望
「みどり言ってたでしょ、教室にグループを作る人間がいて結局皆と仲良くできなかったってその原因を作った人間だよ」
「そんな原因だなんていってない」
緑が言った
「はあ!あんたそんな感じで言ってただろ!」
みどりは萎縮してしまった
「まあいいや、そこで結局みどりはしばらくして転校したからその後どうなったか分からなかっただろうけど、私がハブられたんだよ」
「え」
みどりはびっくりした顔をしている
「驚いた顔してる、はは、あのクラスの人気者がそんな事なるはずないって思ってるんでしょ、私もそう思ってたよでも実際はそういうことよ、はは」
「それでどうしたの?」
「それでどうしたの?じゃねぇよ、それで嫌になっちまったんだよ学校生活がよ、だからこの中学校に来た時透明になれるって聞いたからここに入学したんだよ、それで楽出来ると思ったら、今度はお前みたいな変な奴が現れて、説教始めやがって」
「ちょっと姿だしてくれる?」
「はあ?なんでそんなことしなくちゃいけなの?わけわかんない」
「表情をみれば、もっとあなたの事が分かる」
「はははは、面白いちょっと久しぶりに面白いわ、じゃあ姿出すわ、まあ明日からまた透明だけど、でもそれで分からなかったらどうするの?」
「分かるからいい」
「はは面白い、うんじゃあ姿だすわ」
「さて、これで分かるの桜ちゃん?」
「うん、わかったよ」
「いやいやあのねそんな一瞬で人の気持ちだったりは分からないんだよ桜ちゃん」
「分かったのよ」
「じゃあ言ってみてよ」
望が急に落ち着いて言った
「あなたがそんなに心が乱れたのは、友達の輪から外れたのもあるけどそれだけじゃない」
「へぇーすごいすごい!でもそんなの誰でも言えるよそのあとは?」
「あなたがイライラしている理由は勉強も関係してるね」
「さっき言ってたもんねそれで勉強の・・なに?」
怒りも入りながらも静かに聞いた
「あなたは勉強を義務と感じてストレスを感じながらも無理やり勉強していた」
「へぇすごいねもっと続けてみてよ」
うつろな目をしながら小さい声でいった
「それで人間関係がつぶれたんでしょ」
「そうだよ!でも全然詳しくないな、もっと詳しくいえないの?」
「それ以上は自分で話してみてよ」
「はあ、そこまで分かってんなら全部当ててみろよ!」
「そこからはあなたの口から話して」
「はあ、結局そこまでしか分からないのかよ、ああ損した透明になーろう」
「でもあなたの口から話せば私は解決策を出すことが出来るわ」
「面白いね桜ちゃん、話を当てるだけじゃなくて解決もできるの?すごーい!」
「なんか話したくなってきたわ、あまりにも長いから」
「私ね、親から勉強しろしろ言われてきたの、でもね勉強する意味が分からなかったから本格的にはやらなかったの、その時はね、みどりと一緒な気持ちだったんだよ、みんなと仲良くできるような教室を作りたいって」
「そうなの?」
緑が言った
「うんそうだよ!」
ハイテンションで緑に答えた
「でもね、ある日見てしまったんだ、偶然動画サイトで食べ物が無くて苦しんで居る人のリアルな姿を、なんでかなその時から親の言ってたことが急に分かった気がするんだ、きっと日本は今これだけ恵まれているけど、いつあんな状況になるか分からない、だから備えておけってことなんだなって」
「そこから勉強ばかりしたよ、学校が終わってから塾にいって帰ってきてからも夜まで勉強そしてまた学校に行く休日も夜まで勉強、それを続けているとね、どんどん疲れが取れなくなってくるんだ、でもねそういうときまたあの光景が目に浮かぶの、そうするとまた怖くなっちゃって勉強しちゃうの、限界だったんだろうね、正直みどりと同じようにみんなと仲良くする余裕なんてなくなっていってた、本当はみどりと同じように皆と仲良くしたいでも、グループだけで話すのが楽で周りに気が行かなかった、そしてみどりが転校してから更に勉強の疲れがたまって行った、グループの人たちと話していてもそっけない態度だったりしてどんどん離れていった、そしたらいつの間にかグループは別のグループを作って私は一人ぼっちになってた、それでも勉強はつづけた、学校でも辛くてそのあとも勉強でつらくてもう限界だった、寝てる時にね、自然と涙がでたの、なんで私生きる為にただ頑張っているだけなのにこんなに辛いだって、この中学校に入って透明になって少しは学校のつらさがなくなったんだ」
そして怒りを込めて言った
「それをいちいち話させやがってこの桜が、ふざけんな!」
すると急に望が落ち着いた
「なんか面倒だわ、これから家帰っていつも通り勉強だからじゃあ」
透明になりかけようとしていた
「勉強やめなよ」
桜が言った
「はあ!だから言っただろ勉強は義務なんだってやらないと駄目なんだって!」
「あなたそこまで生きる事に執着してるけど、寝る前に涙でたっていってたよねそれでいいの?」
「いい就職していい給料もらって貯金もして少しでも生き残れるように努力して何が悪いだよ!」
「確かに勉強はいい事だよ、でもあなたは時間を消費してるよ」
「なんだよ時間を消費してるよって、はは、生き残れなかったらもっと時間ないだろうよ」
「確かにあなたの言うように日本が苦しい国になるかもしれない、でもならないかもしれない」
「そうだよ、でもなるかもしれない、その時に備えておけば助かるだろうが!」
「そうだね、でも時間は消費するよ」
「またでたよ、なんだよそれ」
「あなたはやりたいことはないの?」
「あるあるあるよ!みどりみたいなクラスをつくりたいと思ってたよ」
泣きながらやけくそで言っている
「じゃあそれやればいいじゃん」
「だからそんな時間も余裕もないんだよ!」
「人生一回しかないんだよ、時間は決められているの!そんな嫌な時間ばかりを消費するよりやりたいことあるならその時間に使いなさい!」
「時間が決められているってどういうことだよ」
泣きながら聞いた
「もし自分が亡くなる時間が決まっているとしたらもう残りの時間は決められている、あなたはまだまだ長いと感じているかもしれないけどそんな事分からない、その大切な時間を涙流してまで苦しい思いをする為に時間に消費するの?」
「時間が決まっているんだとしたらそんなの嫌だよ、こんな苦しい時間もう過ごしたくない」
「ならそうしなさい!」
望はしばらく泣いていた
そしてはなし始めた
「私はこれからやりたい事をやる、前は作り上げられなかったみどりと同じ思いを今度は作り上げる、ただ勉強も少しだけする、やっぱり少しは続けたい」
「うん、私も望と今度こそ一緒に仲良くしたい」
みどりが言った
「きっとバランスが大切なんだよ、望ちゃんは偏り過ぎたんだよでもこれからはバランスよくできそうだね」
さくらが笑いながら言った
「うん、出来そう」
望が泣きながら静かに言った
「霧君もありがとう結局1時間くらいかかっちゃたけど大丈夫だった?」
「ああいいよ」
「じゃあ4人で帰ろう」
「うん」
「うん」
「僕はちょっと用事を済ましてから帰るよ」
「えー、まあ分かったよまた明日」
そう言って3人は一緒に帰って行った
「どんどん透明の人間が透明でなくなってきている、さて全員が透明でなくなる可能性も出てきたかもしれないな」