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奈落の底  作者: GEN
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1章 6話 父ちゃん母ちゃん玲美も翔平も

美千代のお気に入りのカラオケのある居酒屋にしこくむらに向かってる最中美千代は楽しそうに何かの歌を口ずさみながら玲美の指を絡めながら握ってきた。

玲美はそれに動じず黙ってそのまま手を繋ぐ。

何も思わず話さず黙ってされるがまま。

前いた居酒屋の店を右に進み1分もかからずにしこくむらに到着する。左手にカウンターがあり、右には1段上がると畳み上にテーブルがあり壁は所々茶色く染みになっており、恐らくタバコのヤニが原因だろう。

「こちらおしぼりとお通しです。お飲み物はいかがなされますか?」

20歳前後の髪の毛を後ろに結び、お店の名前が入ったエプロンを掛けている女の店員がニコリと笑い尋ねる。

「んーじゃあ私はビールとぉ玲美もビールでいい?ビールふたつで、玲美何か食べる?卵焼きとかあるよ」

「あ、食べたい」

ぽつりと玲美は返事する

「卵焼きとあと枝豆ください。あとカラオケもお願いします」

何故母は店員とやり取りする時声のトーンが上がって語尾が少し上がるのだろうか。そんな事を思いつつ母と店員のやり取りを横目に見ながらお通しのキンピラごぼうをちびちび食べていると母が微笑み掛けみ、酒臭い息で玲美に話しかける

「なぁんでママの隣に来ないのよ?こっちおいで隣にほら」

隣に座るよう畳を叩き、玲美は軽く返事をし座布団持って隣に移動し座る。

母の隣に座ったのと同時にビールとえだまえが運ばれてこられ、デンモクとマイクも運ばれてきた。

「よし玲美乾杯しようぜ、はい乾杯ー。」

美千代はニコニコしながら玲美のグラスとぶつけそのままビールを勢いよく飲む。玲美は母が美千代がビールを飲んで動く喉仏をじっと飲みながら舐めるようにビールを飲む。

「さーてママ何歌おうかな」

「お母さん唇に泡ついてるよ」

「え、まじ?玲美口拭いて」

玲美はテーブルの上におしぼりを手に取り美千代の唇を拭くとそのまま美千代が玲美の唇にキスをした。

「恥ずかしからやめて」

「いいじゃん、ママと玲美しかいねえんだし」

美千代はにひーと言い歯を見せて笑う。玲美はおしぼりをテーブルの上にぶっきらぼうにおしぼりを投げ母の行動を観察する。

「私これ歌うから次玲美歌えな」

そう言うと美千代はモニターにデンモク向けすぐに音楽がなり始める

この歌は母が好きなアニメのベルサイユのばらの主題歌だ。母が昔からカラオケする時によく歌っていた

「草むらに名も知れず咲いている花のならば」

普段から高い声をワントーン上げて、時折玲美の方を向き微笑みみながら歌っている。玲美はモニターのアニメの映像をぼーっと見ていると美千代からマイクを渡せれる。

「玲美歌え」

「えぇ…」

「いいから」

美千代は催促し玲美はマイクを手に取りサビを歌う

「私は、薔薇の運命に生まれた、華やかに激しく生きろと生まれたー」

玲美はほぼ棒読みで美千代みたく声のトーンを上げずに無表情で歌っていると美千代がいえーーいと楽しそうに笑い、ビールをがぶ飲みしている

「薔薇は薔薇は気高く咲いて、薔薇は薔薇は美しく散る」

子供のようにいえーいと言いながらはしゃいでいる母を無視しマイクを置く

美千代は少女のように笑いながら玲美に催促する

「玲美あれ歌ってよしんちゃんのラップみたいなやつ」

「えぇ…恥ずかしよ」

「いいから」

「うん…」

玲美はテーブルの上にあるデンモクを取りタイトルを打ち込む、カウンターからはお姉さんも聞きたーいとさっきの店員が楽しそうに言っている。

玲美はだんだん鼓動が早くなり顔が赤くなっているのを感じている。

玲美はデンモクをモニターに向けすぐにスピーカーから音楽がなる

「ゆるりゆるゆるおげーんきくるりくるくるうずーまき」

玲美は顔を真っ赤にしながらラップとはとても言い難いカタコトの言葉を発している。そんな様子を美千代はゲラゲラと笑いながら玲美の歌っている所を携帯でビデオ撮っている

「父ちゃん母ちゃんひまわりゆるりゆるゆるーYO!YO!YO!YO!」

玲美は耐えられなくなりマイクを置きデンモクの演奏中止ボタンを押しビールを勢いよく飲む

「えーなんで消すんだよ。」

「そんなにゲラゲラ笑われると恥ずかしい、やだよ。。」

「たっくノリ悪いやつ…」

そう言いつつも美千代は笑顔でテーブルの上にセブンスターに火をつけ、玲美に優しく問いかける。

「玲美ママと青森行かない?」

「青森?」

「そ、青森。ママの親戚の青森のおばさんちに行こ。お前学校でも虐められてるんだろ。いいじゃん」

「…」

玲美は俯き返事をしない

「まぁ冬は寂いし家にいてもはぁーすると白い息がでるけどな」

「けど学校に友達もいるし…」

「そうかよ、じゃあママ1人で行こうかな」

「え、やだよ行かないでよ寂しいよ…」

「じゃあ一緒に行く?」

ははっと美千代は軽く笑いビールを飲む

「ほら玲美あーん」

美千代は枝豆を手に取り玲美の口元に持っていき玲美は黙って食べる

「美味し?」

「あんまり…」

「まぁ考えときなね。あ、パパからメールだ。パパ来るらしいよ」

「え、ここに?」

玲美は目を大きく見開く

「そ、ここに」

「えぇ大丈夫なの?」

「なにが」

「いや色々とさ…」

「知ったこっちゃねえよ、イザとなったら玲美ママの事守ってね」

「えぇ…」

そんなやり取りをしていると扉のベルがなり外の冷気が入ってくると同時に中年らしき男の聞き馴染みの声がする。

「お前ら何やってんだよ、帰るぞ」

「げ、お父さん」

美千代は父謙治に目を合わせず、セブンスターの煙を言葉と同時に吐き出す。

「あたし帰んない」

「良いから帰るぞ」

「玲美あんた先家に帰ってな、ママとパパあとで帰るから」

「え、でも…」

「いいから帰んな」

美千代は少し口調を強めて帰りを促し、母のセブンスターを2本とライターをこっそり持っていく。

「早く帰ってきてね」

「あぁ」

美千代は冷たく返事し、先程美千代が青森へ行く誘いが頭に引っかかる。

玲美にしこくむらを出て徒歩1分程で家の下に着くが、家には帰りたくなく、家の下のつるつるとしている1mくらいの高さの石の上に座りセブンスターに火をつけ鼻と口から煙を吐き出す

「お母さん大丈夫かな…帰ってくるかなてかお酒臭くないかな?」

そうつぶやくと白いパーカーの袖の部分に鼻を近づけるも首を傾げる。

「家帰りたくないなあ、あーちゃんになんか言われそう、まぁいいやさっさと帰ろ」

そうつぶやくとセブンスターを指で弾き捨てエレベーターに乗り6階に上がる。

玄関の扉を開け黙って家に上がると祖父貞子が玲美をまるで汚物を見るかのように足元から顔を見る。

「なぁにあんたどこ行ってたの、うわ酒臭い。あんたママと飲んできたの?ママは?」

「知らない」

玲美は吐き捨てるように返事し貞子に目を向けず部屋に戻るも貞子が部屋の扉を開けて再度尋ねてくる。

「パパは?」

「知らないって」

玲美はパーカーとホットパンツを脱ぎ捨てながら貞子には目を向けず布団に入る。 貞子は神経を逆立てするかのように玲美に毒を吐く

「ほんっとあんたのママってどうしようもないね、あの女酒ばっか飲んでヤダヤダ、あーちゃんに迷惑かけないでよね」

「うっさい!寝るから!どっか行って!」

「なにようっさいって」

玲美は布団から勢いよく出て襖を力ずよく締め付け襖の奥から貞子のボヤキが聞こえる

玲美はそのボヤキを無視しそのまま布団に入る。

すぐに夢の中に引きずり込まれ、美千代とカラオケををしている夢を見ていた。

ただ夢から覚め時計を見ると既に朝の6時半を指している。この時間になると母が起こしに来る時間なのだが来ない。

嫌な予感がし、台所で料理をしている祖母を無視し、母と父が同じ部屋で過ごしている部屋に行くも、父はいびきを書きながら寝ているもそこには母の姿が無かった。

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