表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が求める青春の形とは、一体何なのだろうか。  作者: ダンテ
第一章 各々の日常の高校生活編
1/15

第1話 俺の高校生活とは、一体なんなのだろうか。

初投稿です。もしよろしければ最後まで読んでいってくれるとありがたいです。

よろしくお願いします。

 ______

「ずっと前から好きでした!」

 ______

「俺と付き合ってください!」

 ______

 俺は深々と頭を下げる。告白ってこんなにも緊張するもんなのかよ。

 緊張のせいで膝がガクガクと震えている。心臓のバクバクという激しい心拍音が俺の中で響き渡ってこだまする。人生において未だかつて経験したことのない感覚だった。


「本当に…?私なんかでいいの…?」

「俺はーーーーーさんの事が好きなんだ。君じゃなきゃダメなんだよ。」


 俺はここぞとばかりにカッコよさげなセリフを彼女に言う。

 全く様になっていないことくらい自分でも分かっているが、今は仕方がないだろう。


「勇作君……。」

「分かりました。私、------は高野勇作君とお付き合いさせていただきます!」


 やった…! これは告白成功ってやつだよな! これで俺も念願の彼女持ちだ!!

 リア充ルート待ったなしだぜ!!最高の気分だ!!


「……なーんてね。」

「は?」


 え?何を言ってるんだ彼女は?

 そして俺の理解が追いつく前に彼女は話し続ける。


「嘘だよ、勇作君。そんなこと私が本気で言うと思ったの? 」

「貴方とお付き合いするとか何があっても無理だよ。」

「ごめんなさいね。」


 嘘だろ………。そういうフラれ方が一番しんどいんだが…。

 上げて落とすとかマジで鬼畜だわ…。

 俺はその場で膝から崩れ去る。

 あぁ神様、今日は何て不幸な日なんですか…。


 ________


 ピピピピピピ!!!!!!!


 俺は枕元に置いてあった目覚まし時計の爆音によって、意識を強制的に現実に引き戻される。

 俺は目覚まし時計のアラームを止め、まだ半開きの目を両手で擦り、周りを確認する。

 誰もいない6畳の部屋、

 枕元に置いてある灰色の目覚まし時計、

 お母さんから貰った澄んだ青色のカーテン、

 昨日の夜に俺が食べ散らかしたカップ麺の容器が散乱しているキッチン、

 ……どうみても俺の部屋そのものだ。つまりさっきのあの告白は………?。


「夢かよ……。」


 夢の中でも振られる俺、マジで可哀そうだわ。夢ってその本人の理想が実現されるものじゃなかったのかよ。夢だからってあまりにも無茶苦茶じゃないですかね…。しかも誰なんだよアイツは……。まったく、朝から最悪の気分だぜ。クソ…。


 俺の名前は高野勇作。どこにでもいる高校二年生だ。

 そして朝一から最悪の気分になった俺は、無理やりベットから体を起こし

 学校の仕度の準備を始める。そのまま洗面台まで行って、簡単に顔を洗う。

 おかげで少しだけスッキリした俺は、カーテンをどけてベランダの窓を開けた。


「暑すぎだろ…。これでもう9月とかマジか……。」


 今日は9月1日。夏休みが明けて初日の登校日だ。

 今年は8月があまりにも暑く、ほとんど外出せずに冷房の効いた室内に居すぎたせいで、

 俺の暑さ耐性はほぼ0になっていた。

 あまりの暑さに高校までの登校道の途中で溶けてしまう自信しかない。ヤバいだろこれ…。


 俺はすぐにベランダの窓を閉めてテレビをつけた。

 今の時間的にちょうどニュース番組の天気予報の時間であることを俺は知っている。


『-今日は9月初日ですが、8月同様の厳しい暑さに見舞われるでしょう。特に今日の東京の最高気温は34℃まで上がり、熱中症には十分な警戒が必要です。そして全国各地の………---』


 これのせいで俺の気分はさらにダダ下がりした。

 マジか、学校行きたくねえ…。そしてなんだかんだ今日のニュースを見ながら

 なんとなく朝食を食べ、高校の制服を身に着け、髪をいつものようにセットして準備ができた。


 家の鍵を閉めてついに二週間ぶりに外に出た。

 あまりの暑さに失神してしまいそうになるが、我慢して高校への歩みを進める。

 俺は徒歩10分だからまだマシだが、電車通学の奴らはもっと多くの時間を

 かけなければならないのだ。近場に住んでて良かったわ。

 まぁ細かいことを言えば、実際俺の方が高校の近くの家を選んだんですけどね。


 5分ほど歩くと、学校までの一本道の大道路に出る。

 うちの高校の生徒しか通らない通りで、車が通ることもほとんどない。

 そこを2か月ぶりに歩いていると、俺はある奴に話しかけられた。


「よっ!! 高野! 久しぶりだな!!」

「飯田か…。…おはよう。」

「おはよう! なんだか元気ないな、お前。」


 俺に話しかけてきたコイツの名前は飯田怜二。

 サッカー部に所属していて、サッカー部の中でも抜群の体格と運動能力で

 エース的な存在な奴だ。いつでも陽気な感じで俺に話しかけてくる。

 とても熱血で度を越えて頑張りすぎてしまうので空回りしてしまうことが多いが、

 マジで良い奴なので憎めないのだ。


「そりゃそうだろ。こんなに朝から暑かったら元気もなくなるだろ。」

「まあまあ、折角夏休み明け初日だぜ? テンション上げてかないと!」

「無理だって…。ただでさえ気分が乗らないのによ…。」

「なんだよ。なにかあったのか?」


 無論気分が乗らないのは暑さにも原因はあるが、一番の原因はどう考えても朝に見た夢のせいだ。

 あれは今思い出してもかなりしんどい。夏休み明け初日の朝にあんな夢を見させられるなんて

 理解不能だ。


「…何もねえよ。」

「あっそう…。」


 何てことない会話をしながら、俺たちは高校に到着した。

 俺たち通う高校は新淵高校という名前で、東京の真ん中にあるどこにでもある普通の高校だ。

 そして俺たち高校二年生の教室は、最上階の4階にあるので、

 毎朝いちいち階段を駆け上がらないといけない学年ってわけだ。

 そのせいで遅刻者が一番多い学年でもあるのだ。


 俺たちが2年2組の教室に着いたのは、HRの10分前の8時50分。

 夏休み前であればこの時間は人の数はまばらであったはずだが、

 今日はこの時間でもほぼ全員が集合していてとても騒がしかった。

 むしろなんか人の数が多すぎる気がするぞ……。他クラスの奴までいるし……。

 そんな朝から憂鬱な気分で自分の席に静かに座っていた俺に、話しかけてきた女の子がいた。


「おはよう! 久しぶりだね! 勇作君!」

「あぁ…。おはよう、高橋さん。」


 正直俺は驚いた。高橋さんとはあまり話したことのないのに、

 まさか挨拶以外で話しかけられるとは思わなかったからである。

 高橋さんは明るくて誰からも好かれるような女子という印象がある。

 そんでもって滅茶苦茶可愛いのである。もはや反則の域まで達していると俺は思う。


「勇作君に会えて嬉しいよ! 今日も頑張っていこうね!」

「お、おう。」

「私、夏休みの思い出とか、後で色々勇作君とお話ししたいな~。」

「そ、そうか。」

「うん!じゃあそろそろ私、席に戻るね! じゃあまた後でね!!」


 なんだよ、無茶苦茶かわいいじゃねーか!

 緊張しすぎて思うように言葉が出なかったじゃねぇかよ。

 あの子からは一切のキャラを作ってます感を感じないんだよな。

 あんな素直な女の子モテるに決まってるよなぁ…。


 そしてそんな照れくささを誤魔化すために、教室内で嫌でも注目せざるを得ないくらいに、

 一番盛り上がっている黒板前にいる集団を見た。

 10人ほど女子が集まっている様子で、よく見てみるとその真ん中には、

 高身長の男が愛想笑いを振りまいているのが見えた。あぁ……。アイツか…。いつものやつね。


「前田先輩!今日もカッコいいですよぉ~。」

「前田先輩!今日もサッカー部の応援行きますね~!」

「智一先輩! 昨日メールしたんですけど、見てくれましたー?」


 よく見たら後輩の女子しかいないじゃねーかよ……。媚びの売り方が古典的すぎて、もはや笑えてくるレベルだな。俺がそんな事を考えていると、俺の前の席の飯田が後ろを向いて、俺に話しかけてきた。


「高野。見ろよあれ。いつものやつだな。」

「お前もいいのかよ。そろそろ止めてやったらいいんじゃないのか。同じサッカー部だろ、お前ら。」

「いいんだよ! モテるのはいいことだぜ。前田も本気で嫌がってるわけじゃないんだからいいだろ。」

「おい、それは彼女がいない俺に対する当てつけか?」

「んなわけないだろって!、てかそんなに気にするなら高野も彼女作ればいいじゃねえか! 高橋さんとかよさげなんじゃないのか?」

「お前なぁ……。」


 飯田の奴、彼女がいるからって煽ってきやがって…

 今度絶対に後悔させてやるからな。


「まあまあ、そんなに怒るなって。」

「怒ってねーよ。呆れてんだよ。」

「何でだよ!」


ーーーキ~ンコ~ンカ~ンコ~ンーーー


 そんないつも通りの会話をしていると、9時00分のHRのチャイムがなった。

 結局前田を囲んでいた一年生女子集団はきっかり9時のチャイムが鳴るまで

 この教室にいたようだ。アイツら遅刻確定だな。


「おーい!席に就けお前ら~! HR始めるぞ~!」


 声をあげながら2年2組の担任教師である斎藤先生が教室に入ってくる。

 斎藤先生はまだ28歳で教師としてはかなり若いので女子生徒からの人気が高い。

 男子生徒からの相談事を受けることも多く、男女問わず何かと頼られている先生だ。


「はぁ……。2か月振りの憂鬱な高校生活が始まってしまうんだな…。」


 俺は平凡な高校生活を過ごしたいんだけなんだよなぁ…。 こんな変な知り合いが多い

 俺の高校生活だけど、これはこれでもしかすると悪くはないのかも、しれないな。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ