女の子と散歩の約束
次の日僕は沙音華のおすすめ散歩コースを歩いてみた。
歩いてみてわかったんだけど坂ばっかりだった。
登り坂は疲れるし、下り坂は運動不足のため足がつりそう。
「たいせいくん。なんか疲れてるっぽい?」
午後の授業の準備を終えて、授業中寝落ち防止のために机で寝ていると、隣の人が戻ってきて話しかけてきた。
予備校は基本指定席、毎週ランダムで席替えだ。
まるで小学生のお友達作ろう会じゃないんだからって感じなんだけど、成績順みたいにされるよりはずっといいし、こうやって一週間可愛い女の子の隣で授業を受けることができることもある。
そう、今週の隣の人はとても可愛いのだ。沙音華と比べるとかなり幼い雰囲気で、一浪して入っても現役だと思われるどころか飛び級かなんかですか?って聞かれそうな感じ。
だからか知らないが、角のぼっち席の榎咲がやたらこっちをみてくる。
それは知らんけど、可愛い女の子の話しかけには答えないと。予備校で、女子とプリント足りないとか以外の話をするの初めて!
「ああ、ちょっと散歩を頑張りすぎて」
「昼休み散歩行ってるのたいせいくん?」
「そう。運動不足解消に」
「へえー! 明日も行くの?」
「まあ勉強といい運動といい、毎日やらないと抜け落ちるからな。多分やるよ」
「じゃあ明日私も散歩参加してもいい?」
「え? 一緒?」
「うん。太ると良くないから散歩したい」
「お、そっか。じゃあ行くか」
僕はうれしくなって返事しつつ気づいた。可愛い女の子だなあと隣になる前から認知はしていたが、名前は知らない。
予備校とは基本的に勉強しかしないので本当に話すようになった人以外は名前を知る機会がないのだ。
僕は今のところ榎咲と、数人くらいしか知らない。
とここで謎があることに気づきました僕は!
なんでこの女の子は僕のことをたいせいくんと呼んでいるんだ?
「あのー、僕の名前、知ってるの?」
「うん知ってるの」
「なんで?」
「先生が当てた時に名前言った」
「ああそうだったな」
今日僕は当てられた。苗字が被ってた人がいたらしく下の名前で当てられた。
だから「たいせい」だと知ってたんだな。
「あ、あのね私は、奈乃って言うのよろしく」
「よろしく……それは下の名前……?」
「そう。苗字はたいせいくんと一緒だよ」
僕の筆箱に書いてある苗字のところに奈乃さんは小さな指を置いた。
「あ、そうなの?」
苗字が被ってたのは隣の奈乃さんだったのか。
納得していたところでチャイムが鳴って先生が入ってきた。
板書のめちゃめちゃ速い先生だ。
奈乃さんとお話しできてうれしいなとか思ってると、板書写し損ねるので頑張んないと。




