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地獄巡り  作者: Harumichi
5/5

優しい女の子

「え、あ、は・・・?」

「ヒャハハハハ」

血しぶきを被った俺は、呆然とピエロの笑い声を耳に、立ち尽くす。

ピエロがハンマーを持ち上げた。

グッと引っ張られる。気づいたら、同じく血を被ったソフリーが俺の事をつかんでいた。

「逃げるよ・・・!」


気づいたら床がもとに戻ってる。あいつがいるから・・・

俺とソフリーは走りだした。

「ヒャハハハハ」

まだ笑ってる。後ろから追いかけてくる。最悪だ。でも、なにより俺らは、走って逃げることしかできないのか。


「テラちゃん。あれ」

「扉か!?」

あそこに逃げれれば・・・!

「あそこまで頑張れるか!?」

「いける・・・」

全力で走る。

扉の前まで来て安心してたのだろうか。

それとも、過信していたのだろうか。

『野生動物みたいみたいなものじゃないかしら』

あぁ、アンさんこいつはそんな者ではありません。こいつは俺らを、人間を分かってる。

自分が走っていた床が消える。

なぜ敵が一匹だと思う?なぜタネが1つだけだと思う?これじゃさっきと同じじゃないか。

「ヒャハハハハ」

ピエロの笑い声を聞きながら、俺らは奈落に落ちていった。


「・・・」

目を覚ました。

不快な気分だ。アンちゃんは私達と同じようにここへと来てないのかな。辺りを見渡す。いない。

隣ではテラスも起きていた。

「アンちゃんは、諦めてたのかな」

「…ッ」

まただよ。大切だと思った人が、あっさりといなくなってしまうのは。

あの日を思い出す。私は面白い楽しいと思っても感情に出なかった。だからノリが悪いと思われてたし、感情が解らないんじゃ人も怖くて近づかない。でも、1人の男の子だけは私とずっと喋ってくれた。

なのになぁ、その子行方不明になっちゃった。何があったのかは分からない。ただ、二度と戻ってこないことだけは分かった。そっから私は家に引きこもって、親にも見放された。


それだけの話。


「…ソフリー、あの人が諦めてたら、俺ら今ごろここにはいない。あの人が...アンさんが諦めないで笑ってたからここまで来たんだろ」

最初は感情がない女の子なのだと思っていた。でもただ、顔に出せないだけなのだと、怖いのも全部顔に出せないのだと、こんなにも可哀想なことがあるのか。きっと、アンさんはソフリーがそんな子だと分かってたのか。

『お前はそいつを優先するのかよ!?』

今ならケンカ別れしたアイツに言える。この子が起きるのを待っててよかった。この子は俺と同じじゃない。優しい女の子だ。だって、たかが数十分一緒にいただけの人に、こんなにも涙が流せるんだぜ?




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