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第19話 決着

オリオンは目を疑う


「な、なんで・・・なんで立ってる・・・!?」


オリオンの声がわずかに震える。


「お前はもう瀕死のはずだ! それに、絶対に回避不可能な攻撃を受けたんだぞ!? それなのに・・・なんで、まだ立っていられる!?」


リュウセイは静かにこちらを見据えている。

それが、オリオンの焦燥感をさらに煽った。


「これはゲームなんだぞ!? 愛とか想いの力とか、そんなんじゃねえ!

体力がなくなったら、問答無用でゲームオーバーなんだよ!!」


オリオンは焦りを隠せないまま、必死に叫ぶ。


「……わかったぞ……! お前も不正行為をしてるんだろ!?」


怒りに任せてオリオンは即座にリュウセイのデータに侵入する

だが——。


「なんだと・・・?」


その結果を目にし、オリオンの顔が引きつった。


「こ、こいつ……何も不正行為をしていないだと!?」


ありえない。

そして、さらに——。


「てめえ・・・ナガレか!」


その名前を口にした瞬間、オリオンの背筋に嫌な汗が流れる。

信じたくなかった。


「教えろ! リュウセイ! いや、ナガレ!!

どんなカラクリを仕掛けたああああああ!!!」


叫ぶオリオンとは対照的に、リュウセイはただ静かに答える。


「どうってことない。ただ——避けただけだ。」


「んなわけあるかああああああ!!!」


オリオンは激昂し、指先から高出力のレーザーを撃ち放つ。


——だが、そのすべてをリュウセイはあっさりと避けた。

一発たりとも、かすりすらしない。


「・・・!!」


オリオンの動きが鈍る。

リュウセイの鋭い目つきが、静かにオリオンを射抜く。


「まさか、オレが・・・押されているのか・・・?」


「・・・不正もしていない、ただ一人のユーザーに・・・!?」


だが、リュウセイの動きが次第に鈍くなる


「な・・・これは・・・?」


「置き土産だよ!お前のデータ内に侵入した時

動けなくプログラムを組んでおいた!今度こそ終わりだ!!」


オリオンの大剣が振り下ろされる瞬間


「プログラム、コード修正」


その声と共にリュウセイは大剣を刀で弾く


「な・・・!?」


声と同時に現れたのは

「アルテミス!」


「すまない、リュウセイ 遅くなった。オリオンがいじったプログラムは修正しておいた」


「いや、大丈夫だ。間に合ってる」

「アルテミス、俺の陰に隠れろ。

そして、オリオンがまた何か不正しないか監視してくれ

オリオン・・・あいつは俺がぶった斬る」


「・・・わかった」

そう言ってアルテミスはリュウセイの陰に潜んだ


「オリオン、お前がどれだけ不正を重ねても俺に勝てない。

相手が『一人』だと認識している時点で」


「能力【練気一閃】」

リュウセイは静かに居合の構えをとり、周囲にオーラが集まる


「知ったような口利いてるんじゃねええええ!!

リュウセイだ・・・リュウセイを全員で攻撃しろおおおお!!」

オリオンは周りの冒険者に指示を出す


リュウセイは周囲を見渡し、神経を集中させる

爆発の能力を持った冒険者が再び自身に右手を向けているのに気づく


「【空間爆破】」


リュウセイは爆発の能力者に瞬時に近づき、蹴りで右手を他の冒険者に向ける


「・・・あ」


【空間爆破】右手の先に爆発を起こす能力

リュウセイはその能力の性質を幾度か受けているうちに見抜いていた


巨大な爆発は他の冒険者たちに巻き込まれ二人の冒険者は消滅し

リュウセイの影からアルテミスの爪が伸び、爆発の能力者も消滅する


「【衝撃咆哮】」


別の冒険者が衝撃の能力を放とうとした瞬間

瞬時に他の冒険者を盾にし、攻撃を防ぎつつ相手の戦力を減らす


「リュウセイイイイイ!!!」


オリオンが放つレーザー、それも他愛無く避け、背後にいる冒険者に直撃させ

消滅させる


オリオンは次第に余裕がなくなっていく

「なんだこいつ・・・ありえねえ!!」


「これだけの猛攻を回避しながら、攻撃もしないで相手を倒していくなんて・・・

避けてるだけじゃねえ!それ以上のことをこいつはやってる・・・!!」



リュウセイ集中力はもはや、人間の域を越えていた


見切りの能力、今まではただの自己満足のものであった

しかし、この力が誰かを守るために培われたものだと感じた時

その力はさらに磨きがかかる・・・


周囲を見渡した時、視界に映ったオリオン含む11人の冒険者

位置、表情、顔の向き、手の角度など全て脳内に刻み

どのタイミング、どの場所にどういった攻撃が来るか全て予想できるようになっていた


極限まで極めた見切りの能力は、数秒後に何が起こるかわかる

「予知能力」の域にまで発展していた


47人いたオリオンの配下も残すは2人

リュウセイのオーラも集まっていき

オリオンも次第に追い込まれていくのを感じている


「うおおおおおおおおおお!!」

敵の猛攻も緩んでいき、反撃の余裕が出てきたアースは残りの冒険者を消滅させる


残りはオリオンのみ

「俺が・・・負けるのか?・・・素直に認めるよ。お前達の力量を・・・

だが、俺がやられなければ問題ない。ここは一旦撤退して、策を練り直すとしよう」


「【物質操作】!【実体障壁】!!」

オリオンはバリアを纏い、そして体を浮かせ逃亡を試みる

ーしかし


「【重力領域】!!」

重量衝撃音と共に宙に浮いたオリオンは地面に叩きつけられる


「アース!!」


「やっと近づけた・・・。俺は・・・この世界の秩序を乱すお前を許さん!!」


「ぐ・・・

黙れええええええええええ!!!!」


オリオンの指先からレーザーが放たれ

アースの体を貫通する


「ぐ・・・ここまでか・・・」

ダメージの限界を超えたアースは次第に消滅していく


「オリオオオオオオオオン!!!!」

リュウセイはオリオンの元に全力で向かう


「お前は・・・何度も何度も・・・!しつけえんだよ!!」



「当たり前のように不正ばっかしやがって・・・

ゲームだけじゃねえ、現実世界の秩序まで乱すつもりか」



「このゲームのコンセプトは奪い合いだ!いや、ゲームだけじゃねえ!!

現実だって奪い合い!力を持ったものが弱者からなんでも搾取できる!!

それが、この腐り切った世の中だ!!」



『ステラ・ストリア』

『史上最大の、奪い合いゲーム

他のユーザーを倒せば、武器やアイテム、能力までも奪うこともできる!』



「・・・お前の言ってることは・・・一理ある。

だから俺も、奪ったんだ・・・!一つだけ、能力を・・・!」



「【空間転移】!!」

リュウセイはオリオンのバリア内に移動する


「な!?」


「お前を一撃で倒すのに、10分以上溜めさせやがって!!

【練気一閃】!!」


鋭いリュウセイの一撃でオリオンの胴体は上半身と下半身二つに両断される


「ば・・・バカな・・・

お、俺が負けるとは」


【空間転移】発動と同時にリュウセイの影が消えたため

アルテミスは地面から弾き出される。


「ん・・・やっと決着がついたな・・・」


オリオンの体は地面に叩きつけられ地面に伏す

だが、体は消滅せず意識もある様子だった


「消滅しない・・・?

これも不正か?」


不敵な笑みを浮かべながらオリオンは答える


「確かに俺はやられてしまった。もう戦うことはできねえ・・・

だが、このまま終わらせるわけにはいかねえ!!

もう日が暮れる!つまり!!これが使えるんだよ!!」


現実世界からオリオンはゲーム内に一つのデータを持ち込む

まばゆい光と共に現れたものは一人の少女


「あは♪あははははは♪

久しぶりだな!この世界も!!」


ショートの髪と天真爛漫な風格

間違いない。ずっと探し求めていた


「イリス!!」

アルテミスはすぐに駆け寄る

イリスはすぐにアルテミスに気づく


「あ、アルテミス!久しぶりだね♪」

無邪気な雰囲気とは別に無機質な邪悪さも仰せもつ


「イリス・・・帰ろう。ホシノが待ってる」

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