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穴あき靴下の夢

作者: 千巻

私は穴あき靴下は

「なにかに使えるかも!」

ってとっといて、忘れて放置してたら捨てられる

っていうパターンです

たまに縫います



娘と干された洗濯物を取り入れていた


「この靴下、穴空いてるよ」

言われてみてみれば、確かに親指のところにぽっかりと穴が開いている


「あら、ホント。やだわ、新しいのを買わなきゃ」

そういいながら、この靴下はなにか使える用途がないか考えていたが、雑巾くらいしか思い浮かばなかった。


「ママ、それだと、兄ちゃんが明日はく靴下がないよ。」

娘が穴に指を突っ込みながら言う


まったく、あの子は替えの靴下をどこにやったんだか

あの子のことだからきっと部屋のどこかに放置してるんだわ


娘から靴下を受け取り、縫わないとと考えて思い出した


そういえば、今度手縫いでトートバッグを作ると言っていたわね

いやがると予想しながらも聞いてみる

「それじゃあ、今度の家庭科の練習で縫ってあげたら?」

「え~、やだよ。」

予想通りいやがられてしまった


「はいはい。じゃあ、母さんが縫うから――ちゃんは見てなさい」

「ゲームしててい?」

「だーめ。それだと、ゲームに集中して見ないでしょ?」

「はーい」


多分よその子よりもうちの子はできた子だと思う


率先して家事を手伝うし、頭も悪くない

少し甘えん坊だけれど芯もしっかりしていて、かわいい娘だ


こういうのを親バカって言うのかしらね


「それじゃあ、ちゃっちゃと取り入れちゃおうね」


そうして、いざ穴あき靴下を縫おうとすると、ふと考え込んでしまった


私も、この靴下のように、古くなれば捨てられてしまうのかしら

(病気)が発覚すれば、嫌がられるのかしら

縫う(介護する)のが面倒だと


穴の空いた靴下の末路は2つ

捨てられるか、縫われてまた使われるか


現代はもので溢れている

捨てられる靴下の方が多いだろうと私は思う


それこそ、靴下など消耗品扱いで、穴が開いていなくとも汚ければ捨てられる時代


ストッキングや、タイツに移行してからははじめての穴あき靴下を眺めながらそんなことを思う


そういえば、靴下の穴は歩き方に影響されて場所や形が変わるらしい

「お兄ちゃんは爪先に重心がよってるのね」

娘の興味は引けたらしい


「そうなの?どうして?」

「だって、穴は親指でしょ?そこに負荷がかかってるか、はくのが下手くそなのよ。あ、爪はちゃんと切ってるのかしら?」

「へぇー。じゃあ、私はかかとに穴が開くのかな?」

「そうかもね」


そんなやり取りをしながらも、私の手は穴を瞬く間に塞いでしまう


「お母さんすごい!10秒くらいでふさいじゃった!」

「あまり穴が大きくなかったからね。――ちゃんも練習すればすぐできるようになるわ」

さりげなく練習するよう促してみる

「またそんなこと言って。この前の編み物の時も言ってたじゃん」


こちらは本気で言っていても、娘には伝わらなかった


先程まで考えていたことは、案外些細なこと


親離れしてくれなかったらそれはそれでいいけど、心配だ


離れてしまっても心配だ


とりあえず、今は家族を包みこむ靴下であるために穴を開けるわけにはいかないと気を引き締めた…


……………………


……………


………



―――――――――


「…っは!」


「母さん。なんか、変な夢見た」

「なんの夢?」

「ん~…覚えてない。けど、いい夢だった気がする。」



夢落ちというおちです

すみません

眠かったとかじゃなくて、展開が思い浮かばなくて

もし、続きが思い浮かべば、デジャブとして主人公がハッとする所を書きたいです


最後まで読んでくれてありがとう

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― 新着の感想 ―
[良い点] メッシュになっても穴が開くまで履き続けるココノハシゲルです。 穴に負けずにがんばろうって気になりますね。いい話でした。 [一言] 同じ靴下をまとめ買いすれば、相方を失った者同士が出会ってま…
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