歴史を作るもの9
女の子が不思議そうな顔をして僕を眺めている。
「トウキョウ。聞いたことない場所だけど、遠いいの?」
東京を知らないということは、やっぱりどこかの発展途上国にきてるのかな…
「たぶん、遠いのかも。」
僕の返事に、女の子が不思議そうな顔をする。
「ここは、何ていう国なの??」
「??」
「国って何?知らない言葉だから、よくわからない。」
国って言葉を知らないってことは、学校もないような発展途上国なのかな。
それにしても日本語が通じるのがファンタジーだな。
「そっか。あ。僕の名前はセイジ。よろしくね。」
「セイバ。よろしくね。私はマヤ。」
えっとー…せいじなんだけどな…
ま、いいや。好きに呼んでもらおう。
「マヤはこれからどこに行くの?一緒について行ってもいい?」
図々しいかなと思ったけど、旅の恥はかき捨てっていうし、良いよね。僕の夢の世界なんだし、問題ない。好きに生きるぜ。夢の中くらい。
「いいよー。今から魚を取りに行くけど、セイバは魚取りできる?」
魚釣りのことかな…。それならいけるかも。
「前にやったことがあるから、たぶん大丈夫」
「じゃあ、川まで行こう!」
マヤは明るい声でそう言って、僕に微笑んだ。