第18話 『決戦』
無駄にデカい城門を抜けて城に侵入する、内装は以前一瞬だけいた地下の神聖な場所(笑)とやらと大差ない感じで基本的に白レンガの壁と天井、床は白の大理石っぽい石材を用いていた。
「カス王出てこいやーー!」
入って直ぐの結構広めな場所で俺は魔力を固めてぶっ放す。魔力弾だ、グミを連射するかの如く発射しまくりだ。
ぶっちゃけ城の最上階とかあの地下にいる可能性の方が高いが一々そこまで探すのが面倒くさい。
そこで一回ここで暴れておくことにした、あのプライドだけは異常に高そうなカス王だ。自分が主である城を破壊されまくれば何か反応があるかもと思ったんだ。
そして本当に反応があった。
突然床に魔法陣が出現、それに気付いた俺は少し距離を取った。
その魔法陣は恐らくは転移魔法のそれだったらしく、魔法陣の中心に例の男が現れる。
「フンッよもやあの時の不細工な輩か。タリシアが追放したのではなかったのか?」
カス王ジェネスが現れた。
そのイケメン具合は見るだけで俺を不快な気分にさせるイケメンだ、何故内面のカスさが顔に現れないのかと疑問しかない。復讐の炎と共に嫉妬の炎まで燃え上がるぜ。
服装は以前と大差なく貴族らしい装飾を施された服装と無駄に派手な赤マント。違いがあるとすると腰にぶら下げてるこれまた派手な意匠が目立つ長剣くらいか。
一応は武器を持ってきてるらしい。
「よお……カス王さんよ」
「言葉を慎め下郎、余はこのワーゲスト王国の王、ジェネス・ワーゲストである。貴様のような下民が平然と話しかけてきてよい存在ではない」
「はっ魔族にこれだけボロボロにされてる弱小国の小山の大将がよく言うな? 国が無くなりゃあ王様もただの下民だろ」
「愚か者め、王は常に王である。まあ貴様のように碌な教育を受けてこなかったであろうその不細工な顔を見れば、むしろその低俗な思考も仕方ないのかも知れないな」
「……………」
教育を受けていないブサイクってなんなんだよ、頭の良さとブサイクは関係ないだろこのカス、舌戦は互角か?
あって十数秒で俺の殺意はうなぎ登りだ、殴りたいあのイケメン顔を。
「なら余程のこと上等な教育を受けた王様に聞くが、もう魔族が城の城門も越えてきそうだぜ、ここからお前一人で何が出来るってんだ? 騎士の一人もいないみたいだが、人徳がなさすぎて誰も護衛がいないのか?」
「…ふっその答えは簡単だ」
カス王が腰にぶら下げていた剣を抜く、それと同時に自らの魔力を解放したらしくその身体を金色の魔力が覆った。
見た目はまさに強キャラ盛り盛りな感じ。
「余はこのワーゲスト王国で最強の魔道士だからだ! 護衛など全て不要、余が一人いれば侵攻してきた魔族など容易く殲滅する事が可能なのだ!」
「だったら城に引っ込んでないで何故さっさと前線に行かないんだ?」
「貴様のような下郎には理解出来ん……全ては多いなる存在への信仰。そして我が国の民の命はその偉業達成への供物に選ばれたのだ」
「……………あ?」
なんかいきなり話が変わって、雲行きがおかしくなってきたぞ、コイツ。
「全ては計画通りなのだ、我が国の人間が時には魔族を襲いヤツらに反感を持たせる。時には攫い奴隷として他国へ売り飛ばす、そして此度の侵攻を起こさせ多くの国民と魔族の命を……この先祖代々の王達が準備してきた儀式魔法の為の都市で散らす事全てが!」
なんかベラベラと話が長くてよう分からん。
ただ分かった事もある。
「つまりお前ら、わざと魔族を王都に引き入れて国民を襲わせてるって言ってんのか?」
「全ては我らの信仰の為だ、偉大なる神の為なのだ! アーハッハッハッハッハッ!」
狂ったように笑うカス王。
もう会話するのも嫌だな、なんか変な精神汚染でも受けそうだし。
「分かったよ、お前はカスなだけじゃなくて完全にイカれてるって事がな!」
俺も魔力を纏った、このカス王をぶちのめす。
「この儀式が滞りなく済んだ暁には偉大なる神の第一の使途となり永遠不滅の存在となるであろう余を愚弄するか!? よかろう、貴様のような下郎には勿体ないが、神より賜った我が力をその身に刻んでくれるわ!」
「上等だよこのゴミムシ野郎が! 地獄を見せてやるぜ!」
俺は床を蹴って前に出る。
カス王は手に持つ剣の切っ先を俺に向けた。
「光よ、愚者の身を貫け! キングブリューナク!」
切っ先から放たれたのは金色の光の槍だった。
魔力でガード、なんとか受けきる。
「ふんっ効かねぇな!」
正直言うと魔力でガードした時、ちょっと破られそうになった。なんだよカス王のあの魔法、威力も攻撃速度もタリシアとは段違いじゃないか。
次を放たれる前にぶっ飛ばそうと殴りかかったがヤツは背中に光の翼みたいな物を出すと高速で飛行して俺のパンチを避けやがった。
「ちっやたら速い飛行魔法だな」
「我が王族にのみ代々伝わる王の魔法、それを雑多な他の下級魔法と同列に思うなよ! キングボム!」
俺の周囲に光の球体が現れる。魔力を更に強めてガードした。なんとか防げたので俺もカス王に魔力弾を連射してやった。
「食らえ!」
「キングウォール! ……ッ!?」
カス王も光の壁を出して防ごうとする、しかし俺の魔力弾が数発当たると壁は消滅した。
残りの魔力弾がカス王を襲う、カス王は宙を飛び回り不格好になりながらもなんとか避けきりやがった。
「はっはぁーーーっ! 防御力は大した事ねぇみたいだな!」
「馬鹿な…不細工な下郎の魔法が、余の王の魔法を凌駕するというのか?! 有り得ん! そんな事が有り得ていい筈がない!」
プライドが刺激されたらしいカス王がキレる。
「うぉおおおっ! キングボム! キングブリューナク! キングストーム! キングライトニング!」
無数の眩い光の攻撃魔法が俺を襲う。
「これで終いだ! キングオブバスタービーム!」
カス王が最期に放ったのは極太のレーザー光線みたいな攻撃魔法だった。
アレは流石に食らったら死んでたな。
俺? ヤツの魔法連打でカス王自身の視界がホワイトアウトしたタイミングを見計らって全速力で飛行した、そんでカス王の背後に移動してたので何の問題もなかったよ。
「はあっ…はあっ……はっ! 余を不快にさせた罪を地獄で」
「うるせぇよバァ~カッ!」
この辺りのくだりはタリシアで既にやってんだ、似たようなやり取りは不要だろ。
て訳で俺は振り返ったカス王の顔面に渾身の右ストレートを叩き込んだ。




