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第17話 決戦



リュウセイ、アルテミス、星野

三人にとって因縁深いオリオンがついに姿を現した。


オリオンはイリスを奪った「疑い」がある。だが、それはあくまで「疑い」の段階であり、確たる証拠はない。


「アルテミスウウウウウ・・・!」


以前、ナガレと組んでいたときとはまるで違う、禍々しい口調。これが、オリオン本来の話し方なのだろう。


「よりにもよってこんなタイミングで・・・」


リュウセイは剣を構えながら低く呟く。


「本当はもっと戦力を集めてから来たかったんだがな・・・」

「だが、これ以上放置するとマズイことになりそうだからな。直々に潰しに来たぜええええ・・・!」


「放置?」

リュウセイが問い返すと、オリオンは口元を歪め、ニヤリと笑った。


「お前たちの行動は全て『見て』いたんだよ」


「・・・!」


「俺たちは総勢48人のチームを組んでいた。そのうち何人かを監視役としてお前たちにつけていたのさ」

「アルテミスを狙う冒険者はスカウトし、チームに入れた。そして——断った奴は消した」


「だから道中で冒険者に会わなかったのか・・・!」


ツィンクルの村以降、アルテミスを狙う冒険者に襲われなかった理由。それは、オリオンがスカウトしたか、あるいは——始末されたかのどちらかだったのだ。


「まあ俺はとある『準備』をしていただけだがな」


「『準備』?」

冒険者たちは言っていた。オリオンは長い間行方知らずだと

狡猾なオリオンが行う『準備』。決してロクなものではない。


「アルテミス・・・

お前がインストールしているプログラム、完了すると後々面倒になりそうだからな——今、奪いに来てやったぜええええええ・・・!」


オリオンの目が大きく見開かれ、狂気に満ちた笑みを浮かべる。


「奪う・・・やっぱりお前がイリスを・・・!」


アルテミスの目が鋭くなる。


「お願い・・・! イリスを返して!!」

星野は悲痛な声で叫ぶ。しかし、オリオンは嘲笑うだけだった。


「断る。イリスは俺の目的に必要だからな」


「お前の目的は、一体なんだ……!?」


「支配さ……世界中のコンピューターをな」


オリオンの声が響く。


「イリスのプログラム解析能力は優秀だ。銀行や企業のセキュリティなんか、簡単に突破できる」

「だが……国規模のセキュリティは流石に突破できなかった」


「だから、アルテミスも手に入れる」


「そうすれば……世界中のコンピューターに入り込み、あらゆる機械を遠隔操作できる」

「そうすれば——面白いことができるぜええええええええ!!!」


オリオンの声が狂気に染まる。


「情報操作! 戦争勃発!! 核ミサイルをぶっ放すことだってできるんだぜえええええええ!!!!」


高笑いが教会中に響き渡る。


これはもう、ゲームの問題ではない。

賞金、不正、そんなレベルの話ではない。


——もし負ければ、世界の終わり。


「イリスが……なんてことを……」


星野の顔が青ざめる。絶望がその表情を支配する。


しかし、オリオンはさらに追い打ちをかけるように言葉を紡いだ。


「おまけに、いいことを教えてやるよ」


「イリスはな……『アルテミスも同様に捕らえた。消されたくなかったら言うことを聞け』って言ったら……」


「素直に言うことを聞いてくれたぜ!」


「……!!!」


「本当に仲の良い双子だなあああああああああ!!!!」


「お前……!!!」


怒りに震えるアルテミス。


「あなた達、聞いた!? あのオリオンは戦争を起こすつもりなのよ!?」


星野はオリオンの周囲にいる冒険者たちに訴えかける。


「そんな奴に、あなた達は力を貸すの!?」


だが・・・


「え?」

「戦争?」

「なに言ってるんだ?」


冒険者たちは困惑した表情を浮かべる。


「無駄だ」


オリオンが冷たく言い放つ。


「さっき俺が放った言葉は……お前らだけに聞こえるようにプログラムした」


「裏切られたり、戦意を失われたりしたら困るからな

こんなことができるのも……イリスのおかげだ」


「…………っ!」


「ちなみに、俺がお前らだけに目的を話した理由は二つ」


「一つ目——俺は絶対に負けない自信がある

二つ目——お前らが負けたときのツラを拝みたい。それだけだ」


「……っ……!」


オリオンが剣を振り上げる。


「さあ!

世界の命運をかけて勝負しようじゃねえか!!

盛り上がるぜえええええええええええ!!!!!」



「まずは前衛5人、行け!」


「おう!」


オリオンの指示のもと、5人の冒険者がリュウセイたちに特攻を仕掛ける


「オリオォォォォォン!!」


「な!?」

リュウセイとアルテミスは五人の冒険者を跳ね除け一気にオリオンまで距離を詰める

そのうち二人の冒険者は消滅する



「慌てるなよ。まだゲームは始まったばかりだ」


「能力【物質操作】!能力の解放!!

自分の体を操作!!」


そう言うとオリオンの体が浮き出し、空高く舞い上がった

「これが俺の能力、物質操作だ。普段は念力のように物体を浮かせる能力だが

能力を解放させることで自分の体だって思うがままさ」


「高みの見物ってやつか」


「おうよ。全員倒したら相手してやるよ」

オリオンは見下しながら言う


「狙うはアルテミスだけだ!」

特攻を仕掛けた5人のうち残りの3人がアルテミスに向かう


「ホシノ、影を借りるぞ!」

「え?う、うん!」


「能力【影間移動】能力の応用!

右手の指だけ移動させる!!」


影に突き刺した指が冒険者達の影まで移動し、

伸びた指が体を貫く


そして3人の冒険者達は消滅する

オリオンが最初に放った冒険者5人は瞬く間にやられてしまう


「ちっ、まああまり期待してなかった連中だ

よし、次は追撃部隊 10人行け」


オリオンの合図とともに冒険者10人がアルテミスに向かう


「くっ・・・これは流石に俺も加勢しないとまずいか!」


リュウセイはオリオンから離れアルテミスの援護に向かう


オリオンは冒険者達に叫ぶ

「さっきので大体わかった!アルテミスの能力は【影】の能力!

自分の影に注意を払いつつ攻撃を仕掛けろ!」


オリオンの的確な指示

これまでの戦いも全て見られ、アルテミスの能力を知られてしまう


戦えるのはリュウセイとアルテミス

星野は運営の一人 一般冒険者に介入することは許されない


2人対10人

それも雑魚じゃない。多勢に無勢の状態


次第に二人は追い込まれ

アルテミスは岩の影に隠れる。


「今だ!岩を破壊しろ!!」

オリオンの指示のもと冒険者はアルテミスが隠れた岩影の岩を破壊する

すると影からアルテミスが影から弾き出される


「しまった・・・!他の影に移動する前に・・・」

影から弾き出され直後のアルテミスは隙が大きい


それを冒険者が見逃すはずがない


「アルテミス、終わりだああああああああ!!!」

冒険者の強烈な一撃がアルテミスを襲う


そこに・・・


「【重力領域】!!」


その声とともに、アルテミスを襲おうとした冒険者は

強大な重力の力に押し潰される


「今のは・・・」


アルテミスの窮地を救ったのは

最初にアルテミスに挑んだ冒険者


「アース!」


アースは声を高らかにして叫ぶ

「アルテミスを討つのは俺だ!!

賞金はお前達に渡さねえ!!そしてリュウセイ君、今回だけは助けてやる!」


やってきたのはアースとその仲間達三人


「お前達・・・すまねえな」


それにアルテミスも反応する


「お、お前達は私に何度もやられてる冒険者じゃないか・・・」

その言葉にアースは涙を流す


「なんだよお前・・・きちんと覚えてるじゃねえか!

ちくしょうめ!!」


それは嬉し涙なのか悔し涙なのかわからないが、

リュウセイ達に加勢が加わる。それだけじゃない


「アルテミス!助けにきたよ!!」

「あまり役に立てないかもだけど・・・」


「お前達は・・・」

筋肉質な剣士と小柄な魔法使い

あの、森でアルテミスが助けた二人の少女


「アースたちもそうだが、なぜこのタイミングで来てくれたんだ?」


剣士の少女は微笑みながら答える

「中心都市ステラにいたら、大勢の冒険者達がアルテミスを倒すと意気込んでて・・・

なんとかできないかと後を追ってる途中、アースさんたちと出会ったの」


魔法使いの少女は震えながら意気込む

「怖いけど・・・頑張る!」


アース達と少女たちの加勢により

リュウセイ側が星野を入れて9人 これで劣勢も覆せる


「アース!周りの冒険者の相手を頼む!」

「アルテミス!俺たちは・・・」


・・・・・・・


戦場は混戦状態


多くの冒険者同士が戦う中

浮遊しながらオリオンは戦況を眺めてる


次第に仕掛けた冒険者も減っていき

一つの違和感に気づく


「一人・・・いねえ!あの三つ編みの剣士が!!」


「オリオンさん!後ろ!!」

仲間の一人が大声でオリオンに訴える

気づいた時にはもう遅い


「オリオオオオオーーーン!!」


叫び声とともにやってきたのはリュウセイ

白いオーラを纏いながら


木の影からアルテミスの爪がのび、オリオンに向かう

その爪にリュウセイが乗り一気に距離を詰めてくる

死角から、かつ凄まじい勢いで、

オリオンも接近を許してしまう


「な、てめえ!全員倒したら相手してやると言っただろ!」


「お前のルールなんざ知るか!」


オリオンはアルテミスの爪は回避できたものの

リュウセイは爪から飛び降り、オリオンに刀を叩きつけるように斬りつける


「【練気一閃】!」


「がああああ!!」


オリオンはリュウセイの攻撃により大ダメージを受け

地上に落ちる


「覚悟しろ!オリオン!!」

リュウセイは追撃の攻撃を仕掛けるが


「特殊部隊!10人!!援護しろおおおお!!」

オリオンは周りに待機させた冒険者に指示を出す


「特殊部隊だと!?」


「くくく、こいつらは一筋縄にはいかんぞ」


特殊部隊がリュウセイのもとに向かい

一人の冒険者がリュウセイに攻撃を仕掛ける


「【水流支配】能力の解放!水のない場所にも水流を生み出す!

そして【硬度変化】能力の解放!あらゆるものを硬質化させる!水飛沫きを硬質化させ無数のナイフ状に変化させる!!」


ナイフと化した水飛沫がリュウセイを襲い

肩や腹部に刺さりダメージを負う


「があああああ!

な!?複数の能力を解放させることは不可能のはずだ!!」


オリオンは笑いながら言う


「教えてやるよ。『不正行為』さ

複数の能力、そして能力の解放もできる。

ステータスもいじって最大値にしてある。それが10人。倒せるかな?」


リュウセイは避けつつ、オリオンと距離が開いてしまう

その間オリオンは起き上がり再び空中に舞う


追撃部隊はアース達が倒すことができたが

特殊部隊は能力、強さが異なり、次第に追い込まれる


「ぐあ!」

「うあああああああ!!」

「無、無念・・・!」


「お、お前ら・・・」

アースの仲間三人も特殊部隊にやられてしまう


「ひいいいいいい!!」

「だ、ダメかも・・・!」

少女二人は逃げ回る


そんな中、星野は目を鋭くさせる

「わかった。あの特殊部隊は全部『不正行為』をしているユーザー・・・

今こそプロデューサーにもらった力を使う!」

星野の体は光だし


「運営のみに許された特権!不正行為を行なったユーザーは出ていってもらいます!

【強制退場】!!」


星野が放出した光により

特殊部隊は全員消滅した


アルテミスやアースは信じられない光景にあっけらかんとする


「すごいぞホシノ!どうやったんだ?」


「これは不正行為を行なったユーザーに対してゲームをできないようにしたの

いわゆるBANってやつね」


「じゃあ周りにいる他のユーザーも消してくれよ!!」

アースは星野に訴えるが


「悪いけどそれはできないわ。消すのは不正行為を行なったと確信できる相手じゃないと・・・。私は立場上は運営だから」


それを見てオリオンはほくそ笑み、

星野に大声で呼びかける

「なあ、運営さん、見てくれよ!俺の能力は【物質操作】だけどよ・・・

能力【肉体修復】!」


「な・・・?」


オリオンはリュウセイが傷つけた傷が塞がっていき、元の状態に戻る


「そして、能力の解放!肉体を強化させる!!」

巨大なオリオンの筋肉がさらに増幅する


複数の能力の解放を使用する不正行為

それを運営の星野に堂々と見せつける。


「なあなあ!俺も不正行為やってんだよ!!

ついでに言うと二つ三つとかじゃねえ!たくさんあるぜ!!

さっきの消滅するやつ、俺にもできるか?」


オリオンは星野に挑発をする


「言われなくても・・・」

再び星野の体が光だし・・・

「【強制退場】!!」


巨大な光が放たれる。

・・・しかし



目の前にいたのは平然としたオリオンの姿であった


「な・・・?そんな・・・!」


「BAN対策はきちんとしてあるんだよ。

通用するか心配だったんで特殊部隊を先に向かわせておいて良かったぜ

運営!今度はお前が退場してもらう!!」

オリオンの体が輝き出す


「【光束放出】能力の解放! 全ての指から放つ!!」


オリオンの指から複数のレーザーが重なり、巨大なレーザーとなる。

それが星野の体を貫く


「そんな・・・!そんな・・・!!」


「ホシノ!!」

アルテミスはすぐに星野の元に駆け寄る


オリオンは

「さて、これで不正行為し放題だ。温存部隊!残り22人!全員特攻だ!

温存部隊は不正行為をしていないが・・・この数、倒せるか?」


周囲から猛攻が襲う

星野に向かった攻撃は全てアルテミスが庇う


「くっ・・・!」

「ア、アルテミス!私のことはいいから!!」


「あのメガネの魔法使いを狙え!アルテミスが庇うから

アルテミスにダメージを与えることができる!!」


執拗に星野を狙う冒険者達

しかし


「・・・え?」


星野を狙う冒険者二人はリュウセイにより一刀両断され消滅する

そしてリュウセイは大声で叫ぶ


「狙うなら俺にしろ!アルテミスや星野さんを狙った奴は

優先的にぶった斬る!!」


「ひっ・・・!」


リュウセイの鬼気迫る言葉に一部の冒険者は畏怖してしまう


そしてアルテミスに指示を出す

「アルテミス!星野さんを頼む!!」

「わ、わかった」


アルテミスは星野を連れて攻撃の届かない場所に移動する


「アース!俺たちで乗り切るぞ!」

「わ、わかったが・・・キツすぎる・・・!」

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