表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリティカル・リアリティー  作者: ガラン/藍染
愛と青春と裏切りの旅編
53/95

第四十五話 夾竹桃

 学校全体にチャイムが流れる。この鐘は14時5分の鐘だ。今頃三人は目を覚ましただろう。



「ありがとう、愛莉。俺はそろそろ三人が生き返った頃だと思うから失礼するよ。また後で」


「待って!」


「? どうした?」



 愛莉に腕を掴まれ止められる。



「皆で内緒でさ、手伝ってほしい事が有るんだけど……」


「いいけど、何?」


()に来てほしいの」


「家……確か愛莉の家ってそこまで遠くなかったっけか。でも、二人だけで外は危険じゃないか? もっと多い人数で行った方が」


「――弘成なら私も守れるでしょ。いっぱい居たら遭遇した時に逃げるのも大変だし。今動けるのは弘成しかいないんだよ?」


「……分かったよ。詳しくは分からないからエスコートしてほしい」


「うん!」



 俺達は音楽室を後にした。



 * * *

 職員用の裏門に着く。何時もなら来賓の人の車とかで埋まっていることが多いが、今は先生の車しかない。お陰でここら辺は見通しが良い。



「さっさと抜けようぜ」


「分かってるよ! さ、走って」



 愛莉が走り出したので見失わない内に俺も走り始めた。



 それから、五分後。全力で駆け抜けている為汗だくで苦しい。愛莉もかなり速いが、汗をかいているだけで顔は余裕そうだ。



「そういえば、愛莉ってハーフだったよな」


「うん! イギリスと日本のハーフだよ? でもいきなりどうしたの」



 愛莉は満面の笑みになった。その顔が、汗のせいか綺麗な顔立ちを強調しているように見えた。



「家に着いたよ」


「ハァッ……ここが家、って大きいな! 初めて見たかも……」


「でしょー? パパとママ凄く稼いでいるからねー」



 お父さんがたしか先生で、お母さんがなんか凄い仕事らしいんだよな愛莉は。



「さあさあ、入って。汗とか凄いしタオルも貸すよ」


「ああ、ありがとう」


 愛莉の家に入るとラベンダーの香りが玄関中に広がっていた。玄関もかなり大きい。そこから室内を見ると天井も高くて、本当に海外の映画でしか見た事がない超巨大な家だった。



「上がってて!」



 俺はその言葉に従って靴を脱ぎ、大きなリビングで立ち尽くす。



「弘成ーホイッ。あとコレも!」


「お! ありがとう」



 タオルと制汗剤を投げ付けられ俺は掴んだ。これも肌触りがとても良いため凄く高そうだ。制汗剤も見た事がないのかもしれない。



「ありがとう、このタオル……どうすればいいかな? 持っていって洗って使う?」


「あー、いいよ大丈夫。適当に水につけておくから」


「……愛莉、ここに来た目的は?」


「忘れ物があったので♪」


「そっか」


「ソファに座ってていいよ」


「分かった」



 愛莉がタオルと制汗剤を片付けてくれた。探し物を見つけに階段を昇っていった。俺はソファに座る。これも高いんだろうな、凄くフカフカしている。



「上がっていいよー!」



 上から愛莉の声が聞こえた。部屋の片付けでもしていたのかな? 俺も階段を昇り、扉を開けた。



「おぉ〜凄え広い……」


「いい部屋でしょ?」



 自慢気にしている愛莉も顔が良い。部屋はカラフルで今まで思っていたイメージとは違った。それに、部屋も綺麗で、花が飾られていた。



「これ、何ていう花?」



 窓際に飾られた花を見つけた。見た事のある黄色の花だが、名前が思い出せない。



「これは、マリーゴールドだよ! 花言葉は、健康って意味があるの。だからいつも部屋に置いてる」


「なるほどね!」



 花言葉を考えて花を置いてるのはなんかお洒落だ。



「……探し物はもう見つかったから、帰ろう」


「帰りも俺が守るから慎重に行こう」



「……本当に最後の最後のお願い」



 愛莉から俺に思い切り抱きついてきた。身動きが取れないほどの力で、愛莉の顔は俺の胸に伏せて見えない。



「あのね、ずっと思ってたの。()()()()()()()って」


「逃げ……一体どう言う……グウッ」



 唐突に頭痛が起こった。またあの副作用だ。



「……!! ごめん弘成! 変な事言っちゃったよね、許して」


「う、う……ん。大丈夫だよ」



 この頭痛を我慢して帰らないと。千鳥足のまま愛莉に支えられて階段を下り、外へ出た。



「そうだ……。しつこいって思われちゃうかもだけど、もう一本見せようと思ってたのがあったんだ……今持ってるんだけど」


「あぁ……ちょっと見えづらいけど」



「じゃーん、この花。桃に近いけど違うよ。夾竹桃(キョウチクトウ)って言うの。花言葉は――」


「……誰だあの人」



 目の先に見知らぬ女がいた。こっから大体50m位の距離だ。俺と目が合いかなり動揺して見える。見た感じは年上、高校生くらいか? お互いに一歩も動かない。最悪の場合、俺が愛莉を守りつつ戦わないといけない。出来るだけそれは避けたい。



「如何するの、弘成」


「もう少し待とう。何かしてから行動する」



 小声で相手に届かないように話す。向かいの女は何もして来ない。もしかして、普通の生き残りの人なのか? それでも能力者だった場合がとても怖い。お互いに動こうとしなかった。先に行動したのは相手からだ。



「……助けてください」



 絞り出すような声で俺達に叫んだ。



「なんだ、普通の人だったね」


「た、確かに」



「……わかりました! 大丈夫ですよ! こっちまで来てください!」



 話した感じは、普通の人だった。これなら、能力を使う必要も全く無い。安全だ。



「一緒に学校まで……ッ!」



 頭痛がまた起きる。でも、この頭痛は明らかに今までとは違う。というか、思い出した。



「……()()()()()()()()()()()()()()()


「…………え」



 この人は間違いない。この人は――。



「――誰だよ、その女は」


「!?」



 聞き慣れた声に驚き、俺は振り返った。



「……何でここに」


「俊樹ィ?」



 愛莉でさえ、動揺している。相手の女もこっちに向かう足を止めた。



「ずううっと見てたからな」



 俊樹がまるで俺達の悪事を暴露するような雰囲気を醸し出した。



「お前ら三人が……」



「『()()()()()()()()』」


 俊樹の誤解を、どうにか解かなくては。全ての事情を語る事にした。

四つ巴だ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ