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第五十七話 人でいる事

「よしっ! ナイス弘成! これなら健人も死なないぞ」



 明人は俺の切った部分を修復させ、血が溢れていた健人の体は直ぐに止まり、傷跡すら無くなった。



「……これなら、もう拙者は退散したほうが良さそうだ」


「……待ってよ」


「……これ以上何かあるのかね」


「そうじゃないでしょ、()()ちゃん」


「……どうしてその名を?」



 忍者は希那さんの言葉に動揺している。二人は以前からの知り合いなのか?



「私と高校で一緒で、しかも同じクラスの夢川(ゆめかわ)美奈香(ミナカ)だよね?」


「別人ね、()は高校なんて行ってない」


「嘘つき。いつもは眼鏡掛けてて絵が上手なミナカ……だよ。ミナちゃん――」


「気安く話しかけるな! 私は絵だって上手くないし、なんの取り柄も無いの! そんな奴と私を同じにしないで! それに、私達普段から話した事なんてないでしょ? なんで――」



「クラスメイトだから、知ってるのは当然だよ。ミナカが優しくて、賢くて、何でもできるって知ってる」


「私……は」



 長い、長い沈黙が続いた。そこで明人が話し始める。



「……喧嘩もいいけど、俺が健人回復させた所で戻す気ないならまた暴走しますよ。下らない喧嘩を――」



「私に任せなさい!」



 雅姫さんが珍しく大きな声を上げた。



「二人の喧嘩も、健人の事も全部私が解決する! ここに大人は私しか居ないのだから!」



「……大体なんで! あんな怪物達に歯向かうの!? 殺されないように能力使って逃げるか、協力すれば良いのに!」


「私はお兄ちゃんとまた会うため。そして今はそのお兄ちゃんを助ける為に戦うのが目的。ここにいる皆だって誰かの為に戦ってんの! ……大人に、なりなよ」


「……その為なら、夢を見てはいけないの?」


「何を」



「別に大人になる必要なんてない!」



 雅姫がまた珍しく怒っている。そして、沈黙が続く。



「……ミナちゃん? 貴方は自分の為に戦えばいいのよ! 誰かの為とか言っちゃうけど、結局自分がそうしたいって思うことなんだから! だから、自分の夢を追えばいいの!」



「夢を見てもいいの……? 自分の夢を追いかけても……?」


「そう! 夢を見ているなんて分かるのは自分しかいない、しかもその夢の内容すら忘れてしまうかもしれない。だからこそ! 忘れない為に夢を追うの」










 そんな綺麗事ばかり並べられて、俺は如何すればいいんだよ。



「……俺はまだ生きたい」



 段々と意識が朦朧としてくる中、俺はそう思った。









 * * *


「……まずい、このままだとまた健人が暴走する」


「……健人」



 俺はただ眺める事しかできなかった。健人の目を覚ますことが出来る人はもう居ないのかもしれない。ただ、それでも……。



「……」



 雅姫さんは健人から離れようとせず、常に健人を抱き締めている。



「――いい加減、目を覚ませ!」



 しびれを切らし、明人が能力を使って、健人を殴られ、雅姫さんと共に倒れた。


「えっ?」



 希那さんが驚いたが、誰もが近づく前に明人は叫んだ。



「お前が始めた事だろうが! お前が居なかったらここに俺達はいない、知音や陽向がここまで頼もしくなる事は無かった! 皆、お前に着いてきたようなもんなんだよ! だから、お前は()()()()()()()()()()()……」



 明人の声も虚しく思えるほど、健人は微動だにしない。



「ねえ……」



 雅姫さんは顔を健人の体に伏せながら、話し始める。



「この先私に明るい未来は来ないと思ってるの。結構私の勘って当たるんだよ? でもさ、幸せでいたいし、いてほしいじゃんか。だから、もう一度私達を()()()()。このままじゃ、私起きれないよ。ずっとじゃなくていいから、私を支えて、起こしてよ。

 ――さっきから、聞いてるよね。健人」



 健人の指先が、微かに動いている。まさか……。



「居たぞ!」



 突然、遠くから聞こえてきた声の方向を向くと、以前見た事のある服装の奴等がいた。



「……こんな時に」


「あの能力者達を殺して捕まえるぞ! 行けええ!!」


「皆戦いましょう! 私ならこいつらとの戦い方わかりますんで!」



 一斉に俺達は構えた。健人を俺達で守り抜く。



「……しょうがないな、()()も戦う」



 ミナカさんも武器を取り、構えた。誰かのおかげで協力してくれるみたいだ。



「……来い!」



「うおおお!!」


「グッおおお!?」



 十人以上の敵が吹き飛んだ。この能力は一体――。



「……あ」



 後ろを振り返ると、さっきまで彼と倒れていた雅姫さんが支えられながら立ち上がっていた。支えているのは、健人だった。



「あそこまで言われたら、流石に生きるしかないよな」


「健人っ!」



 誰よりも先に喜んだのは陽向だった。



「俺は自分の為に生きるんだ。ここで全員躓いたが、立ち上がる事が出来たんだ。ここから先は、自分で歩いて生きていく、それ以外有り得ないよなぁ!」


「もちろんだ、戦うぞ!」



 健人の復活に全員が喜び、叫んだ。鞄の中で鳴り叫んでいたスマホにも気付かず、俺達は健人を含めて目の前の敵と戦う。この道を選んだのは、俺達だから。

ようやく健人復活!

七人の未来は明るいのかは誰も知らない。それでも、生きている。

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