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夢視達の世  作者: 真宵夜々榊
2/2

はざまから

句切りが悪いので、投稿


 背丈の二倍はあるような扉。

それに背中を押し付けるように寄り掛かります。


 荒れた風の声、地面を叩く降りすさむ雨の音。


 そんなモノ達にまぎれるように、長い長い廊下の奥からオルゴールの音は静かに、ゆったりと流れていました。


 玄関先であろうこの場所に、照すほどの明かりはなく、薄暗く高い天井は、見上げても暗いだけで何も見えはしない。


 今立つここもまた、薄暗く、扉の小さな丸窓から差し込む──


 なぜ外が明るいのか、気を配る気にもなれない。


  不安で、こわい。


 長く長く続く廊下は、三歩進めば闇のよう。

暗い暗い影のみち。


 勝手に上がり込んだ手前、声を掛けない訳にもいかない。それとも、今すぐに外へ戻るのか。


 いや、ソレは絶対に嫌だ。

ナニカがいた、ナニカがこっちを見ていたのだから。

それに、だれかに会うためにここに来たのだ。



 不安に駆られ、奥に進もうかと一歩を踏み出したとき、足下に何か居ることに気がついた。

何かの影は足にまとわり付き、横腹を押し付けて来る。


 薄暗い足下は、ぼやぼやしていて、よく分からない。


 何が居るのか分かず、しばらくはジっとしていた。

 ふいに、足下をくすぐる感覚に何かのおぼえをいだく。


 


 「──ッネコ?」


 なぜ知っていたのか、なぜ解ったのか。

 それは誰にも知れない事だ。

それでも確かにそれは、猫だと解る。


 しゃがみこみ、猫の眉間上のおでこに、震えるてのひらを添える。

 ゆっくりと流すように後方へと動かして、

 掌を耳に被せる。

首の手前に来ると、ぴょこんと耳は元に戻る。そのまま背中を撫でる。

その耳と触れる毛並みが、彼の心を癒すかのようだ。


 猫は、撫でられながら、特に逃げるわけでもない。

不思議そうにそのまんまるのクリクリとした目で、こちらを見上げる。


 少し不安も薄れた。

 猫の脇に手を差し込み、ゆっくりと抱き上げる。


 わずかな薄明かりにうつるのは、猫の綺麗な黒い毛並み。

 艶やかではなく、沈むような優しい黒。


 抱き上げた黒猫は、変わらずこちらを見上げる。


 左右色ちがいの青と黄金の、その瞳で───






 ふいに黒猫は、腕から飛び降りた。


 トコトコと、

 こちらと影の境目の、その狭間に立ちながら、こちらに首だけ振り替える。


 相変わらず、不思議そうに見上げるその瞳。

 

 まるで、誘っているような。

 そんな感覚を覚えた。





 もう、戸惑うこともなく。その黒猫の背中を追うように歩きだし──────


 


 ◇◇◇



 薄暗い通路には、猫を追う少年の足音だけが、響き渡る。


 

 

 

 オルゴールのは消え去った。

 いつのまにやら、消え去った。


 誰にも、何にも気が付かれもせず。

流れ去ったその音色ねいろ達。


 それは、きっと散っていく。

きっと、誰もがすぐに忘れてしまう、そんなおと。


 

 外は、まだ。

騒ぎ立てる彼らの世界。

しばらくすれば、それもきっと止むでしょう。




   

  <忘れし昔を思うモノ> より 第一章、オルゴールの音に乗せて~ 

 

たぶん、次回辺りは、ホラー要素が薄めになるかと

(不定期投稿です)


よかったら、感想とかアドバイス等々くれると嬉しいです!


(↓↓↓)作者検索から私のユーザページに入れます。活動報告とか、他作品も除いてくれると更に嬉しいですよ?www


 それでは、皆さんの良き小説ライフを~


(† ̄ω ̄Τ)Κ <マタネ>

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