肺の中に運び鼻と煙から出す。幸い周りには警察をおろか人がいない。公園の時計は午前中12時40分を指している。学校にはなにも連絡していない。今朝祖母が作ってくれた弁当を持たせてくれている。緑のたぬきだ。

「学校で緑のたぬきをどう食えってんだよ……」

タバコの煙と同時に愚痴もこぼし、池の中に吸殻を指で弾き捨てる。

「まぁ行くだけ行くか……」

タバコとライターをカバンの奥底にしまい公園を出て、左に進むと玲美が通っている学校が見える。お昼の時間だからか音楽が流れてる。お昼の放送が流れているのだろうか。

「この歌確かRIVERかな……まぁいいや」

校舎の門を潜り上履きに履き替え、左手に進むとすぐ右に玲美が普段通っている2年C組への階段が現れる。築年数が経っているからか、所々壁に染みがあったり年季を感じる。

賑やかな教室の気配を感じながら少し扉を開けるのを一瞬躊躇うも、ゆっくりと扉を開けると教壇の上に弁当を広げ食事をしていた担当の教員が玲美の方に目を向け驚きの表情を向け話しかける。

「ちょっと玲美ちゃんどうしたのよ、連絡もせず。心配したんだから」

「ごめん、中川さん。ちょっと色々あって」

「お家でなんかあったの?」

「そんな感じ」

「とりあえずご飯食べちゃいなさい」

玲美はカバンから緑のたぬきを出した。

「お湯ある?」

「あるわけないでしょもう……普段お弁当なのにどうしたの?」

「ないならいいよ。牛乳飲むね」

玲美は給食が運ばれてくる台車の下段から牛乳を1つ手に取り、中央の列の前から2番の目の席に座る。

「玲美おはよ、なんかあったの?」

前に向かい座っている鶴丸が興味深そうに聞いてくる。机の上には学校の給食が置かれており、ほぼ食べ終えている。

「んん、まぁ色々」

「あれ今日お母さんのお弁当は?」

「ない」

玲美は冷たくぶっきらぼうに返し、それ以上の問いには答えなかった。冷たくほのかに甘く先程まで吸っていたマルボロの匂いが混じる。そんなことを感じていると、猫みたいに眠たそうな声で、前髪を髪ゴムで上げ、少し目が細くした西尾が玲美に問い掛ける

「食べる?」

玲美がその言葉の方に目を向けると西尾がエビフライを箸で摘んでおり玲美の方に向けていた。

「食べる、あーん」

「やっぱり上げない」

「なんだよケチー」

玲美は軽く笑うと昼食の時間が終わりを知らせるチャイムが鳴り玲美はトイレに向かい、扉を開ける寸前に玲美の背中に鈍い衝撃が走り体制を崩す。おそろく誰かに背中を蹴られたのだろう。

「痛った……」

後ろを見るも髪の毛には整髪料恐らく付け髪の毛が不自然に立ち上がってズボンを腰より下に履いてる男子が、けたけたと笑いながら2人で走ってく姿を確認した。恐らく同じクラスメイトの松井だ。

「うざ」

ボソッとつぶやき、用を済ませ教室に入る。


席に座ろうとするも、机の横のフックにかけて合ったカバンに違和感を覚える。普段ドラえもんのストラップを付けており、そのドラえもんの顔が黒く塗りつぶされている。そしてゲラゲラ笑う声に気づき周りに目を向ける玲美の筆箱を投げあっている男子がいる。思わず玲美は声を上げる

「やめろよ」

恐らく先ほど玲美に蹴り飛ばしたあろう松井が鼻で笑いながら答える

「いや、やめねえし文句あんのかよ」

「いいから返せ」

「わかったよ返すよ」

松井はそう言うとベランダの方に筆箱を投げ捨て2階玄関の方に落ちて行く。玲美はその時血の気を引くと同時に無意識に右腕を黙って松井の右頬を振り抜いていた。

周りがどよめくの無視し自席にかけてあるカバンを手に取り教室から出た。松井が後ろから何か言ってるが気にせず、下駄箱にしまっている靴へと履き替え、目の前に転がっているペンやら付箋を拾う。玲美は付箋に目をやると付箋にはメッセージが書いてあった

(ちゃんと勉強してるか?ちゃんとご飯食って午後の授業も頑張るんだぞ)

それは美千代が毎日弁当と一緒に添えてくれているメッセージだ。玲美はその付箋を毎日捨てず筆箱の中にしまっている。

「もうなんかいいや」

玲美はボソッと呟き学校をから出て、国分寺へ向かうことを決める、国分寺には玲美がいつも通っているゲームセンターがある。そこには玲美が小さい頃からやっている鉄拳があり、たまに遊んでいる。

昼間なのに薄暗いお鷹の道へ入るルートに向かう、周りに竹やら木が多く生えており、右には小さな川が流れている。道なりに進むと左手に屋根が着いたベンチがあるのを発見し腰をかけると、カバンを開きマルボロとライターを取り出しマルボロを口に咥え火をつける。

財布も取り出し所持金を確認するも3000円しかない。

「マックでも行こうかな…どうしよ。私もどっか行こうかな……はは」

呟きながら煙を吐き出す、周りには鳥の鳴き声や風のざわめき等が聞こえてくる。まるで家にも帰んなくていいんじゃない?って言ってるかのように玲美には聞こえる。玲美は根元ギリギリまでマルボロを吸い慣れた手つきでタバコを投げ捨てベンチから席を立つ。


≡└(┐卍^o^)卍ドゥルルルル≡└(┐卍^o^)卍ドゥルルルル


国分寺駅を北口に抜け右手に歩く。周りにはパチンコ屋の騒音やら人の会話が玲美の耳に入ってくる。道なりに進むと玲美が普段通っているタイトーステーションが目に映る。

薄暗い店内に入ると冷房冷気が玲美の肌を包む。あらゆる筐体のゲームを抜け右手にある階段を降りると、左手にプリクラのコーナがあり、それを抜け左に進むと玲美のお目当ての鉄拳がある。

「へへ…」

玲美はにやりと笑いカバンからタバコと財布を取り出し、カバンを床に置きマルボロに火をつけ、100円を入れる。

画面はキャラクター選択画面に映ると同時に、バナパスカードを画面下にあるリーダー部に近づけると画面には、ごついロボットとカンフー姿の恐らくジャッキーチェンらしきキャラクターが映し出される。

オンライン対戦モードを選択しすぐにマッチングされる。玲美は今回ロボットのキャラを選択している。画面上部に体力バーがあり、その左下にはプレイヤー名がある、そのプレイヤーはラム先輩の愛のお話と書いてある。更にその下には鉄拳王と書いてある。

暫くマッチング待機の間cpu戦になるもすぐにマッチングされ相手のキャラクターは手にボクシンググローブをはめているカンガルーだ。お腹のポケットには子供のカンガルーも入っておりその子供もグローブをはめている。見慣れてない人からしたらとてもシュールな絵面だ。

ロボットとカンガルーが激しく殴り合い、玲美が操作するロボットが相手のカンガルーを浮かせる技が当たり空中でのコンボが炸裂する。

「ふぅ」

玲美は小さく奇声を発すると同時に右足を左足に乗せ、口にくわえていたタバコを灰皿に置く。

「やっぱり私強えー……ん?やべ」

玲美は周りを見渡した先に警察官が巡回してるのを発見しタバコとライターと財布カバンにしまい、すぐさま席を立ちいそいそと店外へ向かう。

「あっぶね…これからどうしよ」

そう呟きながら駅へと向かう。人混みを駆け抜け駅に続く階段を上り券売機に向かう。券売機の上には路線図があり玲美は路線図を眉間に皺を寄せながらするどく見つめていた。

「もういいや、アキバに行こ。あ、その前に一旦着替えに家に帰ろ」

玲美は財布を取り出し西国分寺に行くキップ140円を購入し、改札へと入る。下り線方面のホームに向かう為階段をおりるとすぐに電車が到着する。そのまま扉が開くアナウンスが流れる続いて扉が開く。玲美はそのまま扉の横に壁に持たれかかれ、扉が閉まる。列車が動き出すと普段自宅から国分寺方面へと向かうルートが電車の中から映し出される。2分も掛からず西国分寺に到着し、電車の扉が開き乗り換えなのか多くの人が電車から降りる。玲美は早足でエスカレーターに乗り、そのまま足早に足を止めずに、エスカレーターの階段を上がっていく。玲美は切符を改札にキップ入れ駅を出ると、昨日美千代と飲み歩いていた視界が広がる。真っ直ぐ進むと右にはスーパーマインがあり、左にはレガがある。一階には宝くじコーナーやパスタ屋が入っており2階には本屋がある。玲美は足早に真っ直ぐ進み1分も掛からず、都営住宅の自宅に到着する。エントランスには都営住宅の住人である、紫色の花柄のババシャツを着た老女がエレベーターの到着を待っている。

「こんにちは」

玲美が挨拶をすると老女が玲美の方に振り向き、にこりと笑う。

「あらこんにちは、今学校の帰り?」

「はい」

「あらそう」

玲美は淡々と返事しているとエレベーターが到着し乗り込むと6階のボタンを押す。老女は11階へ行くボタンを押した。

エレベーターの中は終始無言で、玲美は美千代が帰宅しているという淡い期待を抱くと同時に心臓の鼓動を速くなるのを感じた。

エレベーターが6階着いたのを知らせるアナウンスが流れ、右手に進むと606号室があり、玄関の扉の横には室外機があり、その目の前には水色のママチャリが置いてある。

「ただいま…」

ぼそっと呟き玄関を開けると、靴が乱雑に転がっているが美千代のサンダルは無い。玄関を上がると右には母と父が生活している部屋があり、オンラインゲームの音楽と謙治のいびきと混じって聞こえてくる。

静かに2人の部屋を開けるも美千代の姿はなく、父が白いTシャツ姿にトランクス1枚で腹をだしながらでかいいびきをかきながら寝ている。

「こいつ……」

玲美毒を吐きつつ、襖を閉めリビングへと続く扉を開けるも誰もいない。左手にある冷蔵庫をあけ、冷え2Lのカルピスを手に取りラッパ飲みをする。壁にかかった時計を見ると午後3時半を示している。玲美は時計を確認し部屋に入る。

制服を脱ぎハンガーにかけワイシャツを脱ぎ床に乱雑に投げる。ワイシャツ以外にも漫画やらゲームが床に乱雑に置かれている。玲美の部屋の左手にピアノがあり、汚れてピンク色なのか茶色なのか分からないピアノカバーが被せられていて、その上には畳んだ洗濯物やカバンが置いてある。

玲美はピアノの上に置いてあるリュックサックと手に取りチャックを空け、数日分の下着や洋服、愛用している卓球のラケットを入れた。勉強机の上に置いてある郵便ポストの形をした貯金箱があり、お金を入れる下には小学生の時好きだった理沙とのプリクラが貼っていて、その2人は抱きついている。その貯金箱もカバンに雑に投げ入れる。

「あとは……」

玲美はタンスから白をベースとしたミッキー絵柄が入っているTシャツを黒のキャミソールの上から着て、パーカーとデニムの短パンを引っ張り出す。今出して床に転がっている洋服を着こみカバンを手に取り脱衣場に向かう。

脱衣場の棚からフェイスタオルとバスタオルを2枚手に取りリュックサックに入れる。そのまま再度玄関に向かいスニーカーを履き後ろを振り向かず呟く。


「行ってきます」


ちなみに母の得意なキャラはモヒカン頭のポールでした。

ウォアアアアアアーー!

ちなみには次のお話は結構カオスです

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