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人類滅亡が確定した世界をチート能力で救うことが出来るか?  作者: 平 来栖
第3章 魔法少女になれた日 〜死村 メイ〜

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第29食

「オイッ!! テメッヨーコっ!!!! いい加減にしやがれっ!! やる気あんのか??!! もう時間がねぇぞっ!!!!」



 再び、兄貴の怒号が飛ぶ。



 メイの話はもう終わりのようだった。




 けど、まだ気配は感じる。





「……メイ、ありがとう。お姉ちゃんようやく目が覚めたよ。……お礼に勝利をプレゼントしてあげる」




 ハッと息をのむ声。そして。




『ヨーコちゃん今のキメ台詞、最高にふぁぼ♥だったよ!』






 ふぁぼ? うん、やっぱりちょっと分からない。




 けど、それも含めて、とてもメイらしかった。

 






 VRモニタには発光している≪終末獣≫のCGが投影されている。


 そして輝きが一定に達したところで、口からビームが放たれる。


 数コンマ後に、画面一面が白い光に包まれる。



 私の今まで闘ってきた終末獣とは違う。

 充填から発射までの感覚が恐ろしく短い。



 どうやらかなりランクの高い≪終末獣≫みたいだ。






 …………それがどうした。





 私は救世の乙女なんだぞ?




 

 この街から世界を救う最強のギシン……いいや、そうじゃないな。





 私は、最強のお姉ちゃんなんだ。




 妹のためなら、何だって出来る女なんだ。





 お前なんかが敵うわけないだろ。








 一日に二度も消滅弓を放ったことなんてない。





 ある訳がない。






 それがどうした。



 


 体に問いかけてみる。




 いけるよな? もう一射くらい?







 ……返ってきた答えは……NOだった。




 膝が笑いだす。




 ついでに私も笑う。






 残念だ。仕方ない。







 ガックリとうなだれ、そして―――いう事を聞かない膝を思い切り殴りつける。







 生存本能のスイッチを切る!!!




 ここから先は、思いの力で身体を支配するんだ!!!






 そして放ってやる。






 もしかしたら最後になるかもしれない、命がけの一射を。





 でも絶対に死なない。





 私は最後まで生き延びなければならないんだから。




 

 メイのことをずっとずっと覚えていなきゃいけないんだから。






 意思の力で弓を構える。



 呼吸を整え、狙いを定める。



 指先に余計な力は込めない。あくまでも自然体。





 やがて消滅弓が形を成し、私の弓に番われる。





 全ての準備は整った。



 もう迷いはない。



 

 ドクン、ドクン




 心音がやけに大きく聞こえる。

 これは調子がいい時のリズムだ。





 体全体で弓を引いていき、そしてある一点でピタリと止める。





 絶対に外しはしない。




 そう、私の神威は――――百(・)発(・)百(・)中(・)な(・)ん(・)だ(・)!!





 やがて、自然と指が弦から離れていく。





 ビュンッ

 




 





 



 

 放った瞬間、分かった。


 私の放った矢は―――








 次の瞬間、視界に映っていた≪終末獣≫のCGモデルが弾けるように四散し消える。





 終わった。




 私の勝ちだ。




 私の消滅弓によって、≪終末獣≫は撃退された。





 やったよメイ、お姉ちゃん勝ったよ。




 メイを早く安心させてあげたくて、残心すら忘れて私は勝利を報告しようとする。






 その瞬間





 ズキン






 うっ!!





 体中に激痛が走った。



「かっ、はっ、ぁぁ」





 これは………………耐えられない………ヤツ…………だ。




 

 ゴンッ!!




 頭から地面に激突する。


 VRメットがなかったら、大ごとになっていたかもしれない。






 そして、あまりの痛みに悶絶する私の視界が、再び白一面に染まる。








 先ほどの≪終末獣≫の攻撃とは比べものにならない程、激しく、全てを洗い流すような白の本流。



 まばゆすぎて、網膜が焼き付きそうだった。



「くっ、うぅ」



 目の奥までズキズキと痛み出す。



 な、なんなの一体!?




 痛みに耐えながらかろうじて目を開いた瞬間、飛び込んできたのは












 UNKNOWN―――の文字。












 えっ――これって―――






 信じられなかった。





 いや、信じたくはなかった。



 だけど、偵察衛星群が捉えた映像、それを元に再構築されたCG。

 それは今、この世界で起きている事実をありのまま再現しているに過ぎない。




 力を失い崩れ落ちた私の視界に映ったのは、



 銃らしき武器を構え、銃口をこちらに向けた、新たな≪終末獣≫の姿だった。

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