プール
「ぷーる、ぷるぷるすいー」
沙音華が謎の言葉とともに前を泳いでいる。周りには人はいない。
「あー、あれだわ、東京のプールはこんな空いてないだろうなあ。この辺の予備校の自習室もきっと東京と違って空いてるんだろうなあ」
「なんでこの状況で予備校のこと考えてるの」
「いや、自習室ほんとに人がいっぱいいるんだよ」
「ふーん。じゃあ、私がくっつくと自習室からプールに意識がうつるかも? どうたいせ?」
沙音華が後ろから抱きつく。これはいつも勉強している時もやられているけど、いつも間に挟んでいる僕の洋服が今回はないのでこれは大変だ。やっぱりプールだわ。
流れるプールなので、ただ沙音華に抱きつかれているだけで、そのままの姿勢で水の中を進む。
おっぱいが柔らかすぎて、全神経がおっぱいの感触を味わいたいって争ってる気がする。水の冷たさを感じないもんな。
「あー、きもちいね」
「うん」
水の気持ち良さ感じられなくなってるけど気持ちいいよ。
「それにしても、沙音華水着持ってきてたってことはここに来る気満々だったんだな」
僕は持ってきてなかったからレンタルした。
「私はどこに行くにも持って行くよ。だって一番好きな格好だし」
「そうか……まあ僕の部屋でも水着なんだからそうだよな」
普通に考えれば服を着ている方が落ち着くと思うけど。あんまり気持ちがわからないな。まあ最近暑いから今の時期なら水着で部屋にいるのもいいかもしれない。
沙音華はやっと僕から離れて、そして僕の前に来た。
「はー、しがみついたまま流れてても全然疲れない」
「僕も疲れてないよ」
浮力があるので沙音華にがっつりしがみつかれててもほぼ重さなし。
流れるプールは泳がなくてもいいので、体力の消耗がなさすぎて、結局かなり長い間プールで遊んでしまった。
プールから出た僕と沙音華は休憩とお昼ご飯を食べて、それからもディスクゴルフやらボブスレーやらでたくさん遊んで、もう夕方になっていた。
駅に向かうバスを待つバス停に着くと、あー、勉強しなきゃなあって思う。
「あー、明後日の準備しなきゃ」
ベンチで隣にすわっている沙音華がスマホをいじりながら言った。
「明後日なんかあるの?」
「明後日からサークルの合宿〜!」
「ムカつくなあ」
僕は明後日から夏期講習の第三期間なんだが?
JKよりも早くついて真ん中の席を取らないとな。
スマホで明後日からの行程表をチェックしている沙音華をかなり本気でうらやましいと思いながら、僕は夏期講習第三期間の予習を始めた。




