第16話
ようやく書けました・・・・・・・・
輝きが落ち着くとシャルは腕の中に居るリュートを見る。
先程まで息をしていなかったリュートは静かに呼吸をしており、そのの胸は浅く上下していた。
「生きてる・・・リュート君、生きてるよ~」
シャルはリュートが息を吹き返したの確認するとアスピスとは逆に泣きだしてしまった。
「うぅん・・・・・・今度はシャルお姉ちゃんが泣いてる」
シャルに抱えられたままのリュートが目を覚まし、その手でシャルの涙を拭ってあげる。
「起こして」とシャルにリュートがお願いし、起こして貰う。
そのまま同じ目線になるかの様に跪いているアスピスに近づいて行き、いきなり拳骨をアスピスの頭にお見舞いする。お見舞いされたアスピスは、「おおおおおぉぉぉ」と頭を抱えたまま悶えながら床を転がっている。
「この駄神が!
危うく魂ごと消滅する所だったぞ!
いい加減に神族なら下限と処理を間違えるな!」
転がって悶えたままのアスピスに言い放つリュート。
その背後には薄っすらと現代日本で言う所の檄おこ状態の顔だけの般若が睨んでいた。
その光景を見ていたバリウスら一同は、またもや流れに付いて行けずに氷付いていた。
「ごっごめんなさいぃぃ天魔さぁぁぁん」
悶えながらも素直に謝ってきたアスピス。
「良し、じゃあ許してあげる」
謝罪の言葉にリュートが笑顔で頷いて答えると、後ろの般若も檄おこから笑顔になりながらすぅっと消えていった。
「ふぅ」場の雰囲気が落ち着いたためか、誰かのため息が聞こえてくる。
「・・・・・・・・・初めまして、その感じは天魔さんでお間違いないですか?」
スピアスが、姉のお仕置きが終わるのを見定めてから天魔でもあるリュートに話しかける。
「・・・そうですね、初めましてになるんですかね?
たまに声だけで会話はしてましたけどね。
それと僕は天魔でもありますがリュートでもあるんですよ」
「でもあるとは、まだ2人の人格が?」
「そうではないです。人格・魂の統合で2人が融合しただけです。
魂や知識自体は天魔のが、人格等がリュートのが。
だいたいですけどそんな感じですね、どちらか片方が消えたのでは無いんですよ。
まぁ2人とも消えかけたんですけどね」
「そうです!
天魔さんは一旦は魂が消滅して死んでしまっていたはずです!」
いつの間にかに回復していたアスピスが話の流れに割り込んでいく。
「確かに完全に消滅する寸前までいっていたんですけどね。
でも誰かは分からないんですけど助けてくれました。
たぶん男の人です」
「たぶん・・・ですか?」
「はい、確認しようにもその人は光だけの存在というか光其の物と言った方が良い様な」
スピアスの問いに天魔が返す。
「あぁそれ父かも知れませんね。
たぶん間違いないですよ天魔さん。父と言っても全ての神族の父と言う意味になりますけど」
天魔が出会ったであろう人物の正体をアスピスが予想する。
「父ですか?」
「そうです、光だけの存在、更に魂までも回復させる力は父しか居ませんから」
そうなのかと天魔が考えていると後ろから物凄く視線を感じたのでそちらに天魔が向くとシャルが何か言いたそうにしていた。
「シャルお姉ちゃんどうしたの?」
「あ、あのね、リュート君はリュート君なんだよね?
神様が言っている様なテンマって人じゃないんだよね?」
混乱が抜けていないようで、体をソワソワさせて落ち着きが無い。
「御免なさい、僕は前の僕ではないんです。
前のリュートはあまり残っていなくて、新しく生まれ変わっているようなものなんです。
でも記憶もちゃんと残っているしリュートでもあるの、こんな不完全な僕でも友達で居てくれますか?」
「リュート君はリュート君で居てくれるんでしょ?
だったら私たちは友達のままだし嫌だと言っても一緒に居るからね」
「ありがとう、シャルお姉ちゃん」
リュートの笑顔を見たシャルは思いっきりリュートを抱きしめ、その唇に口づけをしようとする。
あまりの早業に無抵抗のリュートはされるがままだったが、そこに救いの手が入ってきた。
「シャル・・・さん、リュートさんは・・天魔さんでもあるので・・・やめて頂けませんかねぇ?」
シャルとリュートの胸の間に両手を押し広げる様に割って入り、シャルの邪魔をする。
「神様・・・いいえ、アスピス様でしたね・・・アスピス様こそ私たちの幸せな一時を・・・邪魔しないでくれませんかねぇ?」
シャルも負けじとリュートを抱きかかえる力を更に強める。
「それはダメ・・・です、天魔さんは・・・私と一緒に居る・・・んです!」
アスピスも押し広げ様とする力を更に強めていく。
「お、お姉ちゃん・・・たち、苦しい・・・・・・・・よ」
リュートの状態を良く見るとシャルがサバ折りをするがの如く腰に手をまわして抱きかかえており、アスピスはアスピスでシャルとリュートの胸を押し広げる様にしているので更にリュートの体が逆くの字に曲がっておりある意味また死にかけていた。
「「あ」」
そんな状態のリュートに気がづいた2人はリュートを開放して、何故か日本最大級の謝罪の姿勢、土下座の姿勢を取り「「御免なさいぃ!リュート君!」天魔さん!」と謝り続けている。
リュートはリュートでこの世界にも土下座があったのかと思ってしまっていた。
そんなリュートを余所にシャルとアスピスはまた良い争い始めていた。
片方は「リュート君よ!」ともう片方は「天魔さんです!」と言い合っておりリュート自身はどちらでも良いと思っていた。
「天魔さん、このままでは収拾がつかないので貴方のステータスプレートでどちらに成っているか確認してみてはいかがですか?」
事態を収拾したいスピアスがリュートに助け舟を出す形でフォローする。
「そう言えばステータスプレートってどこでしたっけ?」
何だかんだで気が付けばリュートはステータスプレートを何処かにやってしまっていた。