予備校の昼休み
予備校での昼休み。
僕は雑に自作した弁当と、コンビニで買ったおにぎりを机の上に広げて英語の長文を読んでいた。
「うわ、まじめだなあ」
前の席の榎咲という人が話しかけて来た。ちなみにこれは苗字で、僕は榎の花は見たことがない。
「いや、予習の英語長文要約が適当になったから、もう一回やっとこうと思って」
「あ〜、確かにむずかったよな。わかるわ。八十字以内とか無理ゲーだろあれ」
「わかる」
「……ところでさ、いつもはどこで勉強してんの? 予備校終わったら」
「家だけど」
で、そこで沙音華に水着姿で応援されてるんだけどね。
「……ああ」
「それがどうかした?」
まさか、僕が水着姿の幼馴染といることに感づいたとか? 勘良すぎだろ、そんな勘良かったら記号問題全部解けて受かってるだろうな。だからそれはないか。
「いや、たまには、一緒に飯食いに行ってから自習で勉強しようぜって思ったんだが」
「おお、全然おっけだな、それは。僕も賛成」
じゃあまず、沙音華に、今日は遅くまで予備校に残るって連絡しといて……。
僕は英語の長文の紙の上にスマホを置き、操作した。
「親に連絡してる感じか」
「あ、いや、あたりかな」
僕はスマホの電源を切る。
確かに、なんで沙音華に遅くなることを連絡しなきゃいけない構図なんだっけ。
沙音華が遊びに来ることが多すぎるからだな。
まあ……とにかく、今日は榎咲と、ご飯に行ってから自習室だ。
志望校が同じなので二人とも合格すれば将来の同級生だ。
そうなればいいな。
そう考えつつ、榎咲と話したり少し勉強したりしながら、昼休みを過ごした。