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2日目:夜中

2012/04/04 19:01 大槻 笑美

 ああ、さっぱりした。

 やっぱりお風呂は最高ね!

 昨日はまだ自分の体って感じじゃなかったけど、ちょっと慣れてきたかも。

 そういえば早紀さんから連絡が無いけど、放任主義なのかなあ。

 昨日も遅く帰ったのに何も言われなかったし、母子家庭ってこんな感じなんだね。

 さてと、犬山くんは帰ってきてるかな。

 このまま寝たいとこだけど、もう少し頑張ろう!


2012/04/04 19:42 大槻 笑美

 「ごめん下さい。 笑美さんいますか」

 自分で自分を呼び出すなんて、変な感じ。

 「あら、剣豪くん。 こんな時間にどうしたの? 」

 「えっと、彼女の忘れ物があって…少しだけ良いですか」

 「あらあら、明日でも良かったのに。 ちょっと待ってね」

 シロってば上手くやってるのかしら。

 すぐに病院送りって感じでもないし、どうやって誤魔化してるのかな。

 あ、お母さんが降りてきた。

 「何だか勉強中で手が離せないみたい。 御免なさいね」

 むむっ。 シロってば、どういうつもりなの?

 顔見せないと下着の重要性を教えられないじゃない!

 そもそも、お母さんとどうやって話してるんだろう。

 何だか凄く気になる!

 でも仕方が無いか。 一時撤退しよう。

 「…じゃあ、このノートを渡して下さい。 お願いします」

 何も書いてないノートをお母さんに手渡した。

 「あ、それともうすぐ帰ってくるんで、シロの餌お願いします」

 「そうなの? じゃあ用意しておくわ」

 お母さんてば、変なところが大らかなんだよね。


2012/04/04 19:18 犬山 剣豪

 「…と言うわけでさ。 エサやるから協力してくれよ」

 「お断りだね。 誰が犬の真似なんかするか」

 そう言って、黒白の猫が物陰に隠れた。

 またかよ! これで断られたの13匹目だぞ。

 やっぱ猫はダメだ。 こいつら気分屋すぎる!

 犬に頼んでも、あいつら鎖に繋がれてるか部屋の中だからな。

 あんまり役には立ちそうもねェし、どうする?

 「困っているようだな」

 塀の隙間から、あの三毛猫が現れた。

 「見てたのかよ。 だったら、お前手伝ってくれ」

 「嫌だ。 それに、お前は勘違いをしてるぞ」

 「何でだよ」

 「オレたちと取引なんて出来ないのさ」

 「ああ? 何だそれ。 意味が分かんねェ」

 「オレたちは飼われてるわけじゃないからな。 お前の手下になんかならないよ」

 「だけど、狭間探しに付き合ってくれたろ? 」

 「あれは面白そうだったからな。 オレは見物に行っただけさ」

 何か面倒臭い連中だな、猫ってのは。

 扱い方が分かんねェ。

 「じゃあ、どうしたら良いんだよ」

 「そうだな。 オレが縄張りを見回ってる時に、何か気がついたら教えてやるよ」

 「見張りと同じじゃねェか! 」

 三毛猫が目を細める。

 「全然違うだろ。 今のはオレの提案で、お前のは命令だ」

 やっぱ意味が分からねェ。

 人間とは何かが違うんだろな、金とか政治とかねェし。

 それはそれで気楽…やべェ! 俺、犬になりかかってんじゃねェ?


2012/04/04 19:47 大槻 笑美

 犬山くん、早く帰って来ないかな。

 帰って食べて寝たい!

 でも、シロへ伝言お願いしないと帰れないし。

ピロピロッ。

 お、誰か携帯にかけてきた。 非通知?

 「はい、犬山です」

 『笑美さん、今いいかしら』

 おおっと、珠輝ちゃんじゃないの。

 「いいですよ。 どうしたんです? 」

 『伝えておく事があるの。 貴方を天使が狙ってるわ』

 「ほうほう…ふぇっ! 何でわたし? 」

 『正確に言うと一人だけが狙ってるの。 気をつけて』

 いきなり切られた。

 えー何それ? 何これ?

 携帯じゃないから、かけ直せない。

 何で珠輝ちゃんじゃなくて、わたしを狙うの?

 どうして天使が狙ってるって分かるの?

 わたしも拳銃とか持つべきかな? どこで売ってるんだろう、警察?

 そうか、警察! 警察に連絡しよう。

 …でも、どう説明すれば? 天使に追われてますなんて色々と終わりだわ。

 もう、警察ってば役に立たないなあ!

 犬山くん、早く帰ってきてよ!


2012/04/04 20:18 犬山 剣豪

 腹減ったー腹減ったー♪

 さて、ひと仕事したし飯食って寝るか。

 風呂はマジ勘弁だわ。

 犬にされた上に風呂場で溺死なんて笑えねェし。

 ん? こんな時間にガキがうろついてるぞ。

 ま、珍しくも無いけどな。

 また耳引っ張られるのも嫌だし、離れるとしよう。

 君子危ない橋を渡らず、だからな。

 …何だこれ。 どっかで嗅いだような…火薬臭ェ。

 あのガキか? 花火で遊んだ…わけがねェよな。

 怪しい臭いがプンプンするぜ。

 つけてみるか。


2012/04/04 20:45 犬山 剣豪

 ここ俺ん家じゃねェか!

 あのガキは何してんだ?

 あの包み、何で家の前に置いてんだ?

 やべェ! 何だか分かんねェが、やべェぞ!


2012/04/04 20:45 大槻 笑美

 もう良いもんね。 今日は寝ちゃおう!

 二人とも明日、絞って絞って一滴も出ないくらいにしてやるから!

 あれ? あの白いの犬山くん?

 こんなとこで何してんの?

 「どうしたの? 何か忘れ物? 」

 『静かにしろ。 あそこに変なガキがいる』

 子供? …天使!

 『どこ? どこに? 』

 暗くて全然見えない。

 『あいつ、家の前に… 』

ピカッ。

 「えっ」


2012/04/04 21:45 大槻 笑美

 「本当ですってば! この目で見たんですから! 」

 今、わたしは警察に来ている。

 でも、やっぱり警察なんて役に立たない!

 「そう言われてもねえ、中東じゃあるまいし小学生が爆発物なんか仕掛けるわけないだろ。

 それとも、何か心当たりでもあるのか? 」

 うっ、思い当たる所はあります…が、信じて貰えないだろうなあ。

 「とりあえず今日は帰っていいけどね。 また今度詳しい話を聞かせて貰うよ、いいね? 」


2012/04/04 22:02 大槻 笑美&犬山 剣豪

 犬山くんのお母さん、早紀さんが取調室の前でうな垂れている。

 そりゃショックだよね。

 家が無くなるなんて誰も思わないもん。

 俯いたまま肩を震わせていた。

 「母さん、そんなに気を落とさないで。 怪我は無かったんだし」

 『お前、アホか』

 玄関からこっちを見てた犬山くんが割り込んできた。

 『アホとは何よ! 』

 『お母んがそんなタマかよ。 良く見ろ』

 どういうこと? …え? 笑ってる?

 早紀さんが顔を上げた。

 「これで保険金が下りるぜ、ケン! がっぽりせしめてやる!

 明日から忙しくなるぞ! 」

 うわあ、この人強いなあ。

 「お前、学校どうする? 休むか? 」

 シロが心配だし、あんまり離れたくないなあ。

 「出来れば通いたい…です」

 「へええ、お前がそんなに勉強したがるなんて。 こりゃ家がぶっ飛ぶわけだわ」

 あなた母親でしょう! ちょっと言い過ぎじゃないの!

 「よし、分かった。 学校には言っとくから今日はどっかに泊まるか。

 しかしテロリストの奴、何でウチなんてボロ家狙ったんかねえ? 」


 ** 続きます **


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