第15話
投稿が遅くなり大変申し訳御座いませんでした!
これからもがんばりますので宜しくお願いします!
一瞬で真っ白いお部屋に僕はいました。
「よぅ、俺!
俺が誰か分かるかい?」
若い男の人の声が、後ろから聞こえてきたので振り返ると僕と同じ、黒い髪に黒い瞳の女の人が立っていました。服装は上下共に黒色の服に白いラインが入っていて動きやすそうな感じです。
「あなたは・・・僕?」
何故だか僕はこのお姉さんが自分自身に思えました。
「そうだ、理解してくれていて助かるよ。
俺はも居一人の・・・前世のお前で、名前は仲間・天魔だ。宜しくな。
自分に宜しくって変な感じだな。
済まないがもう一度質問だ、自分が何でここに居るか分かるか?」
「・・・お話する為?」
「ほぼ正解だ。
そこに付け加えるのは話し合いの結果をお互いが了承しあうって事だ。
ココまでは良いかい?」
「うん、分かったよ」
あれ?何故か普通に話せる様になってる?
「OK、じゃぁ立ち話も何だからそこに座って話そうか」
指を指した先には白いイスが向かい合って2つありました。
さっきまっでは何も無かったはずなのに。
そのイスに座る様に促された僕は向かい合って座りました。
「まず、聞きたい事は有るかい?」
「あなたは男?それとも女?」
自分でもなんでそれを真っ先に聞いたのかは分かりません。でも聞いておかないといけない様な気がしました。
「クックック、おいおい分かってんだろ?
俺はお前自身だぞ。
男に決まってるだろうが。
そう言うお前だって年相応の女の子にしか見えないぞ。何でもっと男ぽくなんなかったんだろうな?」
彼は彼で笑いながらも答えてくれました。まるでこの質問も予めされると知っていたみたいです。
「次に何かあるかい?」
「僕はどうしてあなたと別に存在してるの?
元々は1人の人間だったんでしょ?」
彼は、あぁそれな、みたいな感じで答えてくれました。
「それはだな、原因は1つだけ、全てアスピスが俺を転生させるさいにミスをしたんだ。
その時に天魔という人格からリュートという人格が生まれて俺自身は魂にかかった負荷で封じ込められてしまったんだ。
まったく、あの駄神め!」
悪態をつきながらも口元が少し笑っています。仕方がないとでも思っているいるみたいです。
あ、さっき僕の中でアスピス様を駄神と感じたのは彼のせいみたいです。
「この後僕たちはどうなるの?」
「正直に言うとわからないんだ。
俺の人格が勝るか、お前の人格が勝るか、それとも新しい人格が出来てしまい2人とも消えるか。
最悪2人とも消えてしまい魂も消滅するか。
まぁこれはあまり確率の高い事ではないから大丈夫だろう、アスピスは兎も角、スピアスの方もそうならない様に手を尽くしてくれているみたいだしな。
ほら、お前も感じるだろ?
2人が俺たちの手伝いをしてくれているのが」
このお部屋の遠い所からうっすらと流れてくる力を感じて頷きます。
「急かす様で悪いがこの辺でお互い腹を括ろうか。
お互いどっちの人格が残っても文句なし、出来れば1つに成れる様に自分自身を受け入れるんだ。
出なければお互いが勝つまで戦争になっちまうからな。それこそ不毛だろ?」
怖いけどそれしかないみたいなので、僕も決意して頷きます。
「俺が悪いわけじゃないけど済まないな。
じゃあ始めようか?」
彼は話し終わるとイスから立って僕に両手を差し出しました。差し出された手を片方ずつ両手で握り僕もイスから立ちます。
これからの事を考えると怖くて少し震えて来ます。
「怖いよな、俺も怖いさ。
でも俺達は2人で1人だったんだ。だから怖がる事もないシャルお姉ちゃんや家族の皆にまた会いたいんだろ?」
何だかんだで彼自身も怖いみたいで、僕の震え以外の震えが伝わってきます。それなのに僕を励ましてくれています。
「さぁ、始まるぞ。
力を抜いて、ゆっくりと呼吸を合わせて・・・・・そうだそれで良い。
後は流れてくる感情や記憶、それらを拒絶しないで受け入れるんだ。自分が経験した事として受け入れろ。でないとまた何処かのタイミングで2人に別れてしまうかもしれないからな」
言われた通りにゆっくりとだけど彼に合わせて行きます。彼も僕に合わせてくれています。
徐々に彼から記憶や感情といった物が頭の中に流れ込んできます。それに合わせるかの様に僕から彼に同じ様に流れてって行くみたいです。
そして体や感覚の境界線が無くなっていき、意識までが混じり合うのが分かります。そして最後には僕という意識と、彼という意識が無くなって行くのがわかりました。
神族であるアスピス、スピアスの協力によりリュートにかかっている負荷を取り除く処置をしている間にシャルやバリウスらはリュートがどうなるのかは知らされていなかった。知っているのは天魔とアスピスとスピアスの3人だけで後からリュートに天魔から知らされる形になったいた。
そしてリュートの輝きが徐々に弱まって行く中、神族の2人は焦っていた。
それもそのはずで、リュートの輝きは魂そのものの輝きでありそれが消えると言う事は魂が消滅する事と同じ意味を持っていたからだ。
リュートの輝きが消え、魂の気配も完全に無くなり失敗に終わったと知ったスピアスは落胆し、アスピスは自分自身がしでかしてしまった事の後悔と好きで好きで仕方がなかった天魔にもう会えない寂しさに
泣きだす。
そんな2人を見たシャルは自分が感じてしまっている不安を消しきることができずスピアスに確認してしまう。
「ス、スピアス様、終わったのですよね?
無事に処置というのは終わったのですよね?
リュート君は大丈夫ですよね?」
俯いていたスピアスは顔をあげシャルに答える。
「・・・申し訳御座いません失敗です。
彼の魂は完全に消えてしまいました」
スピアスの答えに納得できないシャルはスピアスを無視して未だに祈るような姿のリュートに駆け寄り抱き抱える。
「嘘です!
こんなにも温かいし、息も・・・い、きも・・して・・して」
抱き抱えたリュートが力なく腕もダランとした状態で抱かれており息も完全に止まっていた。
「何で?
どうしてですか!
お2人とも神様なのでしょ、だったら人を1人救う事位は出来るハズでしょ!」
「申し訳ありません、魂が有れば確かに出来るのです。
ですがリュートさんの魂は消滅してしまい蘇生する事はもう出来ないのです」
もう助からないと、神であるスピアスに言われてしまいシャルはリュートを抱いたまま泣きだしてしまう。そんな彼女を見ていた周りのバリウスたちもそれぞれ胸を痛めていた。
「天魔さん、御免なさい、御免なさい」
アスピスが泣いて謝りながらもリュートに伸ばしてきた手をシャルは払いのけ、アスピスを睨みながら罵声を浴びせる。
「触らないで、この人殺し!
貴女のせいでリュート君は死んだのよ!
しかも助けると言って助けられなかった。貴女なんか神でも何でもない、ただの人殺しよ!」
「シャル君、止めたまえ!
神族の方に向かってなんて口をきくのだ!」
バリウスが不味いと止めに入るがシャルは止まらず、アスピスに罵詈雑言をぶつけていた。
「許してあげて」
小さい声、けれども確かな声がシャルや周りの人々に聞こえた。その声は本来ならもう聞ける恥のない人物の声だった。
シャルに抱かれたリュートが術を施してもいないのに先ほどよりも強く輝きだしたそれも本来リュートが、天魔が持っていた魂の輝きの強さだった。
「こ、これは魂の再生!?」
この事態にいち早く気が付いたスピアスは、自分たちに出来ない魂の再生が始まったのを見て驚いていた。魂までも再生するのは自分たちよりももっと位の高い神族ではないと出来ないからだ。そして例え出来たとしても簡単に使えるものではなくある種の禁忌として禁止されている行為だった。