第7話 『スパイだったエリンダ』
「くぅうう~~よくもこの私をこんな姿に~」
そこには簀巻きにされた露出女がいた、そこら辺に落ちてた縄で俺が縛った。なんで縄があったのかは知らん。まさかこのコスで女王様とか言い出したりする手合いなのか?
「元よりもその簀巻きの方がまだ露出度は下がるんだから、むしろ感謝しろよ」
「感謝なんてするわけないでしょ!?」
ぴーちくぱーちくとうるさいヤツだな。
相手にするのも疲れるので無視する、しかし発言的に偉いヤツみたいなので簀巻きのまま引きずって行こうか悩んでいたらエリンダが現れた。
「アサヒ! そっちの首尾は…どうやら完璧みたいね」
「取りあえず自称本部を任されてる露出女なら捕まえた」
「見れば分かるわ。それに気性の荒い魔物の魔力を封じる為に使われる魔封じの縄まで使ってるなんて中々やるわね貴方、なんかソイツ魅了魔法とかって言う聞いたこともない魔法を使うみたいだったけどその縄で縛ってれば危険はないわね」
魔封じの縄? 何それ。
まあいい、とにかくこの露出女を捕まえた事は正解だったらしい。するとその露出女がエリンダを見て何やら吠え始めた。
「なっ貴方は……まさか裏切ったの!?」
「裏切るもなにも、元から私はとある王国からこの『混沌の爪』に送られた人間……つまりスパイよ」
「そんな、ならこの怪物も」
「違うぞ」
「……彼とはまあ、たったまたま利害が一致してね。今回この本部を無力化するのに力を借りたって訳」
俺達の関係は完全に偶然の代物だ、何食わぬ顔でスパイとか抜かすエリンダに対して当然露出女はブチ切れる。
「ふざけるな、よくも、よくも私の邪魔をしてくれたわね!?」
「貴方も自分の保身に執着しないで他の幹部に事情を説明してればまた違ったのかもね、こちらとしては好都合だったけど」
「くっクソが……」
「ふん、あの悪逆非道な犯罪組織『混沌の爪』の幹部には相応しい末路ね。あっそれと他の研究者達も勿論見逃したりしてないわよ?」
「ん、そうなのか?」
てっきり連中は全員転移装置とやらで大陸にある支部とかにエスケープしたのかと思ってた。
「そうなのよ、ついてきて」
エリンダに促され俺は簀巻きを引きずりながらついて行く。
そして案内された先、何やらメカメカしい機械が幾つも並ぶ広いフロアにきた。
見ると先程見かけた白服共が男女関係なくぶっ倒れている、その数は軽く数十を超えて中には折り重なるようになってるのもいた。
あそこは苦しそうだな。
ピクピクと痙攣もしていた、どうやら意識はあるが身体が全く動かない感じらしい。
「コイツらは…」
「この犯罪組織の研究者達よ、どうせ逃げる為にこの転移装置がある部屋に来るのは分かってたから簡易的な魔道具のトラップで全員行動不能にさせてもらったって訳」
「うう、身体がうごかねぇ」「これは麻痺毒か?」「まさか、ガス状の毒をこの転移装置がある部屋に…」「黒の怪物はそんな事まで出来るのかよ」「お終いだ、もうお終いなんだ!」「こんな事なら『混沌の爪』になんて入るんじゃなかった…」
なんか一部、全て俺の仕業だと思ってるヤツがいるな。こう言う連中が下手に言いふらすところから冤罪って生まれるのかね。
「……んで、コイツらはどうするんだ?」
「実は既に外部の人間とは連絡はつけてあるの、本部をほぼ制圧した事も伝えたわ。連中が操る魔物の出処を押さえた以上、恐らく数日の間に多くの支部への攻撃作戦が決行されて『混沌の爪』も終わる─」
ふう~とひと呼吸入れて、かなり晴れやかにエリンダは言葉を続けた。
「つまりコイツらも皆労働奴隷か牢屋行きね」
この顔で嘘とかだったらドン引くからな。
流石に実はエリンダ達の方が犯罪組織でしたって可能性はあってくれるなよ、と内心思う。
だって会ってからまだ数十分くらいの関係だからさ俺ら、お互いの事なんてまるで知らんのよ。
「そうかい、それじゃあ俺の方も少し話させてくれ」
「ええっ何かしら?」
話というのは勿論ワーゲスト王国へとこの転移装置を使って行けるかどうかだ、せめて転移装置の使い方くらいは知りたい。
エリンダも俺がやたらと協力的な理由を知りたいと思ってるだろうから説明は丁寧にした。
「なる程、ワーゲスト王国ね……と言うか、まさか異界の存在を呼び寄せるなんて禁術を実行までしてるなんて、何をやってんだか……あ~せっかくマークしてた犯罪組織が壊滅しそうなのに、全く新しい不穏分子の存在を知ることになるだなんてね」
「それはご愁傷様だな、そんな訳で俺はそのワーゲスト王国に用がある。この転移装置をそこに行くために使わせてもらうからな?」
「それについては異論はないわ。貴方が居なければ本部を一日で制圧なんて出来なかったし、そんな貴方を敵に回すメリットもないしね」
「賢明な判断だな……」
まあ取りあえずはこの汚れまくった身体を洗いたいんだけど。
「それと、ここには身体を洗う施設くらいはあるのか?」
「そりゃああるでしょ……ね、オービエ」
「なんでそこで私に話を振るのかしら!?」
「貴方、この本部を仕切ってる幹部でしょ? ならシャワールームが何処にあるかくらい知ってるわよね?」
エリンダの言葉に大変不快そうにする露出女、いやオービエって名前らしい彼女は渋々といった態度でシャワールームへと案内してくれる事になった。
主人公は基本的に毎日お風呂に入るはの人間です。




