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人類滅亡が確定した世界をチート能力で救うことが出来るか?  作者: 平 来栖
第3章 魔法少女になれた日 〜死村 メイ〜
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第38食

『……ちゃん……おきて…………』


『……ちゃん……がんばって……』




 また、だ。



 また、誰かがわたしを呼んでいる。



 いったい誰なんだろう?



 どこかで聞いたような声だけど―――



 けど、頭にモヤがかかったみたいに意識がハッキリしなくて、いくら考えてみても声の正体は分からなかった。



 声はさきほどよりもはっきりと、わたしの頭の中に響いている。

 聞いているうちに不思議と身体の奥から力が湧いてくる、そんな不思議な声。




 わたしは声に助けられ、そっと閉じていたまぶたを持ち上げる。


 

 そして、視界に飛び込んできたのは――――






「グ、グロ丸!?」



 

 わたしとセツコさんを守るように天井に貼りついているグロ丸の姿だった。


 形は大分変ってしまっていたけど、全身から放たれる神々しい輝きは間違えようがない。


 


 これはグロ丸だ!



 グロ丸は四肢を伸ばしたヒトデのような形になってドームを形成し、天井の崩落を食い止めてくれていた。




 ブルブルブルブルブルブルブルブル




 はっきりと分かるくらいにグロ丸の体が痙攣しているのが見て取れる。


 

 きっとトンデモない重さが体にのしかかってるに違いない。想像すらできないほどに。



「グ、グロ丸!? だ、だいじょうぶなのっ!?」


 

 ブルブルブルブルブルブルブル 



 その時、グロ丸が全身が一瞬だけ激しく光り輝いた。


 それは、わたしに向けて「心配するな」というメッセージを送っているように見えた。



「グ、グロ丸」



 ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル



 必死になってわたし達を守ってくれているグロ丸。

 けど、だんだんと振動が激しくなって、輝きが不安定になっていく。




 ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル




 その健気な姿に、胸が締め付けられる。



「も、もういいから、ムリしないで」



 思わずそう声をかけてしまうほどに。



 ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル




 それでもグロ丸は力を緩めない。

 やがてグロ丸の光が明滅を繰り返すようになる。





 こ、これ、見たことある。




 これ、信号が点滅して、色が変わる時の―――






 バチンッ





 そして電気のスイッチを消した時のように、一瞬にして輝きが失われる。



 




 ……………




 …………





 ………





 再び視界が暗黒に包まれる。



 けど、天井が落ちてくる気配は―――ない。


 

「グロ丸…………?」



 わたしはおそるおそる手を伸ばして、そっとグロ丸に触れてみる。





 冷たい。





 ひんやりとした冷気が指先に伝わってきた。


 そこに、先ほど感じた生命の鼓動はまったく感じられなかった。




 そして、




 コン、コン




 グロ丸はとても固くなっていた。




 ゆっくりと手を天井に沿って這わせてみる。



 グロ丸はどうやら先ほどの状態のまま、天井に貼りついて固まっているようだった。





 そう……そう、なのね。


 理由は分からないけど、



 何が起きたのかは明らかだった。



 この子は命を賭けて、何の縁もゆかりもないわたし達を、守ってくれたのだ。




「うっ、うぅぅ」



 その事実に目頭が熱くなってくる。


 今度はその涙を押しとどめる必要はないと思った。


 この涙はさっきとは意味が違うし、それに―――


 なにより押しとどめようとしても、この勢いを止められることは、出来そうになかった。





―――――――――――――――――――――――


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