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恋って何だっけ

作者: 深沼バルキ

恋って何だっけ。


最近わたしはそう思うことがあります。


どこかで恋はするもの、愛は育てるものと誰かが言っていた気がするけど、これに共感できる人は実際に世間でいう、普通の恋愛をしたことのある人だけだと思っている。


 一応わたしも初恋は済ませている……と思う。相手は中学の頃クラスで一番人気のあった男の子だ。


 だからわたしも最近まで、自分はそっち側。つまり普通の人間だと思っていました。


 でもそれは勘違いだったのです。


 わたしの恋愛の価値観は世間では普通ではなく異常なのだと最近になって知りました。


 きっかけは成人式の一週間前の出来事。


 初めは小学校からの友達の渚から突然きたとある連絡からだった。


 小学校の頃の担任の先生が卒業式の後、「君たちが成人式をする年の一月三日にここの正門でまた会いましょう」って言っていたの、覚えてる?


 正直わたしはそんなことすっかり忘れており「覚えてるよ」なんて小さな噓をついていました。


 すると渚は喜びのスタンプを送り「それでね。先生にも確認とったんだけど、覚えてくれていたみたいで――」と興奮気味の渚の後の会話はご想像通りです。


 そして当日。集合時間は午後四時。


 渚によれば、すぐに連絡の取れる十数人には声をかけたそうで、その約半数の六人は来るとのことだった。


 わたしは久々に懐かしい人たちに会えることが自分の思っていた以上に嬉しくて、三十分前に正門前に着いていました。


 するとそこには渚と先生がいたのです。


 渚とは連絡は取り合っていたものの、会ってはいなかったので少し緊張したけど、渚も先生も変わらず当時の面影が見えてほっとしました。


 そして集合時間に近づくにつれて人が集まっていき、数分遅れてきた博孝が到着して全員が集まった。

 みんなと懐かしの出来事から、最近のことまで話していると、一つとあることに気づきました。


 それは、みんなが必ずわたしに変わったね」と言うのです。


 わたしはすぐにあの頃とは違って今は髪を染めているから皆そう言っているのだとその時は思っていました。


 でもそれはすぐに違うのだと知ります。


 というのも昔から何でも正直に話してしまう博孝が言ったのです。


 「ん? 彼氏じゃなくて彼女? 変わってるね」


 その時、ただわたしはどう答えたらいいのか分からず愛想笑いしか出来なくて、そのままバイトがこの後あるからと適当な理由をつけてその日は家に帰ってしまいました。


 それほどわたしにとって、同性愛が普通ではないことが衝撃だったのです。


 わたしは高校生の時に一度告白されて付き合った彼氏がいました。付き合っているうちにわたしも彼に好意を少しずつ向けるようになり、当時のわたしは男女のそうゆう行為もしたくらいです。


 そんな彼とも別れ、高校卒業後は大学には行かずに資格を取得するためにフリーターに。


 そしてとあるバイト先でわたしは女の子に恋をしました。


 身長も声も小さくて、彼女と話していると仕事頑張ろうって思えるほどかわいい年下の女の子で、すぐに自分はこの子のことが好きなのだと直感し、告白。


 「よろしくお願いします」と言われた時は心が飛び跳ねるほど喜びました。


 それから二人でデートに何度も行って、たまに女どうしで行為に及んだこともありました。


 先ほども言った通り、わたしは男性とも付き合ったことがあります。


 確かに女の子の方が好きな傾向にあることは否定しません。


 だからといって同性を好きになることがそんなにおかしいことなのでしょうか。男性も女性も関係なく好きになってしまうことは異常なのでしょうか。


 わたしにはわかりません。


 男の人にも女の人にも魅力的なところがあります。そこを他の人と同じように好きになった。ただそれだけなのです。


 なら普通の人とわたしとの恋の認識の差って何なのでしょうか。


 世間では普通ではないわたしの恋は果たして出来ていると言えるのでしょうか。


 以来、わたしは今も付き合っている彼女の手を握る時、やはり思ってしまうのです。


 恋って何だっけ、と。

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