表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/82

体育祭に来た

「うわー、たいせ、高校がちっちゃく見えるね」


「見えないよ、ていうか沙音華背伸びてないだろ、それは小学校に久々に来た時のセリフな」


「でも体重は増えた……」


「あ、私も太っちゃったよー」


 沙音華の横にいた茉里が言った。


「えー、そうなの? じゃあお互いに最近の増加について報告ね、たいせは追放」


「はいはい追放されますよ」


 僕は沙音華と茉里の少し後ろを歩いた。




 結局体育祭に来てしまった。


 渚ヶ丘学園、それが僕が通ってた高校の名前。


 中高一貫だが高校からも入ってくる人がいる。


 僕も沙音華も高校から入った。


 で、それで6学年生徒がいるのでとにかく種目が多いので忙しい。だから複数箇所で競技が行われる。


「たいせ最初体育館とグラウンドどっち行く?」


 体重についてのお話を終えた沙音華が聞いてきた。


 僕はプログラムを見る。


 グラウンドでは男子サッカー、体育館では女子バレーをやっている。


 沙音華と茉里はサッカーはあんまり好きではないと思う。


 僕はサッカーはまあ好きだけど、バレーボールも好きなので。


「じゃあ体育館で」


「体育館ね。茉里は?」


「私も体育館の方がいいかなー」


「わかった、じゃあ体育館に行こう」


 沙音華と茉里と僕は体育館に向かった。




 体育館はなんでこんな人が多いってくらい人がいた。


 注目はもちろん女子バレー。


 すごい人だなと思いながら沙音華と茉里の後を追っていると、雑に背中をたたかれた。


「よお、浪人生のくせにのんきに女子バレーをご覧になってる人発見。さては太ももフェチだな?」


 僕は振り返る。高校の時は毎日聞いてたけど最近は聞いてなかった声。


「あ、なんだよ、ていうか基哉もとやだって浪人してんだろ」


「まあな」


 基哉は体育館の中央を見て伸びをした。


「あー、可愛い後輩がたくさん」


「ちゃんとスポーツ観戦しろよ。ほら今のレシーブナイスだったじゃんかよ」


「うん、あの子の太ももいい感じだな」


「……」


 ダメだな。僕こいつと志望校一緒なんだよな。頑張ってめでたく二人で受かったとしてもこんなノリが続くのだろうか。


 僕は沙音華と茉里を探す。いつの間にか少し離れたところに行っていて、周りには見覚えのある女子たちがいた。


 あー、これが女子大生たちですね。


 僕はあそこに行く資格は残念ながら持っていないので、ここで浪人生と寂しくいることにする。


「基哉は勉強してるのか?」


「してるに決まってるだろ。してなかったらやばいわ。ていうか泰成だってめっちゃやってるだろ。お前模試の成績優秀者に名前載ってたじゃん」


「え?」


「あ、お前見てないのかよ。夏の志望校別模試の結果分析と講評だよ。郵送されてきただろ」


「あー、僕その模試を主催してる予備校に通ってて、だから手渡しなんだよね。だからそのままカバンに眠って……それからどこに行ったっけな」


「うわーまじかよ。いいな〜余裕な雰囲気で。俺なんかB判だったから、A判のやつらこんなにいるのか〜って虚しく眺めてたぜ。しかもムカつくのが現役のくせにA判なやつな。どんだけ勉強してんだよ」


 基哉はバレーボールの軌跡を追いながら言った。いや、どっちかっていうと太ももを見ている可能性が高い。


 僕は「それな」と返して体育館の天井を見上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ