表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/95

第五十八話 破滅

「ガキ共を殺せえぇ!!」


「背の小さいガキから狙え!」



 大量の大人が襲い掛かってくる。能力は前に健人や知音と合流したときの奴らと同じか?



「それって……」


「俺ら兄妹の事馬鹿にしてんだろうが!!」


「「許さない!」」



 聞いたこともないような、衝撃音が響いた。二人の能力の合わせ技は完璧なコンビネーションで次々と敵を殴り飛ばしていく。



「二人に続いて戦うぞ――」



 遠くから小さな物体が此方に向かってくるのが見え、即座に刀で切りかかる。これは、銃弾だ。



「……何処からだ」


「あっちだ弘成! 行くよ!」


「分かりました希那さん!」



 俺達は撃ってきた方向に向かって行く。


 バン!


 銃声が何発も聞こえるが刀で凌いでいく。



硝子(グラス)()世界(ワールド)!」



 二人で硝子だけの世界に入り、すぐさま刀を作り直した。



「くらえっ!」



 作った刀を思い切りガラスに向かって投げる。前の自分なら、投げてもすぐに刀は消えていたが、今の俺なら少しだけ持続する。



「割れた!」



 投げた刀はぶつかり、ガラスは割れていく。そして、もう一度刀を作る。



「おらっ」



 残った硝子に切りかかり、力づくで壊した。

 そして、世界は戻った。



「何人切れた?」


「六人。それでもまだまだ……」



「副作用とか! 気にしなくていいのか?」



 敵を吹き飛ばしながら明人が俺に近付いてきた。



「副作用なら心配ない! 健人がいるから!」


「……! なら安心だな!」



 安心した表情で明人は離れ、敵をまた次々と倒していく。



「弘成君! 私も戦ってみせるわ!」


「雅姫さん!?」



 雅姫さん達の方を向くと、鞄の中にずっと眠っているあの()()()()()を掴んで出した。


 ……が、何一つ変化しない。心臓も消えないし雅姫さんの様子も変わらない。



「な、なんで!?」


「あのバカ女を殺せええ!」


「目立ってる目立ってる! キャアアアアア!」


「俺がいるからそんな叫ばないで!!」



 賑やかであの空間だけ楽しそうに見えた。



「死ねえぇぇ!」


「当たるか!」



 すべての攻撃を壁で守り切った。そして、()()()()()()



「うわぁぁ」



 弾き飛ばされた大人達の情けない声が俺にも聞こえてきた。



「……()()()、これは使わないでおこう。お互い気まずいだろうし、無理はさせたくないからさ」


「うう……ごめんね健人」



「……弘成! 明人! こっちは大丈夫だから残りを!」


「「分かった!」」



 俺と明人の声が見事にハモる。こんな日が来たのは久しぶりだ。何故だろう、人を殺しているのに、楽しい。



「――あれ、スマホに通知が……」


「! 弘成! ()()からだ!」



 知音から連絡……? 嫌な予感が頭によぎりはじめる。



「読み上げるぞ! 『皆ごめん。学校に怪物一体、俊樹にトラバネが襲ってきた。それに他の能力を持った奴もいる。()()も敵だ。助けに来てほしい』」



 情報量が多いが、何よりもこの敵の数を知音一人で凌ぐどころか全滅まであり得る。それでも。



「学校まで向かうぞ! それいつのだ!」


「……五分前。急がないと!」


「でも敵の数が……それに、クラスメイトとはいえ、あんな言われようでも助けに行こうって思えるの?」


「当然じゃないですか! 希那さんと一緒! 仲間なんですから!」


「陽向の言うとおりです! 唯智(いち)君もいます! この七人なら絶対に倒せます!」



「……拙者は行かない」


「え?」



 思わず、疑問の声が漏れた。美奈香さんは俺達に目を合わそうとせずにそう呟いた。



「トラバネや飛龍には効かないだろうね、この能力は。それに……」


「これ以上、皆に人を殺してもらいたくないよね」



 ハッと気付かされた。人を殺していた事に何も疑問を抱かなかったなんて。ここに居る全員その事に気付かされたようで、思わず黙り込む。



「ここは任せて。この敵全員夢に堕とす。追いつけそうなら、追いかけるよ。だから、皆行って」


「……分かったミナカ。雅姫さん、車探しますから、運転お願いします!」


「トラックでも何とか運転するから、任せて!」


「美奈火さん、ありがとうございます」



「……弘成君。貴方が希那や皆を守ってね。君なら絶対に出来るから」


「……ありがとうございます」



 美奈香さんに向かってお辞儀をして、俺達は建物を走り抜けた。



「逃がすなあ!」


「眠れ!」


「ぐうぉ……」


「おらっ!」


「お前らの攻撃は防げるぞ」



 健人と美奈香さんのお陰で簡単に逃げる事ができた。



「車探せ探せ!」


「皆乗れる普通車かでっかい車!」



「あったよ!」


「これだ!」



 見つけたのは六人乗りなんて余裕で出来る巨大な車だ。



「都会便利だな!」


「行くわよー!」



 急いで俺達は乗り込んだ。そして、勢い良く車は発進した。



「は、速い! 100キロ超えちゃいますよ!?」


「運転技術は一流よ! 任せんしゃい!」


「キャラも変わってるし!」


「いざという時は俺がいるから問題ない!」


「問題ある!」



 最早アトラクション並の速さで走っている。希那さんは怖いのか、少し声が震えていた。それに対して陽向はいつも通り冷静なままだった。怖い。


「作戦ターイム!」



 明人の大きな声で作戦会議が始まった。



「健人! なんか言いたそうにしてたよな! 言ってくれ!」


「それなんだが、さっき使わなかった怪物の心臓を利用する。もしかしたら、俊樹を助けられるかもしれない。そうすれば、烈王さんの居場所も分かるかもしれない」


「その作戦の内容詳しく!」


「それは――――」



















 * * *


「……で、どうだ?」


「……なるほど」


「いけそう」



 健人の作戦を基に考えた結果、かなり完成度の高い作戦が出来た。これなら、上手く行くかもしれない。



「あと数分で着くわッ!」


「わかりました!」



 これなら初めて助けられるかもしれない。()()()になれるかもしれない。

 そう……()()()()に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ