第10話 『ネコ耳のえげつねぇ魔法』
「……なにをするってんだよ」
俺の質問にネコ耳がネコ耳をぴこぴこさせ、更に大きな胸を張って答える
「私は魔道士です、私の魔法でアサヒ様の復讐のお手伝いをしましょう」
いきなり様付け? 慣れねぇ~~。
「あの~私はこのオービエや研究者達や外の戦闘員達に用があるんだけど」
「連中はアサヒ様の復讐に使えるので駄目です、どうしても島の外に連れ出したいのならアサヒ様の用事が終わってからにして下さい」
「え~~」
エリンダはどっかの国のスパイらしい、と言うか警察とかに近い組織の人間みたいだ。
ネコ耳にスッパリ言い切られてちょっと可哀想かもな。
「ちょっと私達『混沌の爪』を利用するつもり?」
「利用と言うよりはリサイクルですね。捨てられるゴミを捨てる前に私やアサヒ様の役に立ってもらおうと思います」
「え~~」
簀巻きでありネコ耳が座る椅子代わりとなっている哀れなヤツの言葉もスッパリいかれてるな。
ヤツは悪の組織の女幹部的なヤツらしいので可哀想とか微塵も思わん。
するとネコ耳が俺の方を見てきた。
「と言う訳でアサヒ様、早速この島にいる不埒者達を何処か一箇所に集めてほしいのです」
「え、俺が? なんで?」
「不埒者に何度も同じ説明をするのが面倒くさいんです、そしてアサヒ様には魔力である程度離れた所にある物でもまとめて動かせる能力があるみたいなのでそれでパパッとお願いしたいんです」
「え~~」
面倒くさい…がネコ耳の言う能力には心当たりがある。
ぼやけた記憶の中で俺は魔力を操りそれを手のように使って離れた物を掴んでいたのだ。
魔力は透けているから遠目から見るとまんま念動力みたいな超能力を再現してるみたいだったろう。自分よりも大きな岩とか樹海の大樹すら引っこ抜いて宙に浮かせてぶん回して樹海の魔物をコテンパンにしていた。
その力を使えば研究者達も外の戦闘員も集める事は簡単だ、時間もそこまでかからない。戦闘員がいる辺りまで移動するのは面倒だが。
それしてもネコ耳がそれを知っているって事は、以前から俺を観察でもしていたのか?
ますます怪しい、まあ疑うのは後回しだ。
そして時間は少しかかったがネコ耳の頼みを完了した。
連中を集めた場所はネコ耳と初めて会った広間である。
戦闘員も目を覚まし、研究者達も身体が自由になってきたのか皆自分の足で立っている。
「ほいっと…ミルコリ、多分これで全員集めたぞ?」
「サンキューですアサヒ様」
集められた連中は全員が俺達を見ている。
特に簀巻きにされたオービエと俺だな、連中が黙って立っているのは恐らくは俺がいるからだろう。
一体記憶が微妙な時の俺はコイツらに何をしたって言うんだか、そこら辺は殆ど覚えていない事にしている。まあ犯罪組織の人間だし別に心が痛む訳でもないんだがな。
「……さて、神聖なる我らの島に土足で踏み込んで来たゴミムシ共に私の有難い言葉を聞かせてやるです」
「なあエリンダ、ミルコリって結構ヤバいタイプのヤツじゃないか?」
「出会った時からそうよ、私なんか初めて顔を合わせた時に爆発する岩の塊で攻撃されたのよ?」
「それは、中々派手な攻撃魔法の挨拶だったんだな」
「全くよ、貴方には異様に好意的だけどその理由が島の試練に関係してるのは間違いないわ。借りを作ったら後で何を言ってくるか分かったもんじゃないわよ……だからちょっと顔が良くて巨乳だからってだらしなく鼻の下を伸ばしたりしたら駄目よ」
「俺がいつ鼻の下をだらしなく伸ばしたってんだよ」
巨乳云々のスタイルの良さならおたくも大したもんだろうに。一体何を張り合ってんだか。
俺とエリンダがネコ耳の少し後ろの方で小声でやり取りをしているとネコ耳の説明が続いた。
「これから私達は国崩しを行います、ゴミムシ共にはその為の尖兵となっていただきます」
「「………………」」
本当にアクセル全開なセリフばっカ言ってんなあのネコ耳。
当然プライドだけは高そうな犯罪者共だ、流石にブチ切れて口々に不満を叫び始めた。
「ふ、ふふふざけるなぁあっ!」「なんだあの銀髪の獣人は!?」「ケダモノ風情が、人間との立場を違いを教えてやろうか!」「我々『混沌の爪』を侮るなよ!」「オレの必殺魔法でぶっ殺してやる!」「おいっあまり刺激するな! となりの黒の怪物が暴れたら事だぞ!」
一人、ネコ耳を殺る気満々な戦闘員がその他の犯罪者達よりも前に出た。女性の戦闘員だ、女性ながら血の気が多いのか、俺もいるのに後先を考えていないのか、とにかくネコ耳に向かってピーピーわめいて喧嘩を売っている。
それにネコ耳は魔法で応えた。
「………うるさいです……ストーンド!」
ネコ耳が構えた杖の先が光を発する。
すると戦闘員から悲鳴が上がる、理由は彼女の足下からその身体が徐々に石化しだしたからだ。
えげつねぇ魔法ですな、時間にして数秒で戦闘員の石像が生まれてしまった。
更にネコ耳の言葉が響く。
「我が意に従い動きなさい」
ネコ耳の言葉に従うように戦闘員の石像はひとりでに動きはじめる。そしてネコ耳の命じる様々な変なポーズを取り始めた。
なんとまあ……石像を命令一つで自在に操る事も出来るらしい。
それを見ていた犯罪組織の連中は無言となった。
「分かりましたか? 私が聞きたいのは単純な二択です。生身のまま我々に従うか、石像となり従うか、それだけの実に単純な二択です………返事は?」
最早完全な脅し、このネコ耳、俺の想像を遥かに越えたオラオラ系じゃないか。
集めた自称犯罪組織のヤバい連中は一人残らずネコ耳に土下座して生身のまま従う選択をした。
ネコ耳のゴーレムマスター(ゴーレム爆破可能)。
結構強そうではないですか?




