31話 朝の特訓
「渚[なぎさ]…おは、よう」
「あぁ、おはよう、氷裏[ひょうり]」
氷裏の元気がないのは、寝起きだからでしょうか?
「氷裏、声がかすれてるけど大丈夫か?」
「だい、じょぶ…多分、寝起きだから…だと思う…」
そう言って氷裏はあくびをしてます。
そういえば最近、寝起きに声が掠れるようになったって言ってましたね。
「そうか、私は特訓が有るから先に学校行くぞ」
椛[もみじ]の提案で、リレー走者の人は朝集まって特訓をすることになったんです。
「うん、行ってらっしゃい」
「ああ、行ってきます」
氷裏が小さく手を振ってくれるので、私も軽く手を振って学園を目指します。
『……風邪でも、ひいたかな…?』
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「じゃ、いっくよー!よーい…ドンッ!」
椛の掛け声で、私と平馬[へいま]は一斉に走り出します。
今回は、私と椛、平馬と穐田[あきた]くんの2組に分かれて対決してます。
「うわぁ、やっぱ渚速っ!」
「平馬こそっ!」
自慢ではありませんが、私にここまでついてくる人はあいつと合わせて2人目です。
「渚!」
「あぁ」
更に私はスピードを上げて、椛にバトンを渡します。
「「速っ!?」」
椛は体育の時に見てるので、今の声は平馬達なんだと思います。
「いっぇ~い!私達の勝ち!やったね、渚!」
「あっあぁ…」
……まぁ、結果的に私達が勝ちましたけど…
椛の体力は、一体どこから来てるんでしょうか?
「でも、渚君は相変わらず速いね~走力お化け[おばけ]だね~」
「いや、椛もだいぶだぞ…」
「えぇ~、そんなことないよ」
そう椛は笑っていますが、私が走力お化けなら、椛は体力お化けだと思います…
「疲れた…」「あぁ…」「・・・」
平馬の言葉は、私達全員の思いと同じだと思います。
「皆ー!そろそろ朝の会始まるよー!」
いつの間にか椛は、もう大分遠くに行っていました。
「「「・・・」」」
「本当に、椛の何処にあんな体力が…」
私の呟きに対して、二人共頷いていました。
皆考えることは同じなんですね…
コ「そういえば、最初は氷裏脇役だったのになぁ…」
氷「へぇ…」
コ「それで、渚は氷裏や平馬と違うクラスにする予定だったんだよ~」
氷「結局、同じクラスになったけどね」
コ「うん、氷裏がメインキャラの一人になってるけど、これはこれでいいよね!」
氷「あーうん…そうだね」
13.7.13誤字訂正しました(奏者→走者)
13.7.25呼び方直しました(渚→渚君)
13.8.17一行消しました。特に物語に支障はありません。




