共通テストの日
共通テスト当日は、ほんの少しだけ雪が降っていた。
交通機関に影響が出ないくらいでよかった。
僕はいつも通りあったかい朝ごはんを家族で食べてた。
沙音華から三日前くらいに届いたマフラーを巻いて、試験に必要なものと、お守りと、だいぶ前に沙音華とお揃いで買った、ひざかけがあることを再確認。
僕は家を出た。
バスで家からそこそこ近いとある私立大学に向かう。
そこが僕の指定された会場だ。
現役生は、学校単位で申し込むところも多いので、前後左右が同級生だったりする。僕も去年はそうだった。しかし、今年は違う。全く知らない人ばかりの試験室なはず。
バスに乗り込むとすでに駅前から乗っていたのか、受験生と思われる人がたくさんいた。
参考書を読んでいる人、リラックスに努め目をつむっている人。
それぞれだ。
僕も周りに変に流されないように、目をつぶることにした。
周りに流されない練習は、予備校で少しはできたかな。
そう考えながら眠る。
目が覚めると、バスは大学の中の大きなロータリーに入っていた。
歩いている人がたくさんいる。
選択科目の違いはあるにしろ、全員が同じテストを受けるのだ。
本当にいろいろすごいと思う。
なんて感心してるほど心の余裕はないんだけど。
バスが停車すると、八割くらいの人が一斉に降りる準備をする。
僕もICカードをポケットから出して、立ち上がった。
会場に着いたので、まずは細長い受験票に書かれた試験室を目指す。
僕の指定された部屋は、六十人くらいの、比較的小さな部屋だった。
ニュースとかだと大きい部屋でめっちゃ人がいるのが映っているけど、去年は百人くらいの部屋だったし、今年はもっと小さい。
個人的にはあまり大きい部屋は好きではないので、これはラッキーかな、と考える。
自分の席にたどり着いてとりあえず、傘と荷物を置いて座る。
前の席はおじいちゃんだった。
おじいちゃんになってから共通テストを受ける人もいるもんな。
まあ美少女に気を取られるよりも落ち着く環境と言えるだろう。
まあもっとも美少女がいたとしても気を取られてる場合ではないんだけど。
とにかく、かなり平穏に共通テスト開始までの時間を過ごすことができそうだ。
それから四十分ほどして。
適切に調整されたマイクを通して試験官の合図が聞こえ、僕は地理の問題冊子の、一ページ目をめくった。




