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私の影映し  作者: まんまる
17/18

彼女とお酒

 夏が本格的に始まった。日差しが町ゆく人を照りつける。

 朝の講義が終わり、大学にはお昼休みの時間がやってきていた。

 7月に入り、大学では夏休みを待ち望む人が多いなか、就職活動にむけて行動する人も増えてきた。もちろん、普段通りと何も変わらない様子の人もいる。

 歩乃目ほのめの隣に座っていた真優まゆは、普段と何も変わらない様子だった。


「歩乃目~、あつい~。どうにかして~」


 講義室の机に伏せ、下敷きでパタパタと顔を仰いでいた真優が歩乃目の方を向いた。


「私だって暑いよー。アイスとか食べたいね」

「あとで買いに行こうぜー」

「あ、でも、この前居酒屋行ってお金使っちゃったし......」


 そう。最近、夏生なつきを含めた3人で居酒屋に行ってきたのである。

 とても楽しかった、ということは覚えている。


「歩乃目、お前すぐ酔っ払って潰れてたぞ」

「えっ」


 そうか、酔い潰れていて記憶が無かったのか。

 そんなことを話していると、少し離れた席で講義を受けていた夏生が近づいてきた。


「ほんとにすぐ酔い潰れてたよ。あの後大変だったんだから」

「えっ、えっ」

「ほんとになー。全然起きないから私がおんぶして車まで運んだんだぞ」

「えっごめんね」


 まさか自分がそこまで潰れていたなんて知らなかった。2人にはほんとうに申し訳ないことをした。

 夏生が歩乃目の顔を見て、言った。


「いつか悪い人にたくさんお酒飲まされて利用されちゃうかもよ」


 ......たしかに気をつけないと。簡単に記憶が無くなってしまうほどに自分がお酒に弱いのも、さっき初めて知った。


「そうだね。ありがとう。気をつけるよ」

「ほんとに気をつけろよな~」


 真優が机に伏しながら言った。それをみた夏生が真優の頭をたたいて起こそうとする。


「起きなよ」

「いって」

「お昼ご飯食べに行くよ」


 そうしてやっと机から起き上がった真優と、3人で食堂に向かった。


 歩乃目にとっての日常が、今日も変わらず続いていた。何事もなく。



 

 

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