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買い物おしまい

「ふー。色々買えてすごいよかったし、久々にたいせと楽しい感じでよかった!」


「僕もめっちゃ気分転換できたな。ありがとう」


「うん、でもたいせ真面目くんアピールまたして参考書かうし!」


「だって欲しかったしな」


 僕は袋の中の参考書たちを確認する。


 予備校のテキストは良問が揃っていてとてもいいが、解答が付いてなかったりして綺麗にまとまっているとは言い難い。だから、今後何周も回すパートナーは、市販の参考書の方が良かったりする……気がした。


「表紙がいかにも勉強っぽいー!」


「そりゃあそう見せたくてそうしてるんでしょ」


「私なんて、プリンキュートと学ぶ化学基礎・化学で受かったよ」


「あれ意外と詳しいらしいな」


「うん」


「でも僕はこれだな」


「無機化学の知識ちゃんと覚えてる?」


「覚えたつもりではある。だからこれ回していきたいな。問題も結構入ってるし」


「そうかー」


 そう話している間に駅に着いた。


 ホームで電車を待って並んでいる間、英語の構文確認をするのが日課な僕だが、今日は沙音華がいる。それがなんとなく嬉しく思えた。


 しかし、週五で聞いている声がした。


「おい、なんで遊んでいる? 返ってきたマーク模試の解き直しはしたのか?」


「山上先生……」


 予備校の僕たちのクラスの担任の先生だ。まあ学習アドバイザーみたいな感じで、僕の模試の成績のみならず、普段の小テストや演習の成績も全て把握している。


 てことはマジかよ。解く教科間違えてE判だったの把握されてるうえでのこの状況かよ。


「……やらかしたくせにそんな呑気にしてると本番もやらかすから気をつけろよ。ちゃんと今から帰って解き直しな。じゃ、明日ちゃんと遅刻しないで演習受けるんだぞ」


「はい……」


 反省のポーズと参考書の袋を目立つ位置に持ち直すことを同時にやり、僕は先生が去るまでじっとしていた。

 

 ホームの端の方に山上先生が行ったのを確認してから、沙音華を見たら、なぜか爆笑していた。


「なんかおもしろい」


 そうか。なんかおもしろいのか。


 僕にはよくわからないけど、まあとにかく帰ったら真面目に勉強するかちゃんと。参考書も買ったし。


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