第一話 ~プロローグ~終わりの始まり
連結世界ドルム、この世界には科学だけではなく魔法や魔物が存在する。そんな世界であるドルムは、地球がある世界や、他の世界の間に文字通り連結する様な形で存在している。
千年続いた人間同士の戦争。後に歴史で語られる千年戦争が終わり数十年、今では戦後にはあった小さな武力闘争等も無くなり平和そのものの中、この世界の国家の1つであるアルセイムで一人の年老いた戦争を終結に導いた英雄の一人であり最大の功績者、仲間・天魔 (ナカマ・テンマ)が天に召されようとしていた。
と言っても事故死や病死等ではなく寿命で死ぬからだ。だから天魔の寝ているベットの周りには天魔の家族である息子や娘に孫たち、数少ない友人達がが看取るために集まってている。皆の表情は寂しそうだったり、悲しそうだったり様々だ。
それに天魔のお腹の上に居る白い小さな相棒(使い魔)アルが、寂しそうにこちらを見ながら小さく鳴き声をキュゥキュウゥ上げている。背中の小さな翼もいつも元気にパタパタ動かしているのに今はペタンと垂れたままだ。
使い魔と主である天魔が契約で繋がっているからだろう。
「・・・アル、そんな顔をするな、お前はドラゴンの中でも高位の存在だろうに」
いつもの様にアルの頭を撫でてやろうとするが上手く手が動かず頭に乗せるだけになってしまう。
それでも手を置かれたアルは、鳴くのを止めてその手に甘える様に頬擦りし始める。
「・・・それに皆もだぞ、そんな顔をしないでくれ。私は良き友人に恵まれ、良き家族を作る事が出来た。
最後に見た顔が泣き顔だったりしたら心配で死ぬに死ねんだろうが、・・・・・笑って見送れアホゥ」
言われた方はいつもの調子で強気に言ってくる天魔に少し笑顔になる。
その笑顔を良く見納めとして脳裏に焼き付けてゆく天魔はフッと窓から見える空に目をやる。
空には雲は1つも無く、鳥達や飛行型の魔物が気持ち良さそうに飛んでいる。その光景は天魔が地球からドルムに異世界召喚した時と同じ空模様で当時を思い出させる。
「・・・あの時もこんな空だったな」
そお呟きながらも、部屋に入ってくる風に心地よさを感じながら少しずつ襲ってくる眠気の様なものに贖うことはせずに瞳を閉じながら意識を手放していく。
もう起きる事のない睡眠につく前に最後の挨拶を周りの皆に伝える。
「また会おう、アホゥ共。それとありがとう・・・・・」
そうして天魔は言いきると息を吐き完全に意識を手放した。
彼の穏かではなかった人生の中で最も穏かな最後になっていった。
いよいよ始まりました初投稿の作品、拙く、幼稚な作品ですが温かく見守っていただければと思います。
ラストまでは書き続けたいと思いますので宜しくお願いします!