表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

第5話 覚醒


目の前に現れたのは間違いなく天使

以前戦った天使と同等、もしくはそれ以上の力を持っていると思われる

しかし、今回は条件が違う


「お前、私の能力はわかってるのか?」


以前の崩れた廃墟とは違い

ここは森の中、隠れる影はたくさんある

瞬時にアルテミスは木の影に隠れた。


そしてそのまま


(死角に回りこみ、一瞬で終わらせる!)


アルテミスはミカエルの背後の影に回りこみ

爪を尖らせる。攻撃を仕掛けようとした時


ミカエルは右手を挙げ


「能力発動【火焔操縦】」


ミカエルの右手に炎が纏う


「炎!?」

炎の光で木の影が消滅する。

それと同時にアルテミスも影から弾き出されてしまう


「しまった!」


「そこか!」

そしてミカエルは炎を纏った右手で殴りつける


「ああああああああああああ!!」

強烈な一撃で吹き飛ばされる



「お前の能力はわかっている。能力名は【影間移動】!

影に入り込み、影から影へ移動することができる。

弱点は光!自身が入れるほどの影の面積がなくなると弾き出されてしまうんだろ!?」


「そして俺の能力は【火焔操縦】。炎を操る能力だ!」

炎の光であってもお前を封じることができる。

だから燃えるのもがたくさんある森の中でお前に戦いを挑んだ!」



ミカエルの言う通り勝負の相性は悪い。

影に隠れる能力であっても、炎の光で影を消されたら能力は使えない

「だったら、お前とは戦わなくても逃げればいいだけの話だ」


アルテミスはミカエルと距離をとり、

炎の光が届かない木影に潜んだ


ミカエルは叫ぶ

「逃しもしない!お前はここで消す!!」


ミカエルは無数の火の玉を繰り出し

周囲に飛ばす


火の玉のひとつがアルテミスの隠れた影を通った瞬間

「ああ!」

アルテミスが再び影から弾き出される


「そこかぁ!」

ミカエルは火の玉を飛ばし、それがアルテミスに命中する

「かは・・・!」


ミカエルは余裕の笑みを浮かべ

「わかっただろ!?俺の前では貴様は無力なんだよ!!」


ミカエルの右手が輝き、炎が唸りを上げた。手から放たれたのは、まるで竜が火を吹くかのような激しい炎の奔流だった。


「焼き尽くしてやる!」

叫び声と共に放たれる火炎は、轟音と熱風を伴いながら一直線にアルテミスへ向かう。


「く!」

アルテミスは右手を盾にして業火から身を守る


「ははは!どうってことねえな!アルテミス!!

攻撃し続ければお前は敵じゃねえ!」


「・・・な!?」

次の瞬間アルテミスの爪が炎の奔流を切り裂き、一直線にミカエルの喉元に向かう


「チイイイイッ!!」

ミカエルは瞬時に放出された炎を止める

体を回転させ、爪の一撃を避ける


「アルテミス・・・

お前の素性も、能力も知っているつもりだが、その右手だけが不可解だ。

星野め・・・余計なことを!!」


アルテミスはミカエルの放った業火を右手で防いだが

せいぜい炎の威力を軽減できる程度

アルテミスの負ったダメージも軽くない


「はあ・・・はあ・・・」



「舐めてると痛い目に遭いそうだ・・・

だったらすぐに決着をつけるぜぇ!!」


ミカエルの体が輝きだす


「能力の解放!炎の性質を変える!!」


再びミカエルは火炎放射の如く炎を放ち

アルテミスは右手で炎を防ぐ


「また同じ攻撃か?」


ミカエルの攻撃が止んだ後

アルテミスの右手には炎が纏っていた


「こ、これは!?・・・熱い!!」


いくら軽減できるとはいえ

右手には常に火がまとわりついている状態


じわじわと体力が削られていく


「オラオラァ!!」

ミカエルは追撃の炎を繰り出す


アルテミスは岩陰に身を寄せ炎を防ぐが

岩にも炎が纏わり、燃え上がっていく

「な・・・!?岩も燃えるなんて!?」


ミカエルは大声で叫ぶ

「この炎はなんでも燃やす!!岩でも金属でも

対象物が燃え尽きるまで!!」


「性質解析・・・」

アルテミスが小声で呟く

「いや、一つだけ燃やせないものがある。」


アルテミスは全力疾走で川に飛び込む


「ち・・・川に逃げたか」


川から出てきたアルテミスの右手には、纏っていた炎が消えていた


「だったら、今度は川にすら逃さねえ!!」

ミカエルの体に魔力が収束する



(今のうちに反撃を・・・

いや、ダメだ!回避に専念する!!)


「奥義!獄炎衝波!!!」


次の瞬間、轟音と共に巨大な炎の衝撃波がアルテミスを襲う

先程放った火炎と比でない

衝撃波はまるで嵐のような勢いで地面を削り取り、接触した草や木々を瞬時に灰へと変えていく。


アルテミスは瞬時に川から飛び出し、攻撃を回避するが

振り返るとそこには衝撃的な光景があった

「川が・・・ない!?」


森を流れる静かな川すら、その熱に耐えられず、蒸気と共に消滅させられる

地面には焦土が広がり、ミカエルの足元を中心に放射状に焼け野原が広がっていく。


森であった場所も周囲は火の海


長期戦になる程不利になり

アルテミスは次第に追い詰められていく


「覚悟を・・・決めるしかない。

最善の一手は・・・!」


ミカエルは炎で辺りを燃やし尽くす


「くくく・・・アルテミス!

逃げ道をなくした後、最後は大技で消し飛ばしてやるよ!!」



追い詰めるように炎を放っていたミカエルだが、

アルテミスは瞬時に視線をミカエルに向け


そして猛スピードでミカエルに突撃する


「な・・・!?こっちに向かってきやがった!?

大技は撃てねえ!だが、消えない炎を浴びさせてやるよ!!」


ミカエルは右手から放出した火炎をアルテミスに放つ


「く・・・」

「舐めるなあああああああああ!!!」


全身が燃えながらもミカエルに特攻する

アルテミスは右手の爪を尖らせ、切り刻む

想定外のアルテミスの反撃にミカエルは手痛いダメージを受ける

「があああああ!」


アルテミスはミカエルに攻撃をし続ける

まるで自分の命を燃やすかのように


「私が!やられる前に!!

お前を倒せば!炎は消えるはずだあああああああ!!!」


捨て身の猛攻

このままいけばミカエルを倒すことができるであろう。


しかし


「あれは・・・!?」


アルテミスの視線の先には

先ほど道ですれ違った二人の少女がいた


二人は周囲の火の海により身動きが取れない状態にあった。


「ヒイイイイイイ!!」

「誰か助けて!」


アルテミスは一瞬動揺するが、ミカエルへの攻撃手を緩めない

「私には・・・関係ない!!

何がなんでも生きて・・・教会まで行くんだ!」


そして巨大な大木が二人の少女に倒れそうになった時

アルテミスの脳裏に一つの言葉がよぎった


・・・・・・・・


『ねえ・・・アルテミス、

きっとあなたは、多くの人たちに命を狙われる。

でももし、あなたに優しくしてくれる人たちに出会ったら・・・』


『その人たちにも優しくしてあげて・・・』


・・・・・・・・


『これあげる!チョコレートだよ!

確か好きだったよね!!』


・・・・・・・・


「あああああああああああ!!!」


アルテミスが咄嗟に取った行動

それは自身をも疑うものだった


気がつけば二人の少女を身を挺して庇っていた



倒れる大木から二人の少女を押し出し、

自分は大木に潰されてしまう。


「ああああああああ!!」


二人の少女は一瞬何が起きたのかはわからなかったが、

即座にアルテミスが身を挺して庇ってくれたのは理解できた



「ア、アルテミス・・・!ありがとう・・・!!

今助けるからね!!」


二人は大木を持ち上げようとするが

重過ぎて持ち上がることすらできない


そうこうしている間にミカエルはアルテミスの元に寄っていく


「ヒ・・・ヒィ!」


あまりにも異質な存在のミカエルに

二人は恐れてしまう。


「に・・・逃げろ!」

アルテミスは必死に訴える


「で・・・でも・・・」

それでもその場を離れようとしない二人に


「私は大丈夫だ!大木が倒れたおかげで道ができたから、

お前たちは逃げるんだ!!」


「・・・」

「・・・待ってて!今助けを呼んでくるから!!」

少し黙った後、二人の少女は走って去って行った



ミカエルはアルテミスの元に近づき

「泣かせるじゃねえか!悪魔の子ともあろう者が人助けをするなんて!!

あの人間を見捨てれば、俺に勝てたかもしれないのになあ!!」


必死の抵抗のようにアルテミスは叫ぶ

「お前こそ、本当に天使なのか!?

関係ない人たちまで巻き込んで・・・!」



ミカエルは笑いながら叫ぶ

「この世界と!!『俺たちの世界』!!全ての最善を図っているんだ!

それは・・・お前の死によって成立する!!」


ミカエルは右手を前に出し、アルテミスに向ける

「放っておいても死ぬが、確実にとどめを刺してやるよ!!

大技、獄炎衝波でお前を消滅させてやる!」


ミカエルの右手に魔力が集まる


全身覆う消えない炎

巨大な大木に押し潰され身動きない

まさに死を待つ状態


アルテミスは考える

(私は・・・何をやっているんだ・・・。こんな非合理的なこと・・・。あの二人を助けなければ、あいつを倒せて私は生きることができたのに・・・。)



・・・・・・・・・


『また明日会おうね・・・。ヤクソクだよ。』


『いい?約束は、絶対に守らなくちゃダメなの』


・・・・・・・・・


(・・・まだだ!

まだ・・・私は・・・戦える!!)


アルテミスの目に闘志が宿る


押し潰されても右手はまだ動く。幸いにも燃えてはいない

(私の右手は自分の意思である程度変形させることもできる)


大木の下には、わずかな隙間に影がある

辺りは火の海、光源がたくさんあるということは影も小さいながらたくさんある


(私の能力【影間移動】

それは影から影に移動できる能力)


(私は・・・守るんだ・・・!)

(私の大切なものも、私自身の命も!

そして・・・ヤクソクも!!!)


アルテミスの体が輝き出す・・・


「終わりだ!悪魔の子!!獄炎衝波!!」

ミカエルは巨大な炎の衝撃波をアルテミスに放つ



「【影間移動】能力の解放!!」


アルテミスは最後の力を振り絞る

右手を爪立たせ、大木の下の影に突き刺す

「右手の指だけ・・・移動させる!!」


次の瞬間

四方の影から次々に爪が飛び出してきた。長く鋭い黒い刃がミカエルを襲い

瞬時に体を貫く

「がはあ!ば・・・バカな!?」


起死回生の一撃

ミカエルのダメージは限界を超え

放った炎の衝撃波も辺りの火の海も消える


「こ・・・この俺までも・・・!?」

ミカエルは次第に姿が薄くなっていき、消滅する


しかし・・・


「はあ・・・はあ・・・」

炎が消えても大木に潰されたまま

体力も魔力も残りわずか


「ここまでか・・・」

アルテミスは次第に意識を失っていった



ーとある場所ー


「バカな!ミカエルまでやられるなんて!!」


「それに能力の解放まで習得したのか!?」


「まあでも、ルールには則ってますね」


「とにかく!今は瀕死なんだ!!3体目を使ってとどめを刺しにいくぞ!」


「3体目はまだ調整中です。」


「そんな悠長なこと言ってられるか!また成長したらどうするんだ!!」


「落ち着いてください。3体目は特別です。

その世界のルールさえも通用しない存在なのですから・・・」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ