開放的な勉強
「模試の結果が返ってきたんだが……」
ぼくは机の上に成績表を広げる。
「お! どうだった?」
沙音華が、ひょいと僕におっぱいをあてながら成績表を机からとる。
「……B判定だ」
結果を簡潔に言う。
「まあまあじゃん」
確かにまあまあに思えるかもしれないが、英語の記号選択問題で奇跡的に当たったのが多いのと、そもそも浪人生は後から現役生に追いつかれがちと言う噂を聞くので、怖いのだ。
現役の時のD判定よりはマシなのだが。
「ま、復習が大事だからそれをやればあんま気にせずがんばろーって感じで行こ」
「ああ……そうだな」
「そういえばさ。この前用事があったついでに予備校の前通ったよ」
「おお」
「なんか窓の外から中が見えなくて怪しい雰囲気出てた」
「そうか。確かに窓はあるけどブラインドみたいなのかかってて中からも外は見えないな」
「なんか開放的とは正反対だね」
「まあな」
「じゃあさ」
沙音華が僕の成績表を机の上に戻して立ち上がった。
「どうした」
「家では開放的に勉強しようよ」
「沙音華みたいに水着になれって言うことか」
「それいいね! じゃあまず泰成も水着になって……私の柔らかい太ももあんどお膝の上で勉強して気持ちも一緒に開放!」
「ごめんそれはやめとく」
太ももの柔らかさはぜひ満喫したいけど勉強に集中できる気がしないから。
「じゃあ……図書館は? あそこは広々してて開放的じゃん」
「急にまともな案になった……」
「私も大学のレポートあるからさ、一緒に図書館行こうよ」
「おお、いいな」
僕は立ち上がって部屋を出る。沙音華も続く。
玄関まで来て僕は気づいた。沙音華水着のまんまだ。
「このまま行こう」
「ダメだなんか着て」
「水着の上に服着るのあんまり好きじゃない」
「だったら洗面所で下着から着替えてくればいいじゃん。僕待ってるから」
「のぞくつもり?」
「のぞかないから。僕はここでおとなしく英語のリスニングの音源でも聞いて待ってるから」
「そうやって勉強の意識高い風に見せといて、本当はのぞきたいくせに〜」
沙音華はそういいながら僕の部屋に戻って服と下着を取ってきて洗面所に入っていった。