第11話 『翌日』
「あ~~よくねたなぁあ~」
昨日、色々とあったが俺も他の連中もこの秘密基地で休んだ。ここには寝るためのベッドがある個室が幾つもあるらしく、そこの一つを適当に使わせてもらった。
実に爽快な目覚めだ、多分それなりの期間を寝具なしで休んでいたんであろう俺の身体、ベッドの上で久しぶりに熟睡出来たのかめっちゃスッキリ起きられた。
個室には洗面台とトイレが隣の部屋にあるのでそこで朝の用事を済ませ、服を新しいのに着替える、白を基調とした昨日着替えたヤツとほぼ同じヤツを着る。
そして廊下に出る…なんか朝シャンとかしたい気分になった。
俺はシャワールームに向かった。シャア~心身ともにスッキリする、もう昨日までの全身汚れで浅黒い感じに戻るのは無理だな。
元から俺は綺麗好きなんだよ。
そして廊下を歩きながら小腹も空いたし朝食とか欲しいなと思う、なんとこの秘密基地には犯罪組織の連中が持ち込んだ食糧が大量にあったのだ。
昨日はそれで満腹になって寝れた、熟睡の理由にはそれも関係してるよな。
よしっ朝食を取りに食糧庫に行こう。
少し早足で移動しようとした時、窓の外から声が聞こえた。
「ん?」
見ると窓から見えるその景色にネコ耳と昨日土下座してた連中がいた。なんか土下座連中が走っていて、ネコ耳はそれを監督しているようだ。
「さあっ走り込みなさい、体力は尖兵の基本なのです!」
「わっ私は研究者であって戦闘員ではないのに…」「くそっ戦闘員でも朝からずっと走り込むのはキツいっての」「よ、横っ腹が痛い…」「もうお家帰りたい」「そんなのないだろ」「エッホエッホ」「伝えるか」「石化怖い、石化怖い…」「なんで私までこんな目に~」
見るからに不健康そうな研究者もボロボロの服装の戦闘員も全員疲労の色を浮かべた表情で走ってる、昨日石化されてた女戦闘員も走ってんな。
ちなみにオービエも走り込み組の一員だ、なんか泣きながら走ってる。まっ幹部のヤツが不甲斐ないせいでこの秘密基地はあっさり奪われたりしたし、話を聞くと組織にこっちの好き放題がバレなかった理由ってのがアイツの保身による行動の結果らしいしな。
道理で回りの元部下達から白い目で睨みつけられてる訳だ。
「朝っぱらから気合い入ってるな~ご苦労様」
「随分と遅い起床ね」
声のしたので振り返る、そこにはエリンダがいた。
「エリンダか、おはよう」
言われてみると確かに、太陽はもう随分と高い所にある、重役出勤並にのんびりとした起床時間だったみたいだ。
「全くいい気なものよね、貴方もあの子も…」
「ミコルリの事か? まさかスパイがどうとか犯罪組織の連中がどうとかって話か?」
「そうよ、さっさと捕らえて国で尋問なりして『混沌の爪』のボスや他の幹部についての情報が欲しいのに…もう殆どの支部は制圧したって連絡も来てるのよ? こっちはあのしごかれてるヤツらを引き渡すまでの時間稼ぎで割と大変なんだから」
そりゃ確かに大変そうだ、普通になんでしょっ引いてこないんだよって話になるからな。
それにしてもどうやってエリンダは島の外と連絡を取り合ってるんだ? 魔法的な何かとかか?
コイツはコイツで背後関係が謎なままなんだよな。
「アサヒ、正直あの子がどれだけ頑張ってもあの数十人じゃワーゲスト王国をどうにかするなんて無理よ?」
「だろうな、けどミルコリはどうも本気で国崩しとか言ってる感じなんだよな~」
「なんで他人事なのよ、貴方が言い出した事が発端なのよ?」
そんなん言われても知らんよ、あのネコ耳があの連中を無理矢理巻き込んで事を勝手に大きくしてるだけだろうに。辞めろと言っても止まらんヤツをどうしろってんだ。
「俺の復讐の相手はカス王とその右腕のクソ女魔道士だけだって、国崩しなんて考えてないんだよ」
「ならなんであの子に好きにさせてるのよ?」
「……巻き込まれて苦労してるのが犯罪者だかテロリストだからかな、俺、そう言う連中に簡単に同情とかしないし。エリンダの国で尋問とかされる前にミコルリにしごかれるのも悪くないと思ってる」
「それには私も同感、だから私が所属してる組織の方に待ってもらっているんだけどね」
「…と言っても本当に尖兵なんかにされたら全滅して尋問も何もない訳だ、仕方ないからミコルリがアイツらを仕上げる前に俺だけ転移装置を使ってさっさとワーゲスト王国に行こうと思う」
「本気なの?」
「ああっそんでカス王とクソ女魔道士をぶちのめしてスッキリしたらこの島に戻ってミコルリが言う試練とやらの話を聞こう、復讐が終わった事を伝えればあの連中も解放されるだろうからエリンダの仕事も進むと思うぜ」
「そうなると助かるわ」
そもそも俺は初めから一人で動くつもりだったしな。
俺がこの島で手にした力、この魔力があればむしろ単独行動の方がさっさと目的を達成出来ると思っている。
そして一国の国王とかを私情でぶちのめしたりしたらめでたく大国賊の誕生だ、多分その大陸だと追われる日々とか待ってそうだからこの謎の島に引きこもる事にする。
転移装置も破壊するか、島に追っ手とかが現れた時に逃げる為に残しておくかとかも真剣に考えてる俺である。
「アサヒの考えは分かったわ、それと私も同行するからね」
「えっなんで?」
「実はワーゲスト王国には『混沌の爪』の支部はないの、移動で二、三日はかかるくらい離れた都市になら支部も転移装置もあるから装置を操作してそこになら移動出来る。だからそこから貴方を道案内する存在が必要かと思って」
「そう言う事か、なら頼めるか? 俺、この世界についてとか全く知らないからな」
「まあ異界から召喚されてるんですものね。任せなさい、私は様々な国を行き来してきたから余裕よ」
何とも頼もしいナビゲーターだな。俺の復讐旅行なんかについてきても何にも面白い事なんてなさそうだが。何か目的があったりするんかね。
まあ兎にも角にも話は決まった。
「そんじゃ早速行くとするか」
「ええ、分かったわ」
俺達は転移装置のある部屋に向かった。
忘れる前に投稿します。




