第一話 主人公、スキルを授かる
「よくぞ参られました」
女王様の声が響く。
その部屋のなかには、何人かの子供がいた。
15才になる僕たちは、スキルを貰うための儀式を受けている。普通は一人一つだが、たまにいくつかもらう人がいるらしい。
「今からスキルを授けます」
スキルとは、自分の能力のことである。
早速、頭に声が響いてきた。
これで、僕も夢にまで見た冒険者になれるのだ!
──刀術:
ん?どう言うことだろう。普通なら、
○○:Eという風になるはずなのに、ノイズが走った。
──神の瞳
……は?なにそれ
どう言うことだろう
えーと、どんなスキルなんですか?
──習得技能:魔力の瞳:S、死神の瞳:S、魅了の瞳:SSS、探知の瞳:S
魅了の瞳は、嫌な予感しかしない。
──目を会わせただけで相手を魅了する。(女性専用スキル)
いやいやいやいや!ちょっと待ってよ!
女の子みたいだけど、僕は「男」だよ!?
少女のような少年ルナは、
心の中で絶叫した。
「じゃあ解散」
「「ははー」」
え、ちょっと待って。
僕は男だよ!?
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「なんでこうなったんだろう」
ルナは、水色のショートカットで声も高く、
おまけに体格も華奢で、何処からどうみても女の子である。
「でも女性専用スキルはないでしょ……ん?」
ふと、腰に違和感があるのに気がついた。
見ると、なにかがポケットに入っていた。
「メガネ?」
いつの間にか眼鏡が入っていた。
「なんだこれ」
紙が入っていた。なになに?
『この眼鏡は、魅了の効果を10%に抑えれるからつけといたらいいよ(*^^*)by神』
「もうなんでも良いよ。うん」
くそう、神さまめ、絶対に信仰しないからな。そんなことを考えながら、とりあえず眼鏡をかけた。
今日から街で生活が始まるのだ。
来週から学園にいくことになっている。
絡まれると面倒だ。そして、学園では、目立たないようにしよう。
家に帰ると、僕は支度をした。
腰には刀をくくりつけた。
父は鍛冶屋をやっており、作ってくれた。
母はアイテム屋を営んでいる。
ちなみに今からいくレーダの街までは、
馬車でいくことになっている。
「服よしっ!鞄よしっ!その他もろもろよしっ!」
「お母さん。いってきます!」
道中は何事もなかった。途中までは。
それは街まであと少しとなったときの事だった。
緑のものがこちらに来るのがわかった。
「あれってなんですか?」
「ゴブリンじゃないか!あんた戦えるんだろ?倒してくれよ!」
そんなことを言われたって僕に戦闘経験は0なのだけど、スキルのお陰か不思議と怖くなかった。
馬車から降りて歩み寄ると、
僕に気づいたらしく、飛びかかってきた。
「はぁ!」
僕は、刀を一閃した。振り方は、無意識にわかった。これもスキルのお陰だろう。
「グエッ!」
避けられなかったゴブリンは、変な声をあげ、紫色の血を流し、首から上を無くして、倒れた。
僕は、馬車に乗り込んだ。すると、
「あんたすげぇなぁ!」
と、言われた。ちょっと嬉しかった。
レーダの街につくと、馬車の人とは別れたが、重大なことに気がついた。
「地図が……ない」
最悪だ。これではギルドにいけないではないか。入学まではギルドに行くつもりだったのに。まあとりあえず、魅了の瞳の性能確認もかねて、そこにいた優しそうな男性に聞くことにした。もちろん眼鏡をかけて。
「すいませーん。ギルドまでの場所ってわかりますか?」
「ひゃい!え、えっとここをまっすぐいって、つ、つ、つつきあたりをみみみぎでしゅ!」
凄い心臓バックバクいってるのが聞こえた。
大丈夫か?このスキル……。
まあ、とりあえずこの道をまっすぐいって突き当たりを右と言うことはわかった。
歩いていて気づいたことがあった。
街行く人が皆こっちを見るのだ。
壁にぶつかっている人もいた。大丈夫なの?