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二人でお昼

「そこからどうやって思考変化して、これを買うことになったんだろうな」


 人がまばらの下りのエスカレーター。


 一つ上の段にいる沙音華がにこにこしている。


「確かに今は季節外れかも。だけどきっと膝にかけたら私の太ももの温もりが、お尻に敷いたらお尻の温もりが伝わるよたぶん」


「そうかよ。温もりワープすんのか」


「するよー。ぬっくぬっくワープするよ」


 沙音華と僕はお揃いのひざ掛けを買った。


 何がどうなって六月にひざ掛けを買うことになったのかよくわからないけど、まあ沙音華の温かみが感じられるらしいのでいいということにしよう。


 デザインも割とシンプルめ。というかシンプルでないと試験監督からの使用許可が出なくて強制預かりになってしまうのだ。


 模試とかだと割と適当だけど、本番の試験だと英語の文字とか書いてあったらダメとかあるからなあ。


 まあそれはともかくとして、沙音華と僕はお昼ご飯を食べることにした。


 えーと、どこにしよう……と僕が考え始めた時には、沙音華はこっちこっちとどんどん僕を先導し始めていた。


 着いたのはめっちゃおしゃれなカフェ的な……?


「ここの五種類のカラフルサンドウィッチおいしいよ。スパゲッティも美味しいよ」


「おお、いいな」


 おしゃれな店。めっちゃ浪人生というか僕が来なさそうなところ。


 そもそも前から、僕は基本的におしゃれな店に行かない。今ももちろん、さっと済ませられるところか、勉強のしやすいところだし。


 ていうかここ机狭すぎ。椅子もデザインだけなんかすごくて座り心地悪い。


 こりゃダメだな。予備校生は一日において座っている時間が長いので机の広さや椅子の座り心地にうるさい。


 けどちゃんと座って二人用の席に沙音華と向かい合う。


 普段沙音華といるときは、こんな風にちゃんと向かい合うってことがあんまりないから、なんか予備校の担任の先生との二者面談の可愛いバージョンみたいで、沈黙してしまった。


「ふふふふふ」


 沙音華が笑い始めた。どうしたんだ……。


「たいせ、ここの雰囲気とかけ離れすぎてウケる。私とデートってことにしたらなんとか納得できるくらいだわ」


「まじかよ……」


 じゃあ沙音華とデートでもいいかなって思いかけたけど、沙音華は幼馴染だし。


 あとこの前化学の先生が浪人中に恋愛とかし始める奴は落ちるぞとか言ってたしな。


 仕方ないのでできる限りおしゃれに振舞うことにしよう。

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