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クリティカル・リアリティー  作者: ガラン/藍染
十六巡目開幕編
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第二十七話 泥

「……よくも、よくも健人を殺しやがったな」


「絶対にコイツは殺さないとだ、絶対に」


 二人はあまりに冷静で落ち着いていた。それだけの覚悟があるということなのか。俺は人の死は既に見ているのに、二人がいなければ見下ろしているだけの俺が落ち着きを失っていたかもしれない。


「み、皆……外、外見て……」


 愛莉が何やら廊下を指差して皆に呼び掛けている。

 奥からのっそりと歩いている何かが見える。あれは……他のクラスの友人だ。だが様子はおかしく、全身が茶色で染まっている。まるで泥だ。


「……皆、廊下に絶対に近づかないで。あとベランダにも近づかないでね。真凛、任せた」


「うん」


 扉を開け、泥のような彼女に一歩ずつ近づいていく。


「サトウさん……どうしたの? 大丈夫? 泥まみれな格恰好してるけど」


 反応がない。サトウさんがここまで反応しないというのは明らかに異常だ。怪物は六体ではないのか?それとも人が使っている能力なのか?

 悩んでいる暇なんてない。ただただ右手に力を込め能力を発動させる。


「――――――発動できない」


 前の戦いでは使えていた筈なのに発動出来なかった。一瞬悩んでいる隙もなくサトウさんの両腕が俺の肩を力強く掴む。骨が軋むような音がする。サトウさんに全身を持ち上げられた後、壁へ打ち付けられる。


「がぁッ!」


 立ち上がることすらも出来ない。ズルリとそのまま倒れ込む。サトウさんだった泥は崩れていった。視線は更に廊下の奥へ。そこにはそれ以上の奥は見えない程の無数の『泥』がいた。


「ギァァァッッ!!」


 神田さんの叫び声だ。どうやら階段からも泥があふれ出したようだ。

 ……何故、能力が発動しないのか、ほんの少しだけ察する事ができた。明確な目的――『敵意』や『殺意』を抱く程でなければなければいけない気がしている。


「なんで簡単に諦めてぼーっとしてんのよ!」


 いつの間にか愛莉(えり)は俺の手を握り、立ち上がらせようとしていた。


「早く戻ってこい!」


「消火器2つ持ってきたぞ! 行くぞ行くぞ!」


 魔莢(まさや)ともう一人クラスメイトが消火器を抱えて廊下に飛び出る。


「……もし、何かに挑まないといけない時が来たとして。決まって何かを犠牲にしなきゃいけない、誰かが諦めないといけない。でも、『諦めないといけない』のが自分なら、絶対に諦めないで。()()()()()()()()()()挑み続けて」


 ――愛莉。

 俺は――()()()()()()()()()()()()()()()()()


「……ああ、分かった。言う通りにするよ」


 俺は立ち上がって生みだした『刀』で廊下の奥の泥へ走り抜け、刀を左腰で構え泥を切り裂く。この一先で十体は切ることができた。それからは止まることなく、駆け抜ける。泥を操っている奴を犠牲にして、怪物全員を殺す。それが、俺の挑戦なんだ。

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