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不細工だと速攻追放された異世界召喚され男は野人を経て最強となる  作者: どらいあい


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第4話 『黒い悪魔』

 『混沌の爪』のアジトは騒然となった。

 喧しい警報が鳴り響き、先ほどまで淡々と仕事を続けていた研究者達が一瞬で狼狽して騒ぎ始める。


「ヤツが……ヤツがまた現れたんだ!」「落ち着け! 今回は前回とは違うだろう!?」「そうだ、ヤツを始末する為に支部から腕利きの戦闘員を集めてきたんだからな!」「あんな黒い化け物など我ら『混沌の爪』の戦闘部隊の敵ではないさ!」「け、けど戦闘用に準備した魔物達はみんなやられ……」


(何がどうなっているの、研究者達のこの反応はただ事じゃないわよ!?)


 驚くエリンダや騒ぎ立てる研究者達を見てオービエは現れた存在の呼び名を口にする。


「…………黒の怪物」


「黒の怪物? 何ですかそいつは?」


 エリンダとは別の補充人材の男がオービエに質問をした。その質問にオービエが答える。


「君達をわざわざこの本部に呼んだ理由よ、他の幹部やボスにも秘密にしてたんだけど……実はここ、かなり不味い事になってるのよね~」


「不味い事ですか?」


「そう、確か三ヶ月程前の事よ。突然ヤツはこの島に現れた。ボサボサの黒い髪と黒い瞳、浅黒い肌、言葉を発した時もあったから組織の人間も最初はたまたま島に流れ着いた人間か、または亜人の類だと考え捕らえようとしたの…」


 犯罪組織なので当たり前のように相手を拉致しようとするところにエリンダは若干引くがオービエは話を続ける。


「けれど呆気なく失敗した。理由は簡単、ヤツは人間でも亜人でもない化け物だったからよ、圧倒的な力を持ったね。そんなのにアジトの場所がバレちゃったからもう大変だったのよ~? 本部にいた戦闘員も改造した魔物もみんな瞬殺されちゃうし、私の必殺の魅了魔法も効かないし、アジトは色んな施設がバンバン破壊されちゃうしで~」


 平然と言い放つオービエに質問をした男が吠える。


「なっ!? そんな事態になっているのに何故組織に報告が来てないんだ!?」


「そりゃ私が絶対にそんな報告をあげちゃ駄目って本部のみんなに命令したからよ?」


「!?」


「だって~こんな失敗、他の幹部に知られたら絶対に私の足を引っ張ろうとするに決まってるでしょ? だから~極秘裏に人事異動を弄って幹部にもボスにもバレないようにここに戦闘員を用意したのよ?」


(このピンク頭、毛の色だけじゃなく頭の中も終わってんじゃないの!?)


 エリンダは内心毒づき、質問をした男は信じられない幹部の態度に目を見開いて固まっている。


「は~い、と言う訳で本部に来た新人さん達に任務を与えます。あの化け物を始末してね~出来ないと最悪この本部がやられて『混沌の爪』が崩壊するから死に物狂いで結果を出しなさいな~」


(……へ?)


 オービエの言葉に戦々恐々とする組織の人間達、しかし別に組織の人間ではないエリンダは違う感想が頭の中に浮かんだ。


(『混沌の爪』が崩壊? あのピンク頭のテンションが気持ち悪くて誤魔化されてたけど、まさか本当にそのレベルでやばい状況なの? ならそれを引き起こした張本人って一体何者なのかしら……)


 オービエは確かに言葉を発したと言った。ならば対話が可能かもしれない。或いは既に『混沌の爪』と敵対してる事を利用すれば─


「これは……少し危ない橋を渡ってみる価値はあるかもね」


 『混沌の爪』を崩壊させる力を持った謎の怪物、それにエリンダは組織の人間とは全く違う可能性を見出していた。

 期待と不安を半々に、彼女は黒の怪物と接触する為にアジトを後にする。

 他の戦闘員と共に移動すること数分、既に接触をして戦闘を繰り広げている様子を確認した。

 その戦闘の様子はかなり一方的なものだとエリンダは直感で理解した。


「ぐぁああああーーーーーっ!?」

「なんだこの怪物は!?」

「攻撃魔法が全く効いてないのか?」

「だったら俺の剣で………なっ!?」

「嘘だろ…鋼の剣が人差し指で折られたのか…?」


(本当にどんな化け物と戦わされるのよ私たちは!?)


 エリンダや他の補充人材、いや戦闘員にも緊張がはしる。彼女達は件の黒の怪物と接触した。


「……アレが、黒の怪物」


 オービエの説明通り、ボサボサの黒い髪と黒い瞳を持ち、浅黒い肌をしていた見た目はボロボロの衣服を着ているように見えるがそれらも汚れていてよく分からない。

 背丈は百七十前後、エリンダよりも背丈はあるが若干手足が短いなとエリンダは思った。

 胴長短足と言うやつである。


「…………」


(コイツ、こっちの様子を見ている? ……本当に知性がある生物ってこと?)


「この、怪物がぁああーーーーっ!」


 戦闘員の一人が槍を手にして果敢に黒の怪物に躍り掛かる。それに反応したのか黒の怪物が口を大きく開き何か人語らしきものを叫んだ。


「……ウ…ジャ…ウジャト……ゴミドモガ! オォオオオオーーーーーッ!」


「ぐぅっ!?」


 雄叫び、それだけで接近していた戦闘員の動きが止まる。そして怪物の蹴りがお腹に炸裂しその戦闘員は蹴り飛ばされてしまった。

 人間がヒットになった野球ボール並みに軽々と飛んでいく姿がエリンダ達戦闘員の目に焼き付けられる。


「ファイアーボール! ファイアーボール! 消え失せろ、この化け物がぁあーーーーーっ!」


 別の戦闘員が攻撃魔法を発動した。

 燃え盛る火球が怪物に直撃する。

 しかし怪物は怯むことすらなく連続で魔法を発動する男の方へとのしのしと歩き出した。

 その身には薄い橙色をおもわせるオーラのような魔力を纏っているのをエリンダは気付いた。


(嘘でしょ……本当に魔法が一切効いてないの? まさかあの身に纏った魔力で魔法を無効化してる? そんな…絶対防御魔法なんて大陸にも使える人間なんてほぼいないわよ!?)


 黒の怪物の動きが一瞬止まる、その姿が消えた。

 そして次の瞬間には魔法を唱えている男の目の前に移動していた。

 恐怖に固まり魔法を発動出来なくなる男にむかって、怪物は………静かに笑った。


「…バケモノ? フフッチガウ……オレハアク」


 ズドドドォーーーーンッ!

 何か言おうとしたが他の戦闘員による無数の攻撃魔法によりその言葉はかき消された。


「ウィンドブレード!」「ロックバレット!」「アクアカッター!」「ファイアーボール!」「サンダーパイル!」「ストームバレット!」「ロックキャノン!」「アクアストーム!」「ファイアーアロー!」「サンダーバルカン!」


「チョ………ヒトガアノメイゲンノサイゲンヲシヨウトシテルノニ……ホントウニコノセカイノニンゲンハヒトノハナシヲドコマデモキカナ……」


 ズドドドォーーーーーーーーーーーーーンッ!

 ズドドドォーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!


 怪物は………キレた。


「ゼイイン……キエウセロ、カオスパニッシャーー!」


 怪物が纏う魔力が白く輝き出す。

 エリンダは直感で危険を察知して防御魔法を発動した。


「くっ!? マジックシールド!」


 怪物を中心に魔力による大爆発が広がった。

 その威力は絶大で広範囲に渡る、ほぼ全ての戦闘員が戦闘不能となった。

 舞う土煙、変わってしまった地形、それでもエリンダは生きていた。


「ハァッ…ハァッ…はぁ~~な、なんとか生き残れたわね…」


「マダイタカ?」


 エリンダの背後に怪物がいた。


「ッ!? ガッ!」


「キエウセロ……キエウセロッ!」


「あぁああーーーっ!?」


 頭を掴まれ、握り潰されようとした、そしてもう片方の手でバックパックを怪物は剥ぎ取ろうとした。エリンダのバックパックの紐が千切れて落ちる。

 中の物が転がり出た、そこには彼女の弁当があった。

 そしてその中のおにぎりが見えていた。

 それを見た怪物が固まる。


「ッ!? コレハ……ナンダ?」


 怪物はおにぎりを手に取る。


「オレハ、コレヲ、シッテイル? っ!? アッアタまが……イタい……オレは……俺……は…」


 何故か怪物はおにぎりを食った。


「っ!?」


 怪物がエリンダを掴んでいた手を離す。

 咄嗟に距離を取りながらも事態を飲み込める訳もなく、彼女もかなり動揺していた。


「え、何? 何なの!?」


「おにぎりが……甘いって……どう言うこったふざけんなーーーーーっ!」


 エリンダのおにぎりは甘めの調味料で味付けされたおはぎ的な食料であった。

 しかし見た目は普通におにぎりだったので怪物は激オコプンプン丸である。プンプン。

 黒の怪物、いや異世界召喚され男である不知火アサヒは正気を取り戻した。

はい、主人公の再登場です。

甘いおにぎりも出ました。

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