第七十六話 最終回・表
………………起きろ。
「起きろっ!」
頬を誰かに叩かれた。目を開けると目の前には明人がいた。
「明人……? 弘成達はどうなった?」
「健人と俺以外どこ行ったか分からねえ! あの攻撃でお前一瞬だけ記憶飛んでたんだよ」
「……ッ、急がないと……」
直前に軽屋に撃たれた腹部を抑えると痛みが無い。
「俺が、直したから」
明人は親指を立てて少し自慢げにニヤける。
近くには誰も居ない。愛莉も、俊樹も、真凛も。周りの壁は先程の攻撃がどれだけ強力であったか分かるように所々が崩れていた。
「いつ崩れるか分からないなここも……」
* * *
「これで、終わりだな……」
「うぐゥ……」
真凛は首を掴まれ巨大な身体のハザマに持ち上げている。足は地面から離れバタバタと藻掻いている。
「はは、滑稽だ。弘成の決死の一撃を耐え、最大の力を失ったお前らに勝機はない」
「か……! く……」
真凛が血を吐き出す。そして直ぐに生き物に変わる。
「また、それか」
その攻撃すら鈍くなり、ハザマに届く前にハザマが場所を変えた。
「苦しいか?」
「あ……あっ……」
真凛の口から泡のような物まで見え始める。顔も少しずつ紅潮し目も白目を剥きかけている。なのに、私は動けない。肉体が動かないわけじゃない。ただ、恐れているのだ。戦う恐怖、今度こそ死んでしまう絶望に。
「……!」
「まだ死なせねえさ……」
ハザマが首を掴んでいた真凛を、何処からか現れた俊樹が担いでいた。
「……お前はトラバネと共に行動していた奴だろう? 何故そっち側に付いているのかが分からん。無駄だろう」
「友達とか、仲間を裏切る事の方が無駄だって気付いたからだ。舐めんなよ」
「……それもそうか。あの失敗作とは組む価値すら無かったからな」
「……やっぱりな」
真凛を抱き抱えながら俊樹はブツブツと呟いた。
「お前は間烈王でも間希那でもねえ、ただのゴミだよお前」
「……うるせえ」
地面が震えている。
「オレは今退屈なんだ。お前ら怪物は誰一人として覚醒しない。そんなんじゃ駄目だ。だからこそ良い事を今思い付いた。弘成を覚醒させる為に、お前らは要因とする」
「何を……」
恐怖が、始まった。
「フッ!」
「ヴッ」
高速で私は蹴られ、思わず声を上げる。苦しむ余裕はなく直ぐに二発目もくらう。
「まだまだァ!」
すかさずカバーに入る俊樹だが、結局遅くされては攻撃は全く通らないはず……。
そう思ったが、俊樹の幽霊は確実に一撃を与えていた。
「まさか……お前も成長しているな!?」
ハザマは嬉しそうに破顔し、俊樹の顔面にも膝蹴りをくらわせる。ハザマが二撃目を与えようとするが俊樹が瞬間移動し避けた。
きっと、怪物の皆は成長していく。私みたいな普通の能力者じゃハザマには勝てない、奴の反応で私はそう悟った。
「……だからって諦めてたら、私がここにいる意味がない……!」
周囲に太い蔦を撒き散らす。ハザマに攻撃出来なくとも、視野を狭めて俊樹達の援護をする。それ以外に使い道はない。
「弘成……」
弘成を探さないと。
現在生存者
俊樹、真凛、愛莉、明人、健人、雅姫
生死不明
弘成、陽向、知音、利名子
暁、命衣




