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第16話 救出

最終章です。

もう少しだけお付き合いください


『イリスをを助ける方法を、ついに見つけたわ」


星野の言葉に、アルテミスの瞳が 大きく揺れる。


「そ……それは本当なのか?ホシノ?」


「ええ。そのためには——」


アルテミス、あなたの力が必要なの」

意味深な表現 を用いる星野。しかし、アルテミスには その意図が掴めなかった。


「どういうことだ?」


「奪われてしまったのよ……イリスのデータもろとも」


「そして、奪ったのは——」


「ランキング No.2、オリオン……」


リュウセイが続ける。


「やっぱり、あなたも気づいていたのね。リュウセイ君」


「ええ。自分が『ナガレ』というユーザーだった頃、オリオンが イリスを奪っていくような姿 を見ました」


「疑問なのは、一体なぜ、どういう目的でイリスを奪ったのかということ……」

一瞬の沈黙。

リュウセイは 目を伏せた後、慎重に言葉を選ぶように口を開いた。


「……申し上げづらいですが、イリスを奪った目的は……なんとなく憶測がつきます」


「それは?」


「イリス……AIを使ったハッキング行為です」


その言葉に 星野の顔が凍りつく。


「イリスが消えてから、日本中でハッキング行為が相次いでいます」


「未だセキュリティを突破できない箇所もあるみたいですが……」


「な……?」


星野は 驚愕する。

確かに、それは あり得る話だった。

イリスは プログラムの解析能力に長けている。応用すれば、セキュリティの壁を突破することも可能。


「そんな……イリスが……なんてことを……」


「恐らく、脅迫か何かで無理やりやらされているのだと思います」


「そ……そうよね。イリスが、そんなことするわけない……」

二人の会話にいまいちついていけないアルテミス



「リュウセイ、ホシノ、一体何を話してるんだ?

 イリスは助けられるのか?私たちはどうすればいいんだ?」


 話についていけないアルテミスが 焦るように問いかける。


「ごめんごめん、ここからが 話の本番 だけど

私はついに完成させたの。アルテミスをこのゲームの外に出す技術を開発したの」


「「え!?」」


 二人は 驚愕する。


「皮肉にも オリオンがイリスを奪った技術を参考 にして、開発できたわ

イリスは恐らく、ネットの世界のどこかにいる

イリスとアルテミスは元々一つのAI。広大な電子の世界でも、お互いを探し出せるはずよ」


「そういえば、ゲーム内でも イリスは私の居場所を察知していたな」


アルテミスは思い出す。初陣の日——

イリスは アルテミスの位置を感知し、星野と共に教会へ先回りしていた。


「じゃあ、イリスを取り返せればハッキングもなくなって、全て解決するわけか!」


リュウセイが 意気揚々と拳を握る。


「早速探しにいきましょう!」


だが——


「だけど問題もあって……」


星野の 表情が曇る。


「アルテミスにそのプログラムを インストールするのに、膨大な時間がかかってしまうの」

「約24時間。丸一日ぐらい……」


(イリスだったらもっと早くインストールできる けど、アルテミスはプログラム習得が苦手 だから時間がかかってしまうのよね……)


「じゃあ、その間に アルテミスを守らなくてはならないわけか」


「頼んだぞ、リュウセイ」


「はは、任せておけ」


そのやり取りを見て、星野は微笑んだ。


「ふふふ……」


(良かったわね、アルテミス。優しい人に出会えて——)


三人の心が一致し、プログラムのインストールを開始する。

そのとき——


「余計なことをしないでもらえるかな?」

教会内に、不穏な声が響き

一人の男性が現れる。


それは・・・


「プロデューサー・・・」

星野の顔がこわばる。


「星野君、君はまた 勝手なことを……」


「プロデューサー!聞いてください!!

イリスはユーザーに奪われてしまったのです!

そして、日本中で起きているハッキング事件も、イリスを利用されている可能性があります!」


「ハッキング事件?」


「ええ、今から アルテミスをゲームの外に出し、イリスを見つけ、助け出します!

お願いです!許可をください!!」


しかし——


「悪いが、そうはいかないのだよ」


「な……!?」


「このゲームは、サービス終了させることにした」


「なに……!?」


「十分な利益も出せたし、何よりそのAIの脅威は未知数だ

また暴走すれば、この会社だけじゃない。世界中のコンピューターに危害をもたらす可能性がある」


「サービス終了とともに、そのAIも消す

世のために」


「勝手な……!!ただ、怖いだけでしょう!?

自分達に責任がかかることが!!」


「そして世界とか世の中のためとか言いながら、守るのは自分の保身じゃないですか!!」


「どれだけあなたに 振り回されたことか……!!

ユーザー達だけじゃない!イリスも、アルテミスも……!」


「権力とは、他者の人生を好きに支配できるのだよ

筋が通っていなくても、権力者が正しいと言えば、それが正しいのだ」


「それが 社会であり、会社なのだ」


「そして、星野君、

君は会社の意向に背いた行為を幾度も行っている」


「相応の処分を覚悟してもらうよ」


「あなたは……!」


星野の目には、大粒の涙が溢れていた。


どれだけ足掻いても——

権力という理不尽な力には抗えない。


そこに、リュウセイが立ち上がる。


「あの〜プロデューサーさん?」


「なんとか、このゲーム、続けてもらえませんか?」


「君は……ユーザーの一人か」

(アルテミスと協力したとはいえ、用意した天使を撃破しおって……)


「残念ながら、ステラ・ストリアはサービスを終了させる考えに変わりはない」


「そこをなんとかお願いしますよ。自分、こういう者です」


「君が一体何者だろうと・・・な!?」


リュウセイのプロフィールカードを見た途端、プロデューサーの顔が青ざめる。


「自分の名前、ネットで調べれば出てくると思いますよ」


「そ……そんな……なぜ、お前が……いや、あなたがこんなところに……?」


「おかしいか?ゲームやってたら?」


「い、いえ、そういうわけでは……」


「ついでに言うと、俺はリュウセイとして冒険を始めてから、全ての記録を録画してある」


「あの雷を使った天使のこと、覚えてるよな?

あれは、お前達が生み出した存在だろ?

攻撃が通らない明らかなイカサマ、公表されたらマズイよな?」


「な、何をご所望で……?」


「なに、簡単なことだ」


「イリスとアルテミスが平穏を取り戻すまで、このゲームを終了させないこと

そして、理不尽を仕向けた自覚があるなら、イリス、アルテミス、星野さんに詫びること」


「この二つだ」


プロデューサーは言葉を失うも・・・


「……わ、わかりました」


「要求通りの対応をさせていただきます」


「そして、星野君——」


「この『力』を授けよう」


「これは……?」

渡されたのは一つのデータ ゲーム内では結晶化されたアイテムとして表示されていた


「運営の権限の一つだ。君なら 上手く使いこなせると信じている」

そう言ってプロデューサーはゲームからログアウトした


ただ、少し疑問に感じることがある

「リュウセイさん、あなたは一体?」


それに便乗し、アルテミスも

「リュウセイ、お前はすごいやつなのか?」


それに対し、リュウセイは

「なに、どうだっていい。この世界では俺はお前を守る剣士だ

後はアルテミスがプログラムをインストールするのを待つだけだ」


「そうだな・・・」

 三人は、プログラムの完了を待ち続ける——。




・・・・・・・・・・・・・・・・・


数時間後

日は沈みかける


静かな教会内 だが警戒は怠らない


「・・・・・・・!?」


周囲を取り囲む殺意

リュウセイはすぐにそれを感じ取る


「アルテミス!星野さん!!敵だ!」


「ああ!わかってる!」

同様にすぐ対応するアルテミスと


「え?え??」

突然の出来事に慌てる星野

三人はすぐに教会を出る


三人の目の前にいるのはアルテミスを狙った冒険者

それも一人ではない


教会を囲む冒険者たち

その数四十人から五十人ほど


それも相当な手練

そしてその中心にいるのは

忘れもしない。三人にとって因縁深い人物


巨大な体に身体中にある無数の傷跡

民族衣装のような服装

背中には巨大な剣を2本背負っている


「ランキングNo.2オリオン・・・」


「あいつが、イリスを・・・」

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