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人類滅亡が確定した世界をチート能力で救うことが出来るか?  作者: 平 来栖
第3章 魔法少女になれた日 〜死村 メイ〜
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第7食

「ごめん、言ってる意味がよく分からないんだけど、そのふぁぼ何とか、って一体なんなの? それに……悲しみしか残さないって一体どういう意味?」


 私の質問を受けたセツコさんは、一歩下がるといきなり大仰に頭を下げてきた。


「……失礼いたしました。私としたことが突然訳の分からないことを申し上げて、混乱させてしまいました。謹んでお詫び申し上げます」


 それは腰が90度曲がる程の深々としたお辞儀だった。逆にこちらが申し訳なくなってしまう。


「い、いや、そんなかしこまらなくてもいいよ。それよりさっきの質問に答えてくれないかな?」


「……承知いたしました。コホン、では」



 そう言うとセツコさんは顔を上げ、一つ咳払いしてからトツトツと語り始めた。



「まず、最初のご質問ですがふぁぼ♥ふぁぼ♥シスターズとは大日放送系列で20××年1月から20××年6月までの半年間放映された低年齢女児児童向けのアニメの事です。10年間続いていた大日魔法少女シリーズの最後の作品となります」




 あ、あぁ、そうなんだ。




「キャッチフレーズは『褒め合う言葉が力になる』で、これは当時隆盛を極めていたtwoEaterと呼ばれる情報発信サービス上でのふぁぼるという行為をモチーフとしており、それを変身シーンに採用したことで大きな話題となりました」





 へ、へー、詳しいね。





「なぜ話題になったのかと申しますと、その変身シーンがあまりにも過激だったからです。なにしろまだ年端もいかない少女たちがお互いを褒め合ってキスし合うという問題ありすぎな表現だったのですから。もちろんその性的な意味合いにも受け取れる過激な表現に局には苦情の電話が殺到したそうです。放映時間は休日の朝、家族が揃う時間帯でしたからね。なおさらです。そして余りの苦情の多さに総監督であられる大垣監督が釈明会見を開くことになったのですが、その場で監督は「相手を承認して受け入れる行為の最上表現がたまたまキスだったというだけで別に他意はありません。っていうか騒ぎすぎじゃないですか? 今日びの子供はこれくらい普通ですよ笑」などという挑発的なコメントを残し逆に火に油を注ぐ結果になってしまいました。その後下校途中の女子児童がふぁぼ♥ふぁぼ♥シスターズごっこしようなどと声をかけられる事案が多発したことによって第5話以降からの変身シーンはお互いのいいところを口で言い合うというあたりさわりも面白みも外連味もない表現に差し替えられてしまいました。ですがあの過激な変身シーンが当時の子供たちの記憶に刻み付けた衝撃だけは永遠に色あせることはないでしょう多くの女児たちをそっち方面に目覚めさせるきっかけともなったあの変身シーンそれこそがふぁぼ♥ふぁぼ♥シスターズが残した最も大きな遺産であると唱える人も中にはおりますその意見には私もおおむね賛同ですそしてっ!!本日メイ様がご覧になられたのはあの興奮状態から察するに間違いなく差し替え前の過激な変身シーンが使われていた第5話以前の話ということになるのはもはや自明の理ででは一体第何話なのかと申しますと私の見立てではおそらくふぁぼ♥ふぁぼ♥シスターズが結成されてその活動が初めて順風に乗り出した第4話こそが有力なのではないかと推察いたしますが第3話のまだお互い変身するのに恥ずかしがっている甘酸っぱい雰囲気が好きという方もいますしやはりどちらかに絞るのは現状では早計と言わざるを得ず」


「ちょっと待って!!!!!!」


「??はい??」





 途中から、なんだか雲行きが怪しくなっていた気はしていた…………

 そして今は確信している。








 ――コレ、このまま放っておいたら多分一生終わらないヤツだ!!



 どうも軽い気持ちで藪をつついてみたら、蛇じゃなくてキングギドラ級が飛び出してきちゃったようだ。




「も、もうちょっと簡潔にお願いできるかな」


「…………コホン、そうですか。分かりました」



 セツコさんは再び一つ咳払いをする。そして




「ざっくり申し上げますと、ふぁぼ♥ふぁぼ♥シスターズとは史上最悪の鬱アニメと言われている作品なのです。そしてあろうことかメイ様はそのふぁぼ♥ふぁぼ♥シスターズにすっかりハマられてしまったのです」



 二行で済む話だった。


 さっきのは説明は何だったんだよ!? 


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