気分転換の方法
「おいしい」
「それな」
あれ、これはもしかしてデートのような雰囲気な可能性? というかね、沙音華以外の女子二人とご飯食べに行ったの記憶の限りでは初めてなんだよな。
予備校の近くの、一階がパン屋で二階が小さなレストランになっているお店。
そこの二階で僕と奈乃さんはお昼ご飯を食べていた。
机が広いので、勉強しながらでも食べられる。
「たいせいくんは、午後はなんの講座とってるの?」
「あ、午後? 午後はね、英語長文発展」
「あ、たぶん一緒だー」
「お、まじか」
午後も奈乃さんと一緒に授業を受けられるのかいいね。
朝九時から四時半までずっと奈乃さんと過ごすことになる。
あれだな、奈乃さんのこと可愛いなとかいって意識したりすると、今週の実質勉強時間が予定の半分くらいになるな。
でも可愛いのはほんとだしなあ。
「どうしたたいせいくん? 難しい問題考えてる?」
「あ、いや、まあそんな感じで、難しい問題考えてるよ」
僕はテキストに視線を戻して、クロワッサンを口に入れた。
実際むずくて、複雑なpH計算をしなければならない奇問だった。
僕はそれを頑張って解き終えて、最後のクロワッサンを食べてから言った。
「奈乃さんって、高校の時、部活とかしてた?」
「してたよ。手芸部だった」
「手芸部かー。確かに裁縫とかうまそう」
「そんなにうまくないよ。だけど今もたまに気分転換にちょっとしたもの縫ったりしてる」
「すごいいいな」
ほんの少しのすきま時間でも気分転換できる趣味があるというのは、浪人生活を乗り越えるうえで強いと思う。
僕もなんか少ないすきま時間にできる気分転換を探そうかな。
「たいせいくんは、気分転換とかしてる? 散歩以外に、お家での勉強とかで」
「え? ああ……気分転換になることはあるけど……」
何かと言えば幼馴染に抱きつかれることな。
いやこれは恥ずかしくて言えない。
「そうなんだ、どんなことしてるの?」
「あ、まあ普通にえーと、ゆっくりして……」
「あの、もしかして……えっちなこと……?」
奈乃さんが少し身を乗り出してささやいた。
「違うよ、そうでは……」
いや、背中に当たるおっぱいはえっちだな。なんか奈乃さんの予想が正しい気もしてきたぞ。
「ちがうんだ。まあいいや」
奈乃さんは元の姿勢に戻って笑った。
追及をやめてくれたのかな。よかった安心なのかな……?
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