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希望  作者: もんじろう
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 私の背後から、作業用ロボットがネットで注文した商品を片づける音がする。


 ラジオからは男性アナウンサーの共産主義国家を非難する声が、延々と垂れ流されていた。


 そして、諸外国に対して異常なまで強気な外交政策をとる大統領への賛美の言葉。


 我々の国は世界を支配しようとでもいうのだろうか?


 覇権を争う共産主義国家との関係悪化は、まったく改善されず、ひどくなる一方だ。


 情報媒体では過激な発言が飛び交い、まるで気が休まらない。


 私は気晴らしのために家を出て、海が一望できる(と言っても、私には見えないのだが)庭へと歩いた。


 私の家は岬の丘に建つ、一軒家だ。


 父が若いとき、母といっしょに暮らすために建てた。


 この瞬間、私が立っている庭から、大海原の地平線へと沈んでいく夕陽が見えているだろう。


 まだ私が幼かった頃、父はよく、この庭で夕陽を見せてくれた。


 その美しく壮大な情景は事故で視力を失った今も私の頭の中に、くっきりと思い出せる。


 夕陽の赤い光が私の全身を照らしていると考えるだけで、エネルギーが湧いてきた。


 活力が補充されていく。


 気候の良い日は、私は必ず夕陽を浴びた。


 私にとってこれは、亡くなった父との絆を確認する作業なのかもしれない。

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